KILL 超覚醒のレビュー・感想・評価
全31件中、1~20件目を表示
アクションはいいが、救いがない、、
この映画で一番な人が序盤で離脱し、
地獄かっ!というタイミングでタイトル!
まじか、、嘘であってくれと思いながら鑑賞した。
狭い空間でのアクションは、工夫もあって面白かったが、
電車の天井の使い方があまり活きていなかったり、
登場人物たちが電車のどの車両にいるのか、
空間があまり理解できなかった。
あの時、選択肢を間違えた。
ネタバレです。
あの時、この選択肢を選んでいたら。
鑑賞後、そう考えずにいられない。
マルチエンドのゲームをやって、
初回のバッドエンドを見せられている気分だった。
こんなバッドエンドになったのは主人公がやらかしている。彼女に護身用としてナイフを渡すのはだめだ。ナイフを渡した瞬間、これは死んだなった思ったよ。(小道具としてのナイフの使い道がもっと賢い方がよかったなあ。)
そもそも映画としてヒロインを退場させる必要がない。大切な彼女を目の前で殺されて、
異常に覚醒するのかと思ったら、そうでも無い。
そもそも殺されて悲しみから覚醒するなんて、スーパーサイヤ人かよ。まぁ、なれてないんだけど。
ただただ、切りつけられ、叩きつけられ、痛みばかりが描かれる。彼女は無惨に殺され、同僚の相棒も悲しくやられてしまう。
何を伝えたいのだろう?
無慈悲な暴力が存在している現実を伝えたいのか?スクリーンの中で復讐が繰り返されていく。
せめて映画の中だけでも希望を見出して欲しい。
良く言えば、反面教師的なのだろう。
圧倒的な暴力による悪へ対抗するには、
力も正義も役に立たない。
逃げるしか無いと思った。
この映画のシチュエーションなら、
閉鎖的空間の中で徹底的に逃げ切る方が
圧倒的に面白いだろう。
主人公も機転の効く非力な方が良い。
ホームアローンのような構成にしたら、もっとハッピーな映画になったのに。盗賊40人が滑稽にやられて、因果応報となればよかったのに。
さて本編、音楽もシーンに合わない、パターンを作って当てているだけだ。
フラストレーションによるカタルシスの解放が全く無い。この映画を楽しく見るには、
複数人で声出して激しくツッコミながらでもしないと昇華できない映画です。
何のために戦ったのか
インド東部ジャールカンド州の駅を出発した寝台列車は約1200キロ先の首都ニューデリーに向かった。その列車には大勢の乗客の他、大物実業家の家族や軍人のアムリトたちも乗っていたのだが、さらに総勢40人の武装強盗団もその列車に乗り込んでいた。列車が走り出すとしばらくして、強盗団は携帯電話が使えないように妨害電波を出し、乗客を脅し金品を強奪し始めた。最初は個人個人の金品を奪っていたのだが、列車に大物実業家とその家族が乗っていることを知り、実業家の娘トゥリカを人質にとり身代金を奪うことにした。しかし、列車にはトゥリカの恋人、インド特殊部隊に所属する軍人のアムリトも乗り合わせていたのだった。恋人の危機に怒りが爆発したアムリトは、もう1人の軍人仲間のたった2人で武装強盗団に立ち向かい・・・さてどうなる、という話。
容赦なく次々に退治していくアクションは素晴らしかったが、もう少し強くても良かったんでは?
恋人のトゥリカを助けるために戦ってたと思ってたのだが、彼女はあっさり殺され走行中の列車から突き落とされた。
その後怒りでパワー増大、となるのだが、ヒロイン殺してなんなんだ?ほとんど戦う意味ないじゃん、と感じた。
戦いが終わって駅のベンチに座ったら、隣にトゥリカが?あのラストは何なんだ?夢?ファンタジー?
