かくしごとのレビュー・感想・評価
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不可思議なタッチで再構築されていく関係性
杏という女優には、非常に真っ直ぐな目線と、間違ったことにNOを突きつけるイメージが付随する。本作の監督はその部分を巧妙に活かしながら、主人公を危うい倫理観と母性の隙間へといざなっているかのようだ。日常世界に根を下ろしつつ、ラビットホールに陥っていく不可思議な展開がそこにある。彼女がつく嘘(かくしごと)にはちょっとにわかには信じがたいこと、そんなのバレるだろう、と思えるその場しのぎの嘘がいくつも見受けられるので、序盤は観ている側にとっても不安定な感じが付きまとうし、故郷帰りの新生活にもなかなか心の落ち着く場所が見出せない。しかしそんな空気が徐々に変わる。川を渡す一本綱の上を歩いているような感覚を覚える中、彼女のみならず、認知症の進む父親、血の繋がりのない訳あり少年との間で、嘘が真実を超えるというか、擬似家族的な風が吹き始めるところに見応えがある。特にラストシーンはハッとさせられる仕上がりだ。
どちらかというと認知症の父親の介護の方がメインになってしまっている...
どちらかというと認知症の父親の介護の方がメインになってしまっているかな。 そもそもだが、酒を飲みに行くのに店まで車で行くな。 帰りも「ビール2杯しか飲んでないから大丈夫」とかそんなわけあるか。 杏も止めろ。 さらに虐待を受けている少年を自分の子どもとして育てるとか、どんどんおかしな方向に進んでいく。 両親がどんな人間か探りに行く際、「支援金を支給するにあたり、まず会員になっていただき、会費を払って下さい」とか完全に詐欺の手口ではないか(笑) 色々と滅茶苦茶な話だが、最後の最後、裁判での少年の言葉、「ぼくのお母さんはあの人です」の一言に救われた。
判決が知りたい‼️
前半、
娘の自分を忘れてしまった認知症が進む父親の
世話をしに帰郷した娘千紗子と父との様子が描かれ、
介護の話かと思えば‥‥。
数年前妊娠したことで父親になじられ家をとび出していたので、仕方なく反感を抱きつつ帰って来た千紗子。
顔も名前も忘れ、粗相するなど世話を焼かせる父親。
かける言葉もキツく、お父さんと呼ばずあなた呼ばわり。
そんな時、事故で一人の男の子と出会う。
身体には虐待されたような多くの傷があった。
子供の家庭環境も探り、勝手に引き取ることにした。
過去に息子を海の事故で亡くしていた千紗子。
洋一という名前でなく拓海という名前にした。
賢い子で、父の孫として三人穏やかに過ごせて来た。
しかし、洋一の義父が脅迫しに乗り込んで来た。
千紗子と揉める義父の背中にナイフを刺す洋一。
裁判が開かれる。
千紗子が容疑者として正当防衛が成立するか否か⁉️
証言台に立つ洋一、名前も洋一と名乗り、
話した内容は‥‥⁉️
千紗子が洋一を家に連れて来たのは誘拐と言われても仕方ない。
千紗子が再度刺したのは、
海で亡くした息子を助けられなかった、その償いとして、
今度は助けたい、と必死な母の思いだろう。
「そろそろ本当のお母さんを教えてくれ」が口癖だった私
