劇場公開日 2025年1月17日

「今、観るべき映画」室町無頼 Nekohigeさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0今、観るべき映画

2025年1月12日
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東映京都を真ん中にして、良い意味で「侍タイムスリッパー」と対称的位置にある映画です。

東映初のIMAX、豪華な出演者・スタッフ、おそらく今、東映が作れる限りの渾身の一作。

大泉洋! アクションシーンまでやってのけましたね。一筋縄はいかないいかがわしさを漂わせたイメージが上手く役柄にはまっていて、今この人以上に役に相応しい人が思い出せません。

長尾謙杜、アイドルなんですね。大変な頑張りだったろうことが伝わってくる力演です。台詞回しなど指摘されるかもしれませんが、三船敏郎初期の台詞回しを思えば、かえってこれからの飛躍さえ予感させます。

他の方が書いておられるように、欠点も色々あるでしょう。長く生きて、過去たくさんの名作傑作を観てきたと自負する者にはいっそうあらが目につくかも知れません。 しかし、時代劇全盛期の傑作だって、今は忘れ去られた駄作・凡作があったからこそ生み出された精華だったのではありませんか。
瀕死だと思われた時代劇の流れの中でようやく復興の火がほの見えてきた今、敢えてこの力作を作った東映京都には、撮影所を挙げて「侍タイムスリッパー」を応援したのと同じ心意気を感じてしまいます。

この映画にはコケてほしくない、この成功で十、百の時代劇が続いて作られて欲しい、そしてその中から、さらにいっそう優れた百年後に残る大傑作が誕生してほしいと思わずにいられません。立ち位置の力作にして傑作です。 映画の成否が今後の時代劇の存在を左右する、分水嶺になる作品ではないでしょうか。

観るのが良い、観なければならない映画。そういう意味で⭐︎5つ。

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Nekohige