ヒロインが実は川に落ちてて助かった、とかなら良かったが、全く納得いかないストーリーだった。
切り株っぽいね
戦いが始まるまで長いよね。
主人公は軍人で、財閥みたいなののお嬢様と相思相愛なんだけど、お嬢様の父親は別の人と結婚させようとしてて……ってやるけど、その後のストーリーに関係ないよね。
相思相愛の設定だけ残せば良かったような。
列車が強盗団に襲われて、それと主人公の戦いが始まるけど、主人公、そこまで無双はしないね。ちゃんと鍛えられた軍人って感じで、常識的な強さなの。
それでヒロインであるお嬢様の退場が早くて驚いたな。最後まで生き残る設定が普通だと思うんだけど。
ヒロインの退場と共に《KILL》のタイトルコールで、ここからキレた主人公が大暴れするってことなんだね。
ここからは、ちょっと切り株っぽかったな。
脚本がなんだかなと思うところあって、主人子すぐに捕まって「もう駄目だ」と思うと、突然強くなって脱出してきたり、なんか一貫性がなかったな。
でも脚本がなんだかなって感じだったから、逆に、誰が死ぬか分からない緊迫感はあったね。なんか意味なく退場させちゃいそうな気配があった。
ヒロインが退場してからは『ヒロインの妹が強盗団の人質になったら大変だ』っていうのが、筋の一つになるんだけど、この設定が使われることはほぼなかったね。なんでなんだろう。
そして最後は駅で警察隊が突入して、強盗団は一網打尽となり、犠牲は大きかったものの、まあ、大団円なのかな。
ここでヒロインの幻影を主人公観るよね。そして、伏線として生命線を重ねて『あなたと共に生きる』ってやってたから、これ、主人公はここで亡くなる設定と観たんだけど。ヒロインが主人公を迎えにきてるよね。
主人公が無双して悪人をやっつけてスッキリって話を期待して行ったんだけど、そうじゃなかったな。
そして重い話になるなら、なんかテーマがあるのかというと、そうでもない。
不思議な映画だったけど、アクションは良かったかな。
アムリトが平井堅にしか見えない。
長距離寝台列車の中で強盗集団の一族と、娘の婚約式が終わった大富豪一家が居合わせ、そこに娘の恋人も乗り合わせて、強盗集団に立ち向かっていくというインドB級映画。
日本や欧米のアクション映画だと、一度倒したらそれで終わりなパターンが多いのに対し、これは何度も起き上がっては戦っていく。しかも強盗一族の絆も描かれるというのは珍しい。でもってヒロインが割と早めに殺されてしまうのには驚いた。
はじめは殴り合い程度がだんだん武器や刃物での殺し合いになっていて同じ対決が何回も見られる。強盗一族・乗客・戦う富豪一家は着ている服装にそんなに違いがなく、これはどの立場の人!?というのを判断しながら見る必要がある。
オーバーキル
味方?の方が凶悪だと、見てる人も敵役もツッコむ
非道ぷり。
てか、敵も頸動脈を迷わずねらう。殺しにきてる。
結婚は親が決め、一族で家業をする。諸外国の文化に触れる考え深い内容だった。現実はどうかはしらんけど。
どんなエンディングでしまるのかな?
と興味深くみてたけど、まあー。そうよね。
とうもこうもない。殺戮に未来なんてないわな。
最近のメールのやりとりの表現の仕方ってこんな感じなんだな。
最高だ
常々、凄腕の主人公にばったばったと倒されたり殺されたりするモブの敵に違和感がある。彼らにも人生があり、家族がいて夢や目標もあったことだろうと想像すると主人公の前に躍り出てあっという間に倒されていいのか。少なくとも躍り出るのは嫌じゃないのか。そんな疑問に答えてくれている。
この映画の敵は一族で親戚親兄弟が団結して列車強盗を企てている。中には嫌々参加している人もいるだろうし、凄腕の主人公アムリトにビビッている人もいる。素晴らしい。一人一人が生きているのだ。
そんな彼らがアムリトに無惨に殺されていく。恋人を殺された主人公の怒りももっともだ。その上、親友まで殺されているのだから仕方がない。味方までがドン引きするような殺され方だ。
ただ一点、途中から敵の仲間が電車に乗り込むときにいったん停車する。その時なぜアムリトは恋人や家族、他の乗客を列車から逃がさなかったのか。わけの分からないところで降りるのも怖いのかもしれないが、列車内の惨事を思えば降りた方がどう考えてもいい。
あまりに素晴らしくて何かの間違いかもしれないような気もするので、早くもう一回見たい。
グロ注意です!
