正体のレビュー・感想・評価
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正直であることのモノサシ
何も考えずに言葉にしてみると、それほど難しくなさそうなんですよね。
〝正直に生きる〟とか〝自分なりの正義を貫く〟とか〝間違いに気付いたら素直に認めて本来あるべき姿に戻す〟とか。
だけど、実際にはとても難しい。実行するのが難しい、というよりは現実の社会や人間関係の中では、かなりの勇気とか覚悟が半端なく必要です。
でも、何に対しての勇気?
どうなることへの覚悟?
冤罪のように疑いをかけられた人の未来を決定的に奪うことと自分の地位や面子を失うことを秤にかけたら、誰がどう考えても人の未来のほうが重いのに。
自分が正直であることによって失うもの(地位とか現在の肩書きや収入)なんて、社会正義や倫理観の前ではちっぽけなはずなのに、そういう合理的な判断ができる人が驚くほどいない。
裏金やら党員の水増し問題などの報道を見てもなぜそこまで不正直でいられるのか、と呆れるばかり。
政治家や警察に限らず、どんな形態であろうと一度、国家や企業の権力の側に立ってしまうとどこかの国民の未来なんて、鳥の羽よりも軽く見えてしまい、正義や倫理観という概念が度量衡として機能することすら忘れさせてしまう。
何かの事案が発生して、正直であるべきかどうか迷った時には、自分が失うものの重さを測るモノサシを地位や目先の収入から正義や倫理観に置き換えれば、実はそれほど勇気や覚悟が要らないことに気が付くのではないでしょうか。
横浜流星の熱演&テンポの良い映画
高い評価に期待して観たら、超ガッカリ
逃走とか冤罪とかって聞くと、多くの人が実際にあったニュースのことが頭に浮かんでくると思う。
そういう事実を下敷きにして作ってある映画だけど、リアリティがない部分が多くて終盤には白けてしまった。
先ず、警察の酷さ。今の時代、あれほどの大量殺人事件の犯人が冤罪だったなんてあり得るのか。偉い人が殆ど独断で犯人を決めるなんて、、、、
しかも簡単に逃走させてしまうって何しているのか。
逃走シーンにしても、最初のタコ部屋みたいな会社はともかく、それ以降の出版社や施設は逃走中の犯人が働くには無理があるだろう。
最後は無罪になって良かった、みたいな流れだけど、たった数週間(数日?)関わった人の為に署名活動したりなんて、普通はしないよ。まして殺人犯なのに。
横浜流星みたいな超イケメンだからすぐに家に入れられて仕事の面倒をみてもらえたり、いきなり週末にデートに誘われたわけで、普通の男なら絶対にあんなことあり得ないと思う(僻み)。
主人公、カッコよくて切ない
これキャストが皆良いですな。
吉岡里帆は個人的にもポイントアップなので。という訳で作品の評価がさらに上がっている。
【以下、思いっきりネタバレ注意】
まあ、しかしラストで本当の犯人が同じような殺人起こすかいな? そして第一の殺人も真犯人の殺害現場での痕跡や血まみれの怪しい人間の目撃者とかいてもおかしくないもんか?
まあ、ひたすら勉学にまじめに望んでいたが人生を踏み外してしまった鏑木はほんと感情移入してしまったわな。
しかし、鏑木の家族が出てこなかったのは多少の違和感あり。息子を信じる親や兄弟姉妹がいたらなおさら良かっただろうにな。
とてもよかった。
横浜流星の深化
全編予告編のような映画
予告編どおりの変装、逃亡者ものなのだけど、全体的に大袈裟な感じ。変装が大袈裟、演出が大袈裟、芝居も繊細さよりも歌舞伎的(大袈裟)、ストーリーはダイジェスト感強め。原作は未読だけど結構なストーリーをまとめているんだろう。それでもこのドラマをつくるのに3変装は必要ではあるよね。この際もっと尺を長くしてもよかったのでは。結構突っ込みどろが多くてドラマを見るというより次の展開を見せていきつつ、それでも主人公はいい人であることを証明していくのだけれど、なかなかその内面に入っていくことはできず、山田孝之の刑事もそれほどドラマを持てず、最大の突っ込みどろとしての事件現場にするっと入っていってしまう真面目な高校生というのがとてもリアリティがなく、結果的にすべてが優れた予告編のような映画だった。敢えてMV風とは言わないが配信時代の映画な感じがする。
今年No.1かな?
横浜流星の渾身の演技が胸に刺さる ◯◯怖い!
えー、冤罪ってホントにあるんだ!
こわー
…と思った、元死刑囚 袴田巌さん無罪確定
のニュースを見たのはまだ最近のことだ
で、今、この映画の公開
社会派藤井道人監督、旬なテーマに切り込んだ!
