劇場公開日 2025年6月6日

「国宝級の映画」国宝 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0国宝級の映画

2025年6月8日
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しばらく余韻に浸っていたい!
だけどエンドクレジットが意外と短くて、もう2分くらい長くても良かったのに…なんて思うくらい良質な作品でした。

よくよく考えたら、歌舞伎の世界という世間一般の中では限定的で狭い世界の話なのに、受け取った世界観はとても深くて広くて奥行きのあるものでした。
たぶんそれは人間の生み出す〝虚構〟フィクション(※)の力をまざまざと見せつけられるから。
※ユヴァル・ノア・ハラリさんの『サピエンス全史』などの著作で目から鱗の考察を知ることができます。ホモ・サピエンスがネアンデルタールやその他同時代の異種人類との決定的な違いとして、虚構や共同主観を作り出す力があることにより、いかに地球の支配者になったのか。極めて説得力ある説明でしかもめちゃくちゃ面白く学ぶことができます。

何百人という観客が、役者が演じる人物の心情を同じ空間で同時に体験させられる。
そこには芸術として磨き上げられてきた洗練、それを守り抜いてきた血統への信頼、役者たちの稽古の積み重ねによる圧倒的な臨場感が存在する。それらが舞台の上での虚構の物語であるにも関わらず、見るもの・聴くものに対して現実的な情動の揺らぎを体感させる。

トップアスリートや有名なアーチストのパフォーマンスを見ることで、勇気や希望をもらえることがあるのも、きっと虚構を生み出す想像力の賜物なのだと思う。イチローや大谷選手ほどの才能は無くても、同じような努力が出来れば今よりは高いレベルの舞台で活躍できるかもしれない。だから頑張ろうと思うことができるし、結果的に望んだような活躍が出来なかったとしても、虚構を現実に変えていく道筋みたいなものをそれぞれの感性が掴み取っていく。未来へのレールはそこで掴んだ自分の感覚でしか描けない。

夢(虚構)を夢のままで終わらせてしまう人のほうが多いけれど、悪魔に魂を売ってしまうほどの狂気で手に入れた現実は、時には至高のもの=国宝となって、次の虚構に魅せられる者たちを育てていく。
虚構を現実にしようともがく人の繋がりが伝統を作っていくということなのかも知れない。

グレシャムの法則
seiyoさんのコメント
2025年6月8日

共感コメントありがとうございます。

国宝忘れたころに
バンパイアですね😁

seiyo
seiyoさんのコメント
2025年6月8日

こんにちは〜。
エンドロール短ったですね。

余韻にひたりたいところですが、寒くてトイレ直行でした

seiyo
talismanさんのコメント
2025年6月8日

🔺なんか怒ってますね、朝から。すみません

talisman
talismanさんのコメント
2025年6月8日

グレシャムさん、コメントありがとうございます。お米がどうたらで騙されたくないです。米国の言いなりで出来損ないの武器を爆買いしている日本は本当に馬鹿じゃなかろうかと思います。コスタリカの爪の垢でも煎じて飲みやがれ、官僚も政治家も、その政治家を選んでる国民も!

talisman
TSさんのコメント
2025年6月8日

映画そのものを語らず、映画からインスパイアされたことを通じて映画の本質を書かれているような素晴らしいレビューでした。
芸術もスポーツも、言ってみれば虚構。でもその虚構に熱狂するのが、ホモ・サピエンスたる所以であるのでしょうね。
勉強になりました。ありがとうございました。

TS
NOBUさんのコメント
2025年6月8日

おはようございます。
 変わらずに、深いレビューですね。勉強になりました。
 ユヴァル・ノア・ハラリさんの『サピエンス全史』は、私も一度読んだ事があります。(ムッチャ、負けず嫌い・・)でも、長くって挫折しました。(涙)私は、俗に塗れているので、京都の”南座”に行きたくなりましたが、今、京都は物凄い状態みたいなので、ちょっと無理だなと思っています。では。

NOBU
ひなさんのコメント
2025年6月8日

グレシャムの法則さま
共感ありがとうございます🙂

>夢(虚構)を夢のままで終わらせてしまう人のほうが多いけれど、悪魔に魂を売ってしまうほどの狂気で手に入れた現実は、時には至高のもの=国宝となって、次の虚構に魅せられる者たちを育てていく。
>虚構を現実にしようともがく人の繋がりが伝統を作っていくということなのかも知れない。

「グレシャム文学」で鮮やかなタイトル回収…
こんな筆致と語彙力がほしいです🫡

ひな
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