友人に誘われ鑑賞。インド映画であることしか知らなかったため、まさかこんな映画だとは思わず驚きました。内容はタイトルの通りだったのですが、以前観たRRR同様、馴染みのない国の登場人物たちの顔と名前を全く覚えられず、序盤は誰が主人公で何の話なのかさっぱりわからず苦しみました。強盗が始まってからやっと話の道筋や登場人物の顔、立ち位置などがわかるようなり、そこからは純粋に映画を楽しむことができました。名前と顔の区別をするために頭を使ったくらいで、他に頭を使うところは一切ないような映画でした。
覚醒後、悪党を皆殺しにするシーンは、復讐のためとはいえ残虐すぎて少し笑ってしまいました。自分含め一定数の人がしたことがあるであろう、”敵対する存在をボコボコにして無双する妄想”を、実際に映像にしたような作品でした。
演出のためとはいえ、最後担架を持った救急隊がボロボロの主人公を素通りしていく様子がどうしても気になってしまい、せっかくのラストに入りこめませんでした。ちょっと感動しそうになったのに残念です。
全く救いのない終わり方でしたが、復讐は何も生まないことがわかるような映画で、これはこれで良かったと思います。
アクションシーンや殺し方にバリエーションがあり、飽きずに最後まで楽しめたので、頭を使わずに映画を観たい時や、それが好きな方にはおすすめできるかと思いました。
不自然であっても登場人物の見分けをあえて付ける重要性を知った。
昔非暴力主義で有名な宗教家がいたインドのR15+の映画。
登場人物ほとんどが地味な普段着?で特徴が無いため敵か味方か関係ない人かが全くわからず、さらに敵のボスは部屋着みたいで普通のおじさん過ぎて迫力がなく、そして全員一族らしいがそれぞれの名前はもとより「親父」「伯父貴」「兄貴」と立場によっても呼び名が変わるワードを連発し、頭のなかで整理がつかないままどんどん話は進んでいくのだが、不思議と途中から癖になるくらい面白くなって受け入れてしまった。
たびたび気を緩めピンチに陥る主人公(軍人)だけでなく、警察や社会の有力者を執拗に怖がるマイルドな強盗団はともに人を殺さない主義のようだったが、サイコな息子のおかげでとんでもないことになっていく流れはもどかしくも面白かった。
主人公が腹を括ったあとで初めてタイトルが現れ、復讐の鬼に覚醒するのだが後の祭り感たっぷり。
敵を気絶させたままにしておかずに列車の外へ放り出すなり、どこかへ閉じ込めるなりしない限り争いは過激でエスカレートしてしまうことは誰でも予想でき、設定の気持ち悪さは否めずで、勧善懲悪ストーリーにもかかわらず気持ち良いカタルシスが感じられなかったのは残念だった。
これがインド映画⁉️
今まで沢山とまではいかないけど社会批判、ミステリー、サスペンス、アクション、エンタメといろいろ観た気になっていたインド映画だけどまさかこんなにハードコアと言うか残酷シーン連発に度肝を抜かれた!
悪者たちからヒロインを救う為にヒーローが無双で暴れ回りハッピーエンドかと思えば序盤でヒロインが殺され主人公は虚無感を漂わせ悲壮感満載、満身創痍で鬼神の如く容赦なく殺しまくるまさにキルゼムオール!
まだまだインドにはとんでもない映画があるんだな~
どんどんいろな作品を公開して欲しい!
暴力映画やグロに耐性がある方なら是非!
炸裂する“怒り”と“哀しみ”。インドアクション映画の新たなる金字塔
【イントロダクション】
国際インド映画アカデミー賞5部門受賞(新人俳優賞、悪役賞、撮影賞、音響デザイン賞、録音賞)、世界各国の映画祭を席巻したバイオレンス・アクション。
インドの首都ニューデリーへ向かう特急寝台列車を、40人の強盗団が襲撃。しかし、そこには対テロ特殊部隊の隊員が乗車していた。
監督・脚本は、インド映画界で20年以上のキャリアを持つベテラン、ニキル・ナゲシュ・バート。本作は、監督の若き日の実体験が反映されている。
また、キアヌ・リーヴス主演の『ジョン・ウィック』シリーズで知られるチャド・スタエルスキ監督プロデュースによるハリウッド・リメイクも決定している。
【ストーリー】
インド国家治安警備隊(NSG)の若き隊員アムリト(ラクシャ)は、演習中の為連絡が取れないでいた恋人のトゥリカ(ターニャ・マニクタラ)からメッセージを受信する。トゥリカは父親である大物実業家タークル(ハーシュ・チャヤ)によって強引に見合い相手を決められてしまい、明日には婚約式が行われてしまうという。