確かに今の法律では
18歳で死刑判決を受ける可能性もあるし
実は冤罪で無実の人が死刑で命を落とす可能性もある
警察や検察は、いつも完全に正義で善なのか?
…ふつふつと、考えさせられた
と、ここで、横浜流星!
この映画の現実的には無理のある
ちょっと誇張されたストーリーを
現実の日本の司法制度に考えを巡らせるところ
へと結びつけたのは
ひとえに、彼の演技力だと思う!
気合い十分で素晴らしかった
身体能力も存分に活かされていた
自然と、
そりゃ、必死で逃げるのもわかるわー
と、思えた
ラストが
本当に無実で心優しい人が
その優しさに触れたやはり善良な人に救われる
温かいものでよかった
エンディングのヨルシカの歌が
やけに、この作品にしっくりマッチしてて
席を立てなかった
映像とキャストは◎、でもストーリーがビックリするほどチープで失笑レベル
TV特番ドラマでもよかったんじゃない、と思うぐらいのレベル作品だと思います
あまりにも普通の冤罪もので、
大して変装や整形してもいないのに堂々と世間に紛れて長い間逃げられるはずがない
どうやって終わらせるんだろう?
真相はいかに?
逃走で関わった人達がなぜそんなに主人公に肩入れしていくの?
とか更に、田中哲司さん演じる沙耶香の父がわいせつ罪の冤罪を被るくだりや森本慎太郎さん演じる和也が借金取り立てでひどい目にあうくだりなど謎に描かれる設定があったり
等々多くの疑問やストーリーとしての贅肉が気になって観ていたけど、ホントに何の捻りもなく脚本が単純すぎて酷すぎた
でもキャストは良かったです
主人公の鏑木を演じる横浜流星さんの演技は素晴らしかったし、沙耶香を演じる吉岡里帆さんもすごくいい、優しくて可愛くて、めちゃくちゃ魅力的でした
そして鏑木を追う刑事を演じる山田孝之さんもメチャクチャ雰囲気があってカッコ良かったです
『光』を見た。見えない幸せが見えた。
*
ダークな雰囲気の作品かと思ったら
希望の光を見せてくれる作品だった。
間違ってることを間違ってると言える強さ。
その強さを持ち続けられる者が光を見る。
しかし実際はその光を見る者は少なく、
闇に覆われてしまうことがほとんどだ。
そんな現実のことを一瞬忘れて、
こんな社会だったらな…と思わせてくれる。
*
“人から信じてもらえている”
普通に生活をしていると気づけない幸せを
彼から教えてもらったような気がした。
「人はひとりだ」と一人で生きてる気でいた。
でも違うんだな、違ったんだな。
自分と関わってくれている人からの信頼や
そのもっと深いところの愛に支えられてるんだ。
普段はそんなこと意識しないけれど、
この作品を通じて、見えない幸せが見えた。
*
自分自身への愛というのも感じられた。
彼にとってそれは真実を貫くこと。
それが彼の自分自身への愛なのではないかと。
その愛が、あの捜査一課の心を
動かしたのではないだろうか。
映画では最適解かな
このお話しはとても好きで、原作はもちろん亀梨和也さん主演のドラマも視聴済みです。
お話しの流れとしては、逃亡先での物語がそれぞれあってその集大成的なクライマックスで心が揺さぶられるといった感じです。
まず2時間枠に収めるのは不可能なのは明らかだと思いした。果たして端折った内容でどこまで原作の良さを表現できるのかに興味がありました。しかし、中々上手くできてましたね。それまでフォーカスされていなかった刑事に重点を置く事で、また違った感動ポイントを創出されてました。最終盤に出てくる面会シーンもストーリーの中で良いスパイスになってました。
同じ話の一つの描き方として「これも正解」と納得できる出来映えではありました。
ツッコミどころ満載
原作は未読ですので、あくまでも映画鑑賞のみのレビューとなります。
ラスト10分は感動的でしたが、それまでのストーリーにツッコミどころ満載なため作品全体としてはイマイチでした。何でこんなに説得力のないストーリーで映画にするのか理解に苦しみます。
あまりにもツッコミどころが多いので全ては記しませんが、特に気になった点を箇条書きにすると
・少年法が改正されたからといって、それだけの理由で「見せしめにちょうどいいから犯人ね」って、いくら何でもそれはないでしょう。
・犯行現場にて、まず主人公と錯乱状態の母親が逃げる犯人を見て、その後、母親が主人公を見たとほぼ同時に警察官が踏み込んで来ますが、警察の到着が早すぎるし誰にも通報する時間など無いのでは?
