劇場公開日 2024年8月2日

赤羽骨子のボディガード : インタビュー

2024年8月2日更新

ラウール、高校時代は“陰なる道”を極めていた 「トータル10秒くらいしか、人としゃべっていない」

ラウールの“21歳の胸の内”「挫折したとしても、それを良い運命に変えていけるようにしたい」
ラウールの“21歳の胸の内”「挫折したとしても、それを良い運命に変えていけるようにしたい」

映画「赤羽骨子のボディガード」(公開中)で、「ハニーレモンソーダ」以来3年ぶりとなる単独主演を務めた「Snow Man」のラウール。ヒロインを全力で守る主人公のヤンキー高校生・威吹荒邦をとびきり熱く演じ、観る者を魅了する。

ラウールが激しいアクションやコミカルな演技にもトライして新たな扉を開くと同時に、キラキラと輝く個性を存分に発揮している本作。挑戦を重ねている今の心境を尋ねてみると、「しっかりと地に足を付けて進み続けていきたい」と、華やかな存在感の裏側にみなぎっているのは、どこまでも実直な情熱だ。応援してくれる人を大切にしながら、自分自身についても思考を深めている、ラウールの“21歳の胸の内”に迫る。(取材・文/成田おり枝、写真/間庭裕基


●3年ぶりの映画単独主演にワクワク! 熱血漢の荒邦に「フルパワーで挑んだ」

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原作は、丹月正光氏が2022年9月から週刊少年マガジン(講談社刊)で連載中の同名漫画。とある事情から女子高生の赤羽骨子(出口夏希)に100億円の懸賞金がかけられ、大好きな幼なじみである彼女のために、ボディガードとなった威吹荒邦。「彼女にバレることなく守る」というミッションを与えられた荒邦は、全力で彼女を守るべく奔走する。実はクラスメイトたち全員がボディガードという斬新な設定や、各自が能力や武器を駆使してバトルを繰り広げる、ド派手なアクションも見どころだ。監督は、「変な家」の石川淳一が務めた。

3年ぶりに単独主演を務めることに「ワクワクした」というラウール。「どうしたら自分がこの映画に貢献できるのだろうかと考えると、もちろんプレッシャーもありました」と、オファーを受けた当時を述懐。「映画というのは、ひとりひとりが労力を割いて、いろいろな部署の方の頑張りがあって出来上がるもの。また本作はたくさんの人が期待してくれている作品だと思うので、期待に応えたいという思いもあります。それを乗り越えた時には充実感もあるだろうなと思うと、そういったプレッシャーも含めて楽しみだなと感じました」と、ポジティブな姿勢を吐露する。

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脚本を読んで、ワクワク感はさらに増幅したという。「僕、『オーシャンズ11』が大好きで」と引き合いに出しながら、「クラスにそれぞれの能力を持った人が集まって、みんなで何かを成し遂げようとする。この展開はめっちゃ好みだな!と、グサッと心に刺さりました」とにっこり。

骨子に一途な恋心を抱き、無茶なことにも体当たりで挑んでしまう金髪ヤンキーの荒邦は、見ているだけで胸が躍るような愛すべきキャラクターだ。ラウールも大いに心惹かれたといい、「普段の僕はほんわか系なんですが、荒邦はオラオラしている感じの男の子。僕自身、これまであまり見せてこなかった表情を見せられた気がしています。ただオラオラしているといっても、荒邦の場合はそれが怖くは見えないんですよね。とことん純粋に生きていて、怖いというよりは、面白くて可愛いヤツ。怖い見た目をしているけれど、実際は怖いヤツではないということを意識して演じていました」と荒邦に愛情を傾けつつ、熱血漢の役どころなだけに「どこまで振り切れるかというのは、挑戦ではありました」とも。

「カロリー高めの役なので、しっかりと、タフに立ち続けられたらと良いな思って。常にマックス、フルパワーで挑みました」と全力を注ぎ、周囲を照らすようなパワーを映画に刻み込んだ。


●大切な人が大切にしているものを、大切にしたい

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クラスメイトを演じる面々には、奥平大兼髙橋ひかる倉悠貴山本千尋戸塚純貴といった若手実力俳優に加え、声優としても活躍する木村昴、お笑いコンビ「モグライダー」の芝大輔ら、バラエティ豊かなメンバーが顔を揃えている。

「裏表がなくて、人間味にあふれる人ばかりが集まった現場。だからこそ僕も緊張せずに、いつもの自分でいられた気がしています。ものすごく楽しかった!」と撮影を振り返ったラウールは、「本当に誰ひとりとして、キャラクターのかぶる人がいないんですよね。撮影の合間には、それぞれがいろいろな話をして、みんなでそれを聞いているという時間が多かったです。極めている分野もバラバラで、みんなの話を聞いていてもすごく勉強になりました」と、刺激的な時間になったという。