アムリトは部隊の同僚で相棒のヴィレシュ(アビシェーク・チャウハン)と共にトゥリカの元へ向かい、ラーンチー発ニューデリー行きの特急寝台列車に乗車する。アムリトは車内でトゥリカに指輪を捧げてプロポーズする。
その夜、列車内に紛れ込んでいた武装強盗団一族が動き出す。強盗団は若いリーダー格のファニ(ラガヴ・ジュヤル)を筆頭に、乗客を脅し金品を巻き上げる。計画は30分で済むはずだったが、ファニは車内にタークル一家が乗車している事を知ると、更なる利益を求めてタークルとトゥリカを人質に身代金目的の誘拐を目論む。
アムリトとヴィレシュは、軍隊仕込みの近接格闘術で強盗団と対峙し、窮地に陥ったトゥリカとタークルを安全な車両へと避難させる。
列車には強盗団のボスでファニの父であるベニ(アシーシュ・ヴィディヤルティ)も乗車し、アムリト達への報復を決意する。
やがて事態は、アムリトらと強盗団一族との全面戦争へと突き進んでいくーー。
【感想】
本作を一言で表すなら「愛と哀しみのバイオレンス」。
愛が哀しみに、哀しみを怒りに、怒りはやがて狂気となって、憎き相手達に襲い掛かる。
インド映画らしい豪華絢爛な衣装や情熱的なダンスシーン、ワイヤーアクションを用いたファンタジックな格闘表現等は一切無く、ひたすらに暴力と殺戮のオンパレード(唯一、アムリトの勇姿を表現する挿入歌はあり)。「本当にこれがインド映画?」となるほどの凄惨さは、成程、ハリウッドがリメイクしたがるのも納得である。
この手のアクション映画好きならば、序盤の舞台設定から「あぁ、はいはい。主人公(とその相棒)は特殊部隊員だから、強盗団を次々と蹴散らして、恋人とその妹を救出する話ね。そして、最後は恋人の父親から結婚を認めてもらうってオチかな」といった具合に、先の展開を予想するのではないだろうか。
しかし、本作はそんな生優しいものではなかった。主人公・アムリトの恋人・トゥリカは、敵の若頭・ファニに無惨にも刺され、まだ息のある状態で列車から突き通されて死亡してしまうのだ。
「え!?この手のアクション映画でヒロインがこんな無惨に死ぬ事なんてあるの!?」と、度肝を抜かれた。
そして、組み伏せられ絶望色に染まった主人公の顔のアップに重ねて提示される『KILL』のタイトル。恐らく、この時点で開始30〜40分程と思われるが、遅めのタイトル表示と主人公と同じ絶望を抱える切れ味の鋭さに完全にやられた。正直、タイトル提示までの“御膳立て”が少々長い事が気になっていたが、なるほどこのサプライズが邦題の副題にあるように主人公の「超覚醒」を促すトリガーとなるのかと思えば、入念な下拵えも納得である。
私は、本作のハリウッド・リメイクのプロデュース権を獲得したチャド・スタエルスキ監督による『ジョン・ウィック』シリーズや、デンゼル・ワシントン主演『イコライザー』シリーズのような、「愛する者を失い、再び殺人マシーンに戻る」系主人公が大好きであるのだが、それらの作品は、あくまで「過去に失った」立場であるのに対し、本作ではまさに今目の前で「愛する者を奪われる」という強烈なフックが描かれる。そして、それによって本来の特殊部隊員としての“立場”という箍が外れ、ファニの台詞にあるように「軍人(ラクシャス)じゃなくて鬼(ラークシャス)」、いや鬼神の如く怒りを爆発させ復讐を果たしていく。
アムリトとヴィレシュは、特殊部隊員という「人々を守る立場」から“暴力”を用いりながらも、目的はあくまで“制圧”であって“殺害”ではない。しかし、その姿勢が結果的にトゥリカの犠牲に繋がってしまい、アムリトの「覚醒」へと繋がっていく。この立場の提示と、その箍を外すまでの過程が丁寧に描かれていたからこそ、その先のアムリトの「覚醒」に我々観客は全力でライド出来るのだ。
また、そうした容赦ない犠牲やアムリトらが度々窮地に陥る点から、最後まで先の読めない緊張感が持続するのも素晴らしい。我々観客も列車が終着駅に着くまで、決してこの究極のソリッド・シチュエーションから降りる事は許されないのだ。
【敵味方問わない、個性豊かなキャラクター達】
主人公のアムリトの腕っぷしの強さと頼もしさは、演じたラクシャの体作りとトレーニングの甲斐もあって説得力に満ちている。若々しくも髭を蓄えた姿には威厳もある。
