「横浜流星さんが素晴らしい!」正体 のりたまちびさんの映画レビュー(感想・評価)
横浜流星さんが素晴らしい!
最初からストーリーに引き込まれ、適度にドキドキハラハラし、後味もよかった。
横浜流星さん出演作は、原作に惹かれて観た「流浪の月」と今作のみ。
「流浪の月」で、ヒロインのサイテーな恋人(モラハラ・ストーカー気質)を演じていて、主演の二人より横浜流星さんに惹かれた。
「正体」は、予告編を観て、すごく楽しみにしていた。
期待を裏切らない、大満足な作品だった。
鏑木の逃走した理由を聴いた時は、胸が震えた。
今年、袴田さんが無罪確定したことからも分かる通り、警察、検察、裁判所には、人の運命を左右する力がある。
それを肝に銘じて、仕事に邁進して欲しい。
この作品では、殺人と痴漢の2件の冤罪事件が出てくる。
初期の行動が、のちのちの面倒を引き起こすということを示している。
殺人現場では現場に立ち入らず、安全確保してすぐ通報が、痴漢ではその場から逃げ出さないことが、大事だ。
鏑木の無実を信じて、再審に向け活動する安藤さんたち。
再審には、お金も時間も気力・労力もかかり、道のりは遠く険しい。
鏑木のいた児童養護施設の職員(ロザリオを下げているのが印象的)が、おそらく鏑木にとって無罪を信じてくれそうな知己だろうけど、彼と交流しているかは不明。
映画のように、赤の他人が先頭に立ってというのは、現実ではなかなかないだろう。
自分なら、だれだったら再審請求の活動をするだろう、だれだったら私のために再審請求の活動をしてくれるだろうと考えた。
「人を心から信頼する」ということは、ホントに重い。
そして、もうひとりの主役、真犯人。
直接の触れ合いが激減し、個立化していく社会の中で、こういった事件を起こす人は、増えていくだろう。
20世紀は、自分が抱える不満や不安、さびしさを対面で他人と共有する機会がたくさんあった。
悩んでいるのは自分だけではないと実感でき、エネルギーチャージができた。
現代は、機器を通して、SNSなどでたくさんの人と共有はできるが、不満や不安、さびしさが晴れるどころか積み重なっていく感じがする。
スマホを持って5年9ケ月の私でも、人と会うよりlineでやり取りする方が楽と思う。
プライベートで対面で会うのは、互いを拘束しあうタスクで、そこまでして会いたい人は、どんどん減っていると実感している。
この流れは、これからより加速するだろう。
映画の中で、本を読みながら歩く高校生を久しぶりに観て、ますます鏑木を好きになった。
鏑木の今後を想像して、帰り道も幸せな気分だった♪