「ただ救いたい」ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
ただ救いたい
杉浦千畝やシンドラーだけでなく、当時のヨーロッパにはユダヤ人の命を守ろうとした人々がいて、おそらく世に知られていないだけで他にもいたのではないか。
ナチス・ドイツの侵攻が迫る時間との戦いの中、資金の調達から里親探しまで、若者たちに協力する人々も多くいたのだろう。
シンドラーは他に合理的な理由があったかもだが、多くは義憤にかられ、損得抜きで行動せずにはいられなかった人たちだ。「関心領域」の人たちとは対極の、これも人間。
669人も助けながら、ウイントンの心にあるのは、救えなかった子どもたちへの悔恨。
ナチスのポーランド侵攻で一度は乗り込んだ列車から引きずり降ろされる子どもたち、証拠を残さないように窓から放り出されて次々燃やされる資料に添付された写真がメラメラ燃えていく様に涙が出た。この写真のように、彼らもはかなくなってしまうのだろう。彼らのほぼ全員、収容所に送られ人生を終えてしまった。また、兄弟の中でひとりだけ里親が見つからず残された末の弟、他人の赤ちゃんを育てている少女はどうしたのだろう。修羅場ではほんの少しのめぐり合わせでその後の運命を分けてしまう。人の存在の儚さに愕然とするし、こんな非道を引き起こすものに怒りが湧く。
1987年の老いたウイントンと1938年の戦時中のウイントンの話が交錯するが、余計なエピソードがないシンプルな作りでドキュメンタリーのよう。
テレビ番組の中で、過去に救った人々と再開し、抱き合うところは感動的。
ウイントンと妻を除いた観客席の全員が立ち上がり、彼らがウイントンたちに救われた子供たちだったことは、直前に想像できたにも関わらず、胸がいっぱい。
近くの席の女性は途中からずっと泣いていたが、ここに来て嗚咽になっていた。
救えた命から、今や6000人の新たな生命が生じた。
ウイントンたちのしたことは、これほどの偉業だったのだ
ラストの字幕でウイントンのスクラップブックは、イスラエルのホロコースト博物館に収蔵されたとあったが、現在のイスラエルはこのスクラップブックから学んだことはないのだろうか。
満塁本塁打さん
お母さんの奮闘とか、プラハに残った同志がより危険を冒していたとかこの偉業をウイントン一人のものとしなかったところも、この映画の良かったところと思いました。
コメントありがとうございます😊 フィリップは個人的報復ですね。
確かに シンドラー🟰合理的理屈 線局判断
杉原千畝🟰 実は独断ではなく 満州役人軍人との連携プレー 後悔についてはイマイチ 救えなかった人へ
なので 本作は光りますね たった一人の命を救う者は全世界を救う 何処に❓ 長文すみません🙇
かばこさん、共感&コメントありがとうございました。
タイトルに書かれてらっしゃるとおり、ただ救いたい…の一心だったのでしょうね。強く優しく勇気のある方だなと思いました。
これも人間…いや、まったくです。置かれた立場や環境で、人はこんなにも違ってしまう。。ウィントンの偉業を讃えると同時に、命あることの素晴らしさを考えずにはおれませんでした。