しかし、アムリトは決して「無敵の殺人マシーン」などではなく、作中幾度となく敵から反撃を喰らい、傷を負い、窮地に陥る。物語が進むに連れ満身創痍となっていく姿もリアリティがある。だからこそ、この復讐劇が無事に果たされるのか、最後まで目が離せなくなるのだ。
そして、「覚醒」後の容赦のない殺戮無双ぶりは、1秒たりとも飽きさせない。パンフレットによると、途中強盗団のメンバーの頭を消化器で殴打して潰す際、脚本や監督からのディレクションでは「2回殴れ」と支持されていたそうだが、ラクシャのアドリブによって「5回」殴っている。トゥリカを失ったアムリトの怒りを表現するには、2回では足りないと判断したのだそう。
そんな危ういアムリトを度々援護するヴィレシュの良き相棒っぷりも素晴らしい。個人的には、本作のMVPは彼だと思う。アムリトより深い傷を負いながらも、最期まで人々を守る事を諦めなかったその姿勢に、私は漢気を感じた。演じたアビシェーク・チャウハンの優しい顔立ちと特徴的なちょび髭もポイントだ。
強盗団が一族経営という点も興味深かった。日本では今年の5月に公開された『ヴィクラム』(2022)でも、巨大麻薬カルテルは一族経営をしており、親兄弟親戚が大勢居たのだが、インドは大家族が多いのだろうか。
中でも特筆すべきは、やはり強盗団の若き狂犬、ファニを演じたラガヴ・ジュヤルの熱演による圧倒的な悪役描写だろう。国際インド映画アカデミー賞で悪役賞(そんな部門まであるのか)を受賞するのも納得である。彼の存在感もまた本作の魅力の一つだ。
飄々とし、トゥリカに一目惚れしつつも、彼女からの反撃によって負傷して、容赦なく彼女を刺し、列車から突き落とす姿は強烈。加えて、クライマックスではヴィレシュまでも手に掛ける。彼の戦闘スタイルは、ククリナイフを用いたストリート仕込みのフリースタイルだが、それでアムリトらを追い詰めるのだから見事である。
そして、忘れてはならないのが、衝撃の途中退場を遂げるヒロイン、トゥリカ役のターニャ・マニクタラだ。個性豊かで男臭い面々の中で、彼女の存在感は一際輝いていた。特徴的な大きな瞳は、ややギョロ目がちではあるが、美しく健気なヒロインという性質がその眼の演技にも現れており、アムリトを鬼神に変えるトリガーとして抜群の説得力を持つ。また、列車からは退場しつつも、その後もアムリトによる過去回想や幻影として度々登場するので、ヒロインとしての存在感は退場後も維持され続ける。
【逃げ場のない閉鎖空間を舞台に展開されるアクション設計】
先ずはアクション監督を務めた韓国のコーディネーター、オ・セヨンと、インド映画界のベテラン、パルヴェーズ・シャイフのアクション設計に惜しみない拍手を贈りたい。
走行中の列車、しかも寝台列車という非常に限られた空間内で展開される、アムリトら軍人の近接格闘術と、強盗団のストリート仕込みのフリースタイルの対比が見事。
アムリトの駆使する、イスラエルの“クラヴマガ”と、フィリピンの“ペキティ・ティルシア・カリ”を組み合わせた近接格闘術は、改めて劇場で細かく確認したいと思った。
そんな論理的な構成で紡がれるアクションシーンがあるからこそ、アムリトの怒りが炸裂する消化器による殴打やナイフによる滅多刺し、敵の中華包丁で首半分を切断するシーン、ジッポライターのオイルを口に突っ込んで火を点けるといった、論理ではなく感情の爆発による報復表現が際立つのだろう。本当に本作のバイオレンス描写の数々は「素晴らしい」の一言に尽きる。
また、アクションとは異なるが、アムリトが仕留めた強盗団の亡骸を両寝台の手すりに縛り、まるで食肉工場の冷凍豚のように吊り下げるシーンの、まるでホラー映画の如き演出も見事。パンフレットの解説によれば、あれは単なる怒りの発散だけでなく、敵の戦意を奪い、挑発する為の心理戦要素でもあるのだそう。実際、吊り下げられた死体の中に親族を見つけた者は悲しみ、またある者はその光景の以上さに恐怖し、またある者は挑発に乗って報復に向かおうとした。一見外連味溢れる残虐シーンの裏にも、しっかりとロジックがあるのも素晴らしい。
【暴力の限りを尽くして描かれるからこそ、その先に見えてくる“哀しみ”】
本作では、徹底して「暴力の虚しさ」「復讐の哀しさ」を登場人物達に“行動させる事”で描いてみせている。途中、息子を失った悲しみからアムリトに強力を申し出る一般人に至るまで、誰一人として「暴力の果てに報われる事のない」立場なのである。