6月に映画館で鑑賞。現在12月。今年度公開作品は約50本以上の鑑賞になりそうだが、 個人的には、今年1位か2位の映画となるだろうと思われるので、書いておく。 疑似母子関係の物語。少年側の視点でたまらなくなった。 私は実母に「そろそろ本当のお母さんを教えてくれ」と常日頃、口癖のように言っていた。 酷い息子だと我ながら思うが、経済的に苦しい生活を子供の頃にしていたし、 父は飲んだくれで酒癖が悪く、身体的暴力こそなかったが、家に金を入れず、 経済的虐待と呼ぶべきものはあり、毎日のように金融業者から返済の電話はかかっていた。 それと、酒癖の悪さからくる父の暴言、 反社的な生業をしているんだかどうだかよくわからない父の存在自体が、 精神的虐待のようでもあった。 母はというと、酷い事された記憶も無いが、 この苦しい状況を打破する行動は、はたから見て何もできていなかった。 我慢して耐えるしか選択肢は無さそうで、受け身な姿勢の母も憎くて仕方なかった。 子供の頃から思っていた。美人の容姿で、凛とした気概の、 「本当の母親」が突然自分の前に現れ、 私があなたの本当の母親なの、と打ち明けに来る日を。 でも自分は、その為に家出したこともなく、 映画の主人公のように、キャンプ中に川から落ちて行方不明になることも無く、 何も行動に移すことは無かったので、そんな本当の母親は当然現れなかった。 だから、杏が拾ってきた子に 「あなたは私の子供なの」「あなたは悪い人たちにさらわれてたの」 という台詞のくだりで、ぶわっと泣いてしまった。40半ばのおっさんが。 打ち明けられた子ですら泣いていなかったのに。 そこからはもう、夢見心地の気分。幸せな気分。 息子役の子の屈託のない笑顔、はしゃぎっぷり。投影した自分を見ているかの如く。 きれいで凛とした佇まいの母親の匂いや、抱かれ包まれた時の温もり。 想像していた通りの理想の母親。幸せを感じれば感じるほど、 その幸せは、ずっと続かないんじゃないかという不安がよぎる。 そしてその不安は現実に変わる。 早くサブスク化してほしい。何回でも観たい。安藤政信が登場するまで、繰り返し何回も。 おじいちゃん役の奥田英二さん、とんでもなく良かった。 若い頃は不倫相手の男役みたいな、石田純一みたいなキザな役ばかりの印象だったが、 こんな素敵な認知症のおじいちゃんになれるとは。 良かった演者 ◎奥田瑛二 ○杏 ○中須翔真 ○酒向芳
沢山の隠し事が増えてく内容で中盤までは良かったですが、最後の隠し事...
沢山の隠し事が増えてく内容で中盤までは良かったですが、最後の隠し事も予測出来てたので盛り上がりとしてはイマイチでした。 久江があまりに自分勝手過ぎて最初からラストまでムカつきましたよー! そして何よりびっくりしたのが奥田瑛二さん!最後まで気づきませんでした、冒頭からこの役者さんめっちゃ演技上手いなぁと感動しててどっかで見た顔だなーとは思ってましたがまさかまさかの瑛二さんとは納得です!
ラストでストンと腑に落ちる・・・これで良かったんだ、と。
虐待を受けていたらしい少年を匿い母親として、
大切に暮らし始めた千紗子(杏)
それは世間的には誘拐に当たる事。
事故で記憶を無くした少年に拓未(たくみ)と名づけて、
「きみは未来を切り拓く子なんだよ」と由来を告げる千紗子。
認知症の父親孝蔵(奥田瑛二)と祖父・母親・息子3人の
細やかな幸せは、
義父の犬養(安藤政信)が、家を探し当てて訪れた日に暗転する。
「一億円で譲ってやるよ」
そう脅す犬養を拓未がナイフで刺したのだ。
死にかけた犬養を千紗子は決意して、
とどめを刺す。
絵本作家の千紗子が東京から認知症の出た父親の看病に
長崎の山奥を訪れた日に、誰一人こんな展開は思いも
付かなかった。
千紗子は学生結婚して出産した5歳の息子を
海の事故で亡くしていた。
欠落を埋めるようにして現れた少年は、
本当は前世の息子だったのではないか?
