決断 運命を変えた3.11母子避難

劇場公開日:

決断 運命を変えた3.11母子避難

解説

東日本大震災に伴う福島原発事故により人生最大の決断を迫られ、福島県から全国各地へ自主避難した10組の家族の苦悩と現状を描いたドキュメンタリー。

2011年3月11日、人々の平穏な日常が震災によって一変した。原発事故の発生で放射線が降り注ぐなか、予備知識を持たない人々は為す術もなく、的確な指示がないまま1人ひとりがわずかな情報を頼りに、自分たちの身を守る決断を迫られることに。それは円満な家庭の崩壊の始まりでもあった。

原発問題と命懸けで闘った元福島県知事・佐藤栄佐久のドキュメンタリー「『知事抹殺』の真実」の安孫子亘監督が、7年の歳月をかけて本作を完成させた。

2024年製作/89分/日本
配給:ミルフィルム
劇場公開日:2024年4月12日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
撮影
安孫子亘
プロデューサー
ナオミ
編集協力
池内誠
音声
小俣大治
音楽
DAIJI
主題曲
DAIJI
ポスター画
やまなかももこ
宣伝美術
内海紗耶華
翻訳
シング麻美
制作デスク
塩谷奈津紀
クレアリー寛子
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フォトギャラリー

映画レビュー

3.0TVのドキュメンタリーを超える質ではないように感じました

2024年4月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

いくつかのもやもやした感情が残りました。

1. 対象が訴訟関係者、選挙に出た方などが主で、普通の市井の方の悩みが聞きたかった。
2. 事故前の知識、感情、原発や政治に対する姿勢が描かれず、突然襲いかかってきた天災として描かれています。問題意識を持たない、事故前の無意識的加害者性も内在する生き方の問題性が描かれれば、原発の電力を享受する都市部の市民と同じ共通の土台=原子力政策を議論することができたのではないでしょうか。
3. 過疎の村に原発を押し付けられ、やむを得ず関連施設で仕事をしている住民が、避難を余儀なくされるという発言者が一人も現れません。こういう方の苦悩もぜひ聴いてほしかった。
4. 市民の科学の不在が最も印象付けられた。一家離散の原因は経済問題、知識や合理性判断、感情であろうかと思います。科学的知識やリテラシーを持つ市民科学者はどのように考え行動したのだろうか?同時に測定器具を持つ方もいたはずで、そのような方の行動や意識もぜひ伺いたかった。
知識や批判的理性の有無によって、ネットにおける謬論・非科学的言説に影響されやすさも異なってくるでしょう。

被害者だけに特権的な発言権があるわけではないので、異なる立場や意見と議論こそ建設的な展開を生み出すと思います。

こんなにも地震災害が多く、核燃料サイクルも破綻した状態で、原発再稼働をすることに目立った市民の反発がないこの国のあり様こそ、異様でグロテスクで無責任です。この状態で再び避難状況になったとき、わたしは被害者ですと言えるのだろうか?

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QuantumGR

4.5観ておくべき証言ドキュメンタリー

2024年4月10日
PCから投稿

佐藤栄佐久元福島県知事を描いた「知事抹殺の真実」(2016)は以前に観て、テーマの掘り下げ方だけでなく、自然や人間の描き方に感銘を受けていたので、その安孫子亘監督が七年かけて福島県から避難した人達をおいかけて作ったドキュメンタリーということで、早めにみました。

「10組の家族の苦悩と現状を描いたドキュメンタリー」との言葉から観る前に描いていたイメージとは全く違い、そこに登場する人たちは、「かわいそうな人達」ではなく、「歴史を作る真正面を歩いている ある意味輝いている人達」でした。安孫子監督のカメラの前で、語る様々な本音は、福島原発事故の問題を浮き彫りにすると同時に、時代の中で、抗って生きる人たちにとって、メッセージのような珠玉の言葉がちりばめられていました。

アフリカで野生生物をとったり、東日本大震災と福島原発事故後、福島県会津に移住するという異色の経歴をおもちの安孫子監督が、はるか遠い未来を見つめて作った映画だということも感じられました。

映画監督のカメラの前にたつということは、避難した人にとっては大変なことと思います。
10組の家族の向こうには、カメラの前にたとうとはしない何万倍かの人たちがいることと思います。
日本中どこに住んでいても、原発事故と無縁では生きられない中にいるからこそ、メデイアがとりあげることのない「避難の現実と避難者の思い」を描いた「決断」は誰もが観ておくべき映画と思いました。

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tara