それは、いくらクライマックスでアムリトが妻の仇であるファニを殴り付けようと、いくら息子を殺した憎き相手をハンマーやクリケットのバットで殴り付けようと、「愛する者は決して戻らない」という、覆しようのない“事実”が突き付け続けられるばかりである。ファニを殴るアムリトの脳裏にトゥリカの笑顔が浮かぶ度、相手を殴打する度、「行動すればする程に哀しみばかりが募っていく」という描写に、思わず目頭が熱くなった。
【事態を解決した英雄が、最後に辿り着く景色】
ラスト、駅に停車した列車から降りて満身創痍でベンチに座り込むアムリト。本来、こうした「列車を舞台にした作品」は、「列車に乗車している状態」が“非日常”として描かれ、「列車を降りる事」で“日常”へと戻ってくるものである。
しかし、最愛のトゥリカを亡くし、相棒のヴィレシュを亡くしたアムリトには、列車を降りたところで最早“日常〈帰るべき場所〉”など無いのである。
アムリトが復讐を果たした先にあったのは、ただひたすらの“無”である。そして、そんな現実から逃避するかの如く、彼は最後に恋人の幻影を見る。彼女は優しく「私はあなたと生きていくの」と語り掛ける。一見すると、残酷な物語の後味を少しでも良く見せようとしているかのように映るかもしれないが、これは「全てを失った哀しみから逃れる術は、幻想の世界に逃げ込むしかない」という、これ以上ない程の残酷な“現実”の提示に他ならないと私は思う。
そう、これは立派な「バッドエンド」だ。
そんな容赦のない切れ味鋭いラストまで含め、私は本作の全てが愛しくて堪らなくなった。
【総評】
インド映画界から現れた究極のエクストリーム・バイオレンス・アクションは、アクション映画好き、バイオレンス映画好きの私にとって「忘れられない一作」となった。暴力の根底に流れている“哀しみ”の表現に、まさかバイオレンス映画で涙しそうになるとは思わなかった。
ハリウッド・リメイク化で本作がどんな転生を見せるのかも楽しみに待ちたい。
ブチ切レ
よくもたせたと思う。
踊らないインド映画で、主人公が悪党どもを滅多刺しにしてく映画。
表題のタイトルコールが面白い。
前半と後半というか、恋人が殺されてスイッチが切り替わったタイミングで挿入されたように思う。
タイトルは「KILL」
主人公が「殺す」と覚悟を決めたように思えて心地いい。
列車に強盗団が乗ってくるわけなのだけど…こいつらの背景と目的が分からずで戸惑う。
一族の絆だけはやたらに深い。
他人はお構いなしに殺すのに一族が殺されると大号泣したりする。殺さないってルールがあったようにも思えずで…ネジの飛んだ奴が1人いて、ソイツだけが殺してたのを俺が錯覚してるだけだろうか?
なんせ、何をゴールにしているのか全く分からず、復讐の連鎖みたいな構図にはなってた。
けど、このほぼドラマの無い物語を牽引したのは主人公の覚悟だとは思う。
最愛の人を目の前で殺された。
それまでは制圧が主であったのが、確実に息の根を止めにいってる。目には目を歯には歯を。
何度殴られようと刺されようと、絶望が彼を突き動かしてたかのようだった。
理性が剥がれたら鬼人にもなるのだろうなと思う。
本番の度にテンションを限界以上に高めた主役は大変だったろうなと思う。
編集も不意に挟まれる情景カットというか、あんまり見ないアングルにカメラが入る。小気味良く想像を裏切ってくれてるようで楽しかった。
殺し方も殺され方も趣向が凝らされていて楽しかったなぁ。首の骨が折れた描写とか、結構なこだわりが見てとれた。
もう少し主人公と敵のボスを見た目で描き分けてくれないかなあと思った
025.11.18 字幕 MOVIX京都
2023年のインド映画(104分、R15+)
列車内で強盗団と居合わせた特殊部隊員を描いたアクション映画
監督あ&脚本は二キル・ナゲシュ・バート
物語の舞台は、インドのヒマーチャル・プラディーシュ州パラムブル
特殊部隊員のアムリト(ラクシャ)とヴィレシュ(Abhishek Chauhan)は任務を終えて基地に帰ってきた
アムリトが預けていた携帯を見ると、そこには恋人のトゥリカ(ターニャ・マニタクラ)から夥しい数のメッセージが届いていて、それはヴィレシュにも及んでいた