・そもそも、主人公が逃亡している真の理由が、目撃者の証言を得るためだった訳ですが、そこは本来裁判で争うべきところで、判決が出てから逃亡して証言を得ようとする意味が全く分からない。
・介護施設に立てこもったところへ警察が強行突入しますが、主人公が警察官に抵抗する意図が分からない。
等々、ストーリーに説得力が無くご都合主義な作品は嫌いです。
リアリティとは何か?
信じる事の大切さというテーマが軸になっているのはとても良かったと思うし、感動的なラストも決して悪くはない。つまり物語自体はそれなりに良いと思うのだ。でもどうしてもしっくり来なかったんだよね。なぜかと言うと、主な理由として警察の在り方や捜査手法、刑事の信念などにリアリティが感じられなかった点が個人的には非常に痛かったのだ。
鏑木(横浜流星)を追う刑事の又貫(山田孝之)は上司(松重豊)との板挟みに苦しむわけだが、又貫の刑事として人間としての行動に「説得力」や「一貫性」が圧倒的に不足していたように思えてならない。上司からの命令が絶対とは言え彼はなぜ従ったのか?葛藤を抱えながらどういう正義感で鏑木を死刑にまで追い込んだのか?また脱走した鏑木をどういう気持ちで追い詰めて行ったのか?そして最後に鏑木と対面した時に何を思ったのか?つまり又貫という人間の「生き様」に信念があるかのように描いておきながら、実は一貫性というかまとまりに欠けており、そこが物語として大きく「リアリティ」を損ねてしまう要因になった。それが本当に残念でならないのだ。
理不尽な命令には絶対に従うもんかという正義もあれば、上司が黒と言う限り絶対に黒だと信じる正義もある。つまり誰しも必ず「己の正義」があるはずなのだ(刑事という職業ならなおさらだ)。だからそのどちらかに振り切って又貫なりの「正義」を明確にして欲しかった。またもし彼の正義が「揺らぐ」のを描くのであれば、彼がもっと苦しんで崩壊して行く様を最後まできちんと描いて欲しかった。これはあくまでも僕個人の感覚だが、上司(松重豊)に付いて行くと決めたのであれば、たとえその上司が間違っていようとも一緒に地獄へ落ちて心中する「潔さ」の方が、僕にはズドンと刺さるのだ。
さらに終盤、いよいよ我慢出来なくなった又貫が記者会見で全てをひっくり返すわけだが、そこまでの彼の苦しみや葛藤、覚悟が表現し切れてないため感情移入出来なかったし、ひっくり返す事で彼もまた多くを失ったはずなのに「そういう感じでもない」のも非常に違和感があった。だから最後の面会で鏑木と普通に話す又貫の神経も全然意味が分からない。だってそこは躊躇なく鏑木に対して土下座して懺悔する所じゃないのか?と思わずにはいられなかったからだ。少なくとも刑事という仕事を通じて、又貫なりに人生を賭けて貫いてきた正義が「間違っていた」と認めるならばね。だからアンタは上司に背いてでも全てをひっくり返したんでしょ?と。何と言うか、又貫という刑事(人間)の「考え方のつじつま」が全然合ってないように思えてどうにも納得行かなかったのだ。だから又貫が「彼の正体に気づかなかったんですか?」と問いかけるのもすごくおかしいと感じる。「お前が言うな」と思ってしまうからだ。又貫が鏑木の正体を分かっていたとしても分かっていなかったとしても、どちらにしても違和感しかない。でもこういうモヤモヤ感ってやっぱり人によって感じ方にかなり違いがあるのだろうとも思う。これ上手く伝わってる自信が全くないけど(笑)
他にも警察側が「こいつでいいや」的に安易に犯人に仕立て上げておきながら、いざバレそうになると「警察の信頼は失墜する」ってくだりも何だそりゃと思うし、鏑木が唯一の証人である由子(原日出子)を探し出して証言を求める展開もちょっとどうかと思った。まあ細かい事言い出したらキリないんだけどね。ここまで散々言っておいて何だが、僕は無茶な設定もストーリーも展開も基本的には「あって良い」と思ってる。ただしそれを押し通す力(リアリティ)があればという話であり、残念ながら本作は僕にとってそうはならなかったという事だ。ちなみに僕がここで言うリアリティとは、設定や状況や展開だけでなく背景や心情なども含めて「自分が納得出来るかどうか」というリアリティの事だ。特に分かりやすいのが「悪」の描き方で、これが雑だともう本当に冷めてしまうのだ。色んな作品でよくあるが、警察の雑な動きってマジで冷めるんだよね。
ところで横浜流星君は良い役者になったなと思う反面、あまり作品に恵まれないというか(悪くはないんだけど)僕の好みの作品ではないという印象がとても強い。「春に散る」「流浪の月」なども僕的にはちょっと合わなかった。ただこの作品に対する全体的な評価は概ね高いので、あくまでも僕個人の好みの問題と言えるかなと思う。
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