「TVのドキュメンタリーを超える質ではないように感じました」決断 運命を変えた3.11母子避難 QuantumGRさんの映画レビュー(感想・評価)
TVのドキュメンタリーを超える質ではないように感じました
いくつかのもやもやした感情が残りました。
1. 対象が訴訟関係者、選挙に出た方などが主で、普通の市井の方の悩みが聞きたかった。
2. 事故前の知識、感情、原発や政治に対する姿勢が描かれず、突然襲いかかってきた天災として描かれています。問題意識を持たない、事故前の無意識的加害者性も内在する生き方の問題性が描かれれば、原発の電力を享受する都市部の市民と同じ共通の土台=原子力政策を議論することができたのではないでしょうか。
3. 過疎の村に原発を押し付けられ、やむを得ず関連施設で仕事をしている住民が、避難を余儀なくされるという発言者が一人も現れません。こういう方の苦悩もぜひ聴いてほしかった。
4. 市民の科学の不在が最も印象付けられた。一家離散の原因は経済問題、知識や合理性判断、感情であろうかと思います。科学的知識やリテラシーを持つ市民科学者はどのように考え行動したのだろうか?同時に測定器具を持つ方もいたはずで、そのような方の行動や意識もぜひ伺いたかった。
知識や批判的理性の有無によって、ネットにおける謬論・非科学的言説に影響されやすさも異なってくるでしょう。
被害者だけに特権的な発言権があるわけではないので、異なる立場や意見と議論こそ建設的な展開を生み出すと思います。
こんなにも地震災害が多く、核燃料サイクルも破綻した状態で、原発再稼働をすることに目立った市民の反発がないこの国のあり様こそ、異様でグロテスクで無責任です。この状態で再び避難状況になったとき、わたしは被害者ですと言えるのだろうか?
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