内容は、父ブルデーヴ(Harsh Chhaya)の政略結婚に巻き込まれそうというもので、トゥリカは従わざるを得ないと考えていた
ブルデーヴは交通会社を経営している実業家で、その力は軍をも動かせるほどだった
アムリトは彼女の結婚式が行われているランテーに向かい、そこで「駆け落ち」をしようと考える
だがトゥリカは危険が及ぶとして、アムリトも諦めざるを得なかった
翌日、トゥリカは婚約者のジャス(Arun Thakur)たちと別れてニューデリーに向かうことになった
アムリトはヴィレシュとともにその列車に乗り込み、そこでトゥリカを強奪しようと目論む
なんとかトゥリカを探し出してコンタクトを取るものの、その列車にて異変が起こってしまう
それは、ファニ(ラガブ・ジュヤル)を筆頭とする強盗団が同乗していて、彼らは次の駅までの間に乗客から金を奪い始めるのである
映画は、乗り合わせた男が特殊部隊員だったというテイストで、強盗団を鎮圧する様子が描かれていく
前後半に分かれる構成で、ある地点にてタイトルコールがあって、そこからが「後半」のスタートとなっている
この構成から「超覚醒」という言葉が生まれているのだが、ぶっちゃけ覚醒するの遅すぎじゃね、という感じになっていた
ターニングポイントはあるキャラクターの死であるが、これは映画としては珍しい部類だと思う
ネタバレはしない方が良いと思うが、本作はこのキャラクターの死を以て、アムリトが覚醒して殺戮マシーンへと変わっていく様子が描かれていく
そこからは容赦がないのだが、一人を殺した代償に40人近くを惨殺するのはなかなかエグいなあと思った
特殊部隊員として、今後働き続けるかわからないが、彼にとってそれはどうでも良いことなのだろう
ラストシーンでは、その人物の幻想を見るという構成になっていて、珍しくバッドエンドの映画となっていた
いずれにせよ、エンタメのお約束をぶっ壊しているのは評価できるものの、100分程度の映画なのにものすごく長く感じてしまう
また、主人公アムリトと敵のファニのビジュアルがほぼ同じ感じになっていて、見慣れるまではどっちがどっちかわからなくなる
乗客の中に紛れている敵がわかりにくいというのは分かるのだが、敵対する主要人物はもう少しきっちりとビジュアルを分けた方が良かったかもしれない
エンドロールを見れば分かるのだが、敵の強盗団には全員名前が振られているが、名前で呼ばれるのは10人程度だったりする
主要なのは、ファニの父ベニ(アシーシュ・ビディアルティ)とその弟ババン(Mohit Tripathi)と、そのババンの息子ラヴィ(Devaang Bagga)、ベニの右腕のシッディ(Parth Tiwari)ぐらい
味方側はバルデーヴの秘書らしき男・ヴィラト(Pratap Verma)ぐらいで、あとは乗客のアリフ(Akash Pramank)と友人のソハイル(Shivam Parmar)あたりだろうか
そのあたりを視認できなくても何とかなるのだが、それにしてもエンタメ性を捨てた展開はなかなか強烈だなあと思った
インド映画最高傑作、今年の個人最優秀賞候補
これまでに観たインド映画では最高かも知れん。
インド映画踊りなし部門(笑)では、LION 25年目のただいま、が今まで最高だった。
今回、殺しまくりでここまで興奮して楽しめるとは思わなかった。
銃弾と正義、とも違う、殺しのエンタメやと。
本作とファイナルデッドブラッドが個人的にノミネートされたかな。
強奪犯に対して最初から殺しまくってたら、もっとダメージも少なかっただろうに、恋人殺されてから本気出すとかちょっと遅いんちゃうの、という疑問は置いといて。。。
友も殺されてからの反撃も釈然としないが、まぁ主人公を際立たせるためのスパイスとしてはいいかな。
数えてないけど予告の52通り?の殺し方、あったっけ(爆)ナイフで刺されるか、首ポッキン、顔面殴打、が多かったと思うが。
インド映画なのに「歌わない踊らない短い現代劇」で面白いけれど ちょっと微妙なところも
インド・アクション映画は最初は新鮮で面白くてはまったのですが、「RRR」を頂点に、それこそ「パターン」以降はパターン化著しく遠ざかってました。
