ルックバックのレビュー・感想・評価
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よく分からなかった
作品を生み出す苦労と各キャラへの原作者の想い
短いけど、質の高い良い映画
58分と映画としては短いので、割高な感じがして観ていなかったけど、中身が十分つまった良い映画だった。主人公二人に共感し、応援する気持ちになり、結末は強い衝撃を受けた。
二人が初めて顔を合わせる場面が物語のポイントになっているところもよくできている。観客が藤本の気持ちを強く受け止める仕掛けになっていて、すごいプロットだと思った。あの場面の大量のスケッチブックによって、主人公二人を含む漫画家全員に対して尊敬する気持ちにもなった。藤本が服の背中に大きく書いた「サイン」も、その後の場面で感動を呼ぶ。
映画全体の作画がとてもレベルが高い。藤本が農道を走る場面など、カメラアングルが素晴らしいし、藤本が走る時の手足の動かし方(演技)も見事。藤本の部屋にある漫画本など、小物もひとつひとつ自然でリアル。窓ガラスに映る人物の使い方など、かっこいいと思った。
原作者の藤野タツキ、監督の押山清高、二人とも最高。良い作品をありがとう! 無理に尺を長くしなくて正解だと思う。
なんて美しい作品か。
なんと美しい作品だろう。
胸がきゅーっとなった…。
原作読んだときは正直ピンとこなかったんだけど、こんなに丁寧に描かれた映像で観たら、藤野と京本の過ごした日々の美しさと切なさがめちゃくちゃ刺さってしまった。
一緒に楽しそうにマンガを書く2人が日々を積み重ねていく演出、藤野がそれを思い出すシーンで泣いた。あまりにキラキラして美しいんだもの…。
ストーリーももちろん良いんだけど、本作のキャラデザ、アニメーション、とても良いよね…。
藤本タツキ先生のタッチがそのままアニメーションになったかのようなキャラデザ、そして登場人物の繊細な目の描き方が良い…。
アニメーションも素朴なイラストっぽいというか、そこが良い。このタッチで描かれる藤野たちの暮らす広がる田んぼと舗装されてない道、高い空といった素朴な田舎の風景もまたとても良い。
そして劇伴…!!劇伴めちゃくちゃ良かった…。
優しく切なく美しいピアノが物語に合ってて、とても寄り添っている。サントラ聴こうと思う。
声をあててるキャストも良かった。
藤野の河合優美ちゃんぴったりだったな。
つらくて暖かい青春
鎮魂歌
リバイバル上映で初見。アニメ・漫画好きではないが、手書きのタッチが新鮮。小さい頃から手書きの漫画に魅せられた二人の物語にぴったりの表現となっている。田舎のあぜ道のシーンなどもいい。
あの大事件をモチーフにしていることがわかるが、「あり得たかもしれない過去」を考えるのは辛い。いずれにしても、二人は漫画で繋がる定めになっていたと読んだ。
エンディングの賛美歌のような楽曲が、作品のテーマと相まって、鎮魂歌に聞こえた。
ところで、オープニングとラストがいずれも主人公の背中をじっくり見せるショットで、タイトルのダブルミーニングかとも思ったが、こじつけかな?
1時間弱の作品で一般公開されたことも話題になったが、もう少し二人の姿を見ていたかった気持ちはある。
2人で過ごした時間が愛おしい!
