劇場公開日 2025年1月24日

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「美しい心を持った、信念の人」雪の花 ともに在りて 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0美しい心を持った、信念の人

2025年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

幸せ

癒される

カワイイ

笠原良策(1809〜1880)
福井藩に実在した江戸末期の蘭方医だそうですが、
はじめて知りました。
天然痘に成す術のない町医師に限界を感じて、
種痘を長崎から京を経て、福井藩に運び
種痘場を開き天然痘と戦った。
《種痘》とは、天然痘の予防接種であり、
人類初のワクチンである、そうです。
(原作は八甲田山で有名な吉村昭の同名小説)

一口に種痘と言っても、タネ菌を子供に植え付け、それが
無事“植えついて“、さらにその種菌を、絶やさずまた
別の子供に接種する。
並大抵なことではありません。
特に冷蔵庫もない江戸時代のことです。

種菌を運ぶ後半はとても緊迫感溢れる場面が続出。
特に京都の種菌を福井藩の子供に植え付け、
帰り道は雪深い峠越え、史実では、
11月19日から11月25日まで峠越えでした。
実際に11月半ばなのに雪深く、峠は猛吹雪に遭い、
本当に奇跡の生還でした(子供連れですし・・・)
良くぞご無事に帰れたものです。
映画では、せっかく届いた種痘を、御殿医が、
誹謗中傷を広げたことで、
“種痘を受ける子供が居ない“
などの大ピンチに見舞われるのです。

コロナワクチンでも、温度管理や消費期限などの、
管理の難しさが多々あり、廃棄処分したり大変でしたね。
この天然痘の種痘も種菌を絶やさず、種痘の生産と管理に
大変な資金が必要だったのです。
☆☆☆
松坂桃李は意外にオデコさんなんですねー。
背の高さも時代劇で見ると中々の大男。
武芸にも長けており、黒澤明の「赤ひげ」の三船敏朗ばりの、
骨をへし折ったり、関節外し・・・と、めっちゃ強かったり、
奥さん(芳根京子)も、出来た妻で、太鼓まで披露。
芳根京子さんは「居眠り磐音」でも思われ人の花魁役でしたが、
今作は見事に奥様に昇格しています。

品格があり格調高い本格時代劇を堪能させて頂きました。

琥珀糖