主人公を超たたえる歌って踊って3時間以上(本国では休憩あるのに日本ではない)とか、ワイヤーでぶっ飛び、CGてんこ盛りのアクションとか、派手になる分ハリウッドアクションの焼き直しになってきたりとか、悪党が女性政治家と警察上層部とか、ヒーローが神話の神様の生まれ変わりとか、活躍するのは美男美女だけで、一般市民はそれをたたえて踊るモブでしかない一方的な被害者とかなどなど。
本作は、前評判から「超期待大」で鑑賞。
その「歌わない踊らない短い現代劇」という点は、とてもよかったです。
主人公の覚醒後の攻撃が、情け容赦無いところがイイ。
(悪者が俺たちは数人しかやってないのに、一族皆殺しか!?という襲っておいて勝手な理屈。)
また、閉ざされた列車の中での攻防戦が、飽きさせないように工夫はされていて面白かったです。
が、レビューの点がいまいちなのにも納得しました。
いろいろもやもやを感じました。
車両の位置を移動しての攻防戦が面白いが、そのせいで若干、位置関係がわかりにくいし、何度もやるのがくどい。
味方もやられるのがリアルかもしれないが、そのせいで爽快感がない。
なにより、ヒーローの残虐性の免罪符のために、中盤でヒロインが一方的にあっけなく殺されてしまうのが痛々しく悲しい。
104分で短いはずなのに、殺戮シーンが途中から少し飽きてくるインフレ状態気味なのが惜しい。
いろいろあって、鑑賞後に爽快感が今一つ残らないのが残念です。
これなら、まだ最後に主人公がヒロインの幻影とともに死んだほうがすっきりしたのに。
ハリウッドリメイクの際には、この辺が一気に整理されるのでしょうね。
続編があったら、今度は妹の「豪華客船上」での結婚式に残党が復讐に来るとか?いや飛行機か?クリスマスのナカトミ・ビルとか?
意外と短い作品なのに長く感じる
ツッコミどころが多すぎて
映画鑑賞後、友達といつまでも作品について
笑い合い語り合いました(笑)
いやぁ、まさか恋人がそんな結果になるとは
思ってもいなかったし、相棒がやられた時には
うそっ😳と声が出てしまったし
加勢してくれた少年も死なせちゃだめでしょ💦
超覚醒するのが遅いってば💦
全身全霊かけて怒りを向ける対象が
雑魚キャラに特化していませんでしたか?
「そんな奴の頭砕くよりアイツやろ🤣」とか
思って見てました(笑)
インド映画は長尺のイメージがありますが
105分と比較的短いはずなのに
長く感じたのは、列車の中でのバトルに
だんだん飽きてくるからでしょう。
あと15分は短くしてもよかったかなぁ。
恋人は殺しちゃダメでしょう
うーん、インド映画の一番いい点は、理屈抜きにスーパーヒーローが、悪い奴を、あり得ないぐらいの力で、むちゃくちゃ強靭な悪党をこてんぱんにやっつけるところです😀
今回、途中で最愛の女性を殺されてしまいますが、その怒りでパワーがアップするとしたかったのでしょうが、いやいやそれじゃ観ているこっちがスカッとしません。
妹が、助かったても恋人が救われなければヒーローの役割は達成じゃないです、ヒーローは最後死んでも、恋人は生きている方が自分はスカッとします。
ノー・ロマンティック。
政略結婚されそうな彼女トゥリカと寝台列車の目的地首都デリーで落ち合う事になってた彼氏で特殊部隊員アムリトと、その寝台列車に乗客の金品目的で強盗に入る強盗団の話。
目的地まで1200キロの長い道のりのなか、総勢約40名いる強盗団一味にジャックされる寝台列車だったが…。
インド作品としては珍しい約100分程度の短い作品、ノンストップアクションでサクッと観れるかな何て思ったら…とりあえず先にツッコミ入れるなら、これは作品だし現状況を考えるとだけど寝台列車のトイレでプロポーズからの指輪渡すのやめてくれ!(笑)
えっ?!そこで!?と思うもののトゥリカめっちゃ喜んでる|д゚)!!
でっ、ヒロインDEAD!?主人公アムリトさんボコられすぎて何かヤバそうと思ったら…殺されたトゥリカを思い出したら超覚醒!!?
そんだけ強いならヒロイン殺られる前に殺ろうよ!というツッコミ!(笑)
さらにツッコむならトゥリカの大事な妹「妹は俺が探す」と言って探しに行ったものの…少ししたら警察とオヤジがさらっと妹確保に…えっ?!(笑)
とりあえずツッコミどころ満載の作品で上映時間は短いけれど長く感じたかな。
全31件中、1~20件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。