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気の合うメンバーともう一度高校時代を過ごした感覚にもなったようで、「今回がすごく楽しくて、自分自身の高校時代ももっと楽しんでおけばよかった!と後悔したりして(笑)。僕の高校時代は、トータル10秒くらいしか、人としゃべっていないと思います。それくらい“陰なる道”を極めていました。当時の自分に声をかけられるとしたら、『もう少し肩の力を抜いていこう!』と言ってあげたい」と笑う。以前は「人見知り」を公言していた彼だが、今回はそれを発動しなかったそうで、「最近、『どうやら人見知りじゃないっぽい』と気づいて。以前は、そういうお年頃だったんだと思います」と、たくさんのコミュニケーションを取りながら、クラスの絆を体現した。

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「骨子を守る」というミッションに立ち向かう中で、荒邦がクラスメイトたちと心をひとつにしていく様子には胸が熱くなること必至だ。また「誰かを守るというのは、その人が大事にしているものを全部守ること」と覚悟を決めて、あらゆるものを守ろうとする荒邦の姿に、ラウールは「とても共感できた」と明かす。

「僕は、自分が『大切だな』と思っている人が大切にしているものを、大切にしたいと感じていて。たとえば、ファンの方たちが求めるような曲やビジュアルがあるとすれば、そういったものはしっかりと生み出していきたいという気持ちが強くあります。自分たちを好きでいてくれている人の好みは、すごく大切にしたくなる」と、守りたいものはファンの思いであると語る。さらに「自分が挑戦したいものだけを追い求めていたら、気づいたらその挑戦を応援してくれる人もいなくなってしまうかもしれない。一方で、挑戦をせずに、求められるものに応えるというところだけにフォーカスしすぎても、思ったような成長はできないかもしれない。どちらの側面もあるので、そのバランスはしっかりと考えていきたいなと思っています」と、まっすぐな瞳を見せる。


●20代は、怖がらずにチャレンジを

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「Snow Man」としての活動はもちろん、俳優業、フランス・パリの事務所と契約をしてモデル業にも邁進するなど、ラウールは幅広い分野で果敢にチャレンジを続けている。

本作では、将来に悩む骨子に対して、荒邦が「何かを手に入れるために、何かを諦める必要なんてない」という言葉をかける。ラウール自身も、「どちらかというと、そういった考えをするタイプ」だという。「挫折があったとしても、最終的にはそこで諦めなかった人が成功できるのかなと思っていて。だからこそキツイ時こそ頑張りたいし、キツイなと思った時は『これは将来に向かうためのきっかけなのかも』とポジティブすぎるくらいに捉えたほうがいいのかなと。そういう考え方は、常に意識しています」とキッパリ。「挫折したとしても、それを良い運命に変えていけるようにしたい」と、どんな時も立ちあがろうとする強さを秘めている。

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6月27日に誕生日を迎え、21歳となったラウール。20代に足を踏み入れて、感じている変化はあるだろうか? すると「最近は特に、自分の判断で自分の人生が決まっていくような感覚があって。“自分のことは自分で決めていく”という、仕事のスタイル。その分、責任感もすごく芽生えますし、しっかりと覚悟を持って、ひとつひとつのことをやっていかないといけないなと強く思っています。地に足をつけて、進み続けられたらいいなと思っています」と答えるなど、彼の口から飛び出すのは、自分にも周囲にも誠実で、情熱的な言葉ばかりだ。

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歩みを進める上で、大きな励みになるのはファン、そして「Snow Man」の存在だ。「個人の仕事に関しては、それぞれがやることを、グループのみんなが純粋に応援しているという感じです。僕自身、根本には少しでもグループに貢献できたらいいなという思いもあります」と告白。「たまたま本作の撮影をしていたら、同じ時間帯に、同じ建物の中で目黒(蓮)くんが、本読みか衣装合わせをしていて。そこに遊びに行ったりしていました。その後はグループの仕事があったので、『この後は一緒だね』と話したりしていて」と楽しそうに目尻を下げ、「メンバー間でお互いの仕事を励まし合うことが多い」と、並々ならぬ信頼感をにじませる。

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清々しく未来を見つめる様子からも、「これからどのような表情を見せてくれるのか」と、無限の可能性を感じさせてくれる。自身の個性も発揮しながら、表現の世界で挑戦を続けていきたいというラウール。「『これは自分の武器だ』と思うものを全面的に出していくのは、怖いことでもありますよね。自分の長所だと思うものを出して失敗したら、全否定されたような気持ちになってしまう。そういった恐怖はあります。でも無理矢理にでも自信を沸き立たせて、自分を表現していきたい。20代はその気持ちを忘れずに、怖がらずにいろいろなことにチャレンジしていきたいです」と宣言していた。

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