拓未(犬養洋一)は、あの事故の日。
高い橋の上から、義父に“バンジージャンプ“を強いられて、
川へ落とされたのだ。
これって立派に殺人・・だよね‼️
洋一は死んだんだよ。
記憶を無くしたことにして少年は千紗子の息子の拓未に
生まれ変わったのだ。
自分からそれを選んだのだ。
もし世間の常識通り、千紗子が警察に届けて、
実の母のいる鬼畜の義父の家に戻っていたら?
早かれ遅かれ洋一は殺されていただろう。
ここで私は思った。
常識や法律で護れない子供がいる。
千紗子は命懸けで1人の少年の未来を護った。
大きな代償は払ったけれど、
これで良かったと思う。
(殺すしかない鬼畜がいる)
だからラストはストンと腑に落ちる。
千紗子にも拓未にも「明日」が開ける。
人間の作った法律は万能ではないとの欠陥を知る
映画だった。
杏さんの好演と少年役の中須翔真くんの、嘘のない演技が
支えていました。
物語としては底が浅いというのか…。
本作で描かれている「かくしごと」といえば…。 久枝の飲酒運転のこと、 洋一が親から受けていた児童虐待のこと、 千紗子が、海で亡くなったわが子の代わりにするため、洋一の出自を隠そうとしたこと…など、など。 世にありがちな「かくしごと」がいっぱい出ては来るのですけれども。 そのどれが、本作のレイシオ・デシデンタイ(訴えかけとしていちばん重要なもの)なのか、評論子には判然とせず、それ故に、映画作品としての訴求力にかけたように思われて、なりません。 本作の中で、やや大ぶりの「かくしごと」は、久江の事故を内密にしたことくらいでしょうか。 (しかし、飲酒運転根絶の啓発映画にしては、プロットを物語の最初に持ってきすぎ。) おそらくは、本作としては、千紗子が海の事故で亡くした自分の子供の代わりに、友人が飲酒運転ではねた子供が、折よく記憶喪失らしいこと(また、不本意ながら面倒を看ている実父の孝蔵が認知症になっていること)を上手に利用して、自分の子供として丸め込んでしまおうということなのだとは思いますけれども。 しかし、それは、言ってしまえばあまりに「安直に過ぎ」て、評論子には、何とも評のしようがありません。 ミニシアターでの上映なので「質は保証済み」のアテで鑑賞した一本でしたけれども。 あに図らずや、評論子には、少しく残念な一本になってしまいました。 良作としての評価も難しかったと思います。評論子的には。 (追記) オリジナル脚本ということではなく、原作がある作品なので、あまり大胆なデフォルメもできないのでしょうけれども。 それでも、どうせ「かくしごと」にするなら、最後の最後には、孝蔵が認知症を患ってしまっていることを上手に利用して切り抜ける―それが本作の最大の「かくしごと」になるのかと期待して展開を見守りました。 計画どおりにコトが運べば、千紗子にとっては邪魔者の洋一のまま父(?)をうまいこと片付けて、それでいて「実行犯」の父親・孝蔵は、認知症の故、心神喪失で刑務所送りは免れる―。 しかし、結果としては、さにもあらず。 頼みの孝蔵は、魔切りを構えて勇猛果敢に突進するも、DV男に一蹴されて、「試合終了」。 実行犯だから仕方がないとして、刑事責任能力に何の問題もない千紗子と洋一が罪を被るのであれば、そこには何の「かくしごと」もないことになってしまいます(洋一は、触法少年として少年法の規定に基づいて少年院送致?)。 もう少し、脚本を工夫するなどして、「親子でないもの」が「かくしごと」を媒介として「親子になってゆく」ということを描けなかったのでしょうか。 本当に、惜しまれます。
評価されるべき作品
先月「あんのこと」を見に行った際にこちらの作品のチケットを買う方がなかなか多く、予告編も見たらわりと自分好みな作品だったため試しに見てみました。
内容としては介護、虐待、子を亡くした悲しみなどなかなかハードな内容ではありますが全体としてとても見やすく、特に良かったのは終盤の展開にかけては本当に無駄がなく一気にラストまで