なんて悲しい結末なんだろう。だからこそ、出会い、作品作り、別れ…2人が過ごした時間がとても引き立つ。
それぞれが「彼女のように書けるようになりたい!」と、姿見えぬライバルを目標に、必死に絵の練習した小学時代。春も夏も秋も冬も、無我夢中に描き続け、ヒット作を生み出した中高生時代。
ずっとこんな幸せな時間が続くかと思いきや…引きこもり京本が美大に進むことを告げる。これからデビューなのに…良いパートナーなのに…ショックすぎて、暴言を吐いてしまう藤野。痛いほど、彼女の気持ちがわかる。
ケンカ別れをした後、悲しい事件が起こる。いろんな後悔が頭の中を駆け巡ったんだろう。藤野の気持ちが痛いほどに伝わってきて、涙が止まらなかった。
大量のスケッチブック、藤野のサインが入った半纏、出会いのきっかけとなった4コマ漫画…「もし会わなかったら、こんなことは起こらなかったかも」という気持ちがよぎるものの、本棚に並ぶ藤野のコミックを見ると、別れた後も京本が応援してくていたことが見てとれる。
2人で紡いできた過去があり、今がある。辛く悲しい出来事を胸に、また描き続ける。きっと京本は、側で見続けている、彼女に自慢できる作品を作ろう、と。
シンプルなストーリー展開、セリフではなく描写で真意を語る描き方…だからこそ、登場人物の気持ちがよくわかる。久しぶりに素晴らしい映画に出会ったわ。
ちょっと言葉にならない。
雨のシーンは形は違えど誰もが何かしら経験したことがあるのではないの...
それでも生きる
凝縮されたストーリーに好感が持てた
原作未読。
無駄のない作品でとても好印象だった。藤野の育ってきた背景からはじまり、京本と出会い仲良くなっていく様子やふたりの関係性が明確に描かれており迷いなくストーリーを楽しめた。
良かった点として、言葉で語らず描写で表す場面が全編とおして多くよかった。藤野の本棚が話が進むにつれて変化していく様子は胸が熱くなりました。
気になった点として、アマプラで視聴していたが故か挿入曲が入るシーンで音量がバッと大きくなるのが3回ほどあり音量をその度に下げていたため評価下げてしまったが、映画館では逆に相乗効果として高評価になるのかな。ほんとに無駄なストーリーがまるでなく気分よく見られる作品でした。
『ルックバック』したことで気づく絆と成長
2025日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品に輝いた本作。小学校時代から、漫画家を目指してきた2人の少女の青春群像劇。自分の娘も漫画家をしており、高校時代からいろいろな作品投稿をし認められ、集英社からこれまでにも何冊かコミックも出している。しかし、コロナ禍となり、思うように絵が描けなくなり、一時は挫折し、この世界の光と影を味わってきた。今は、背景アシスタントをやりながら、復活を目指して頑張っている。
そんなことで、本作に登場する漫画家を目指す藤野と京本2人の、漫画にかける想いだけでなく、様々なシーンがオーバーラップしてきた。絵を描く部屋や同じスケッチブックが積み重なった様子、当初は、ペンで描いていた原画を今はパソコンで描いている作業、そして美術大学進学か漫画家の選択等、実際に娘の成長を通して、目の当たりにしてきたことである為、より感情移入ができた作品でもあった。
原作は未読だが、『チェーンソーマン』の藤本タツキの作品と言うこと。きっと彼も漫画家を目指した頃の思いが、この2人の姿に投影されているのだと思う。個人的には、京本から「藤本先生の大ファンでした」と告られた後、雨の中、泥水も気にせずに、小躍りしながら家に向かうシーンは、藤野が気持ちの高揚を抑えられない様が、見事に伝わってくる描写だった。また、ジャンプの賞発表を、雪のコンビニに藤野が京本の手を引いて向かい、自分達の名前が掲載されていた時のシーンは、派手な喜びではないが、確実に嬉しさが染み渡るシーンだと感じた。
そんな中、連載が決った時、京本が美術大学進学を選んだ理由として、引きこもりだった京本が、これからの人生を自分で切り開き「藤野に頼らなくても生きていきたい」という、切実な思いが込められていたように思う。一方、京本の才能に最初から気づいていた藤野だからこそ、これまで常にマウントを取っていないと不安だったが、京本の大学進学が、藤野を漫画家として独り立ちさせる後押しになったとも感じた。
ラストには、意外とも言える悲しい結末が待っており、そこで初めてタイトルの『ルックバック』(回想・振り返り)の意味合いの重みも増してきた。そして、卒業式のあの日、藤野が何気なく描いた4コマ漫画が、バタフライ・エフェクトとして、その後の2人の人生に、大きく左右する発端である事が意味づけられる展開は、作者のストーリーテラーとしての巧みさを感じた。
泣くしかない、だけど進むしかない
映画館で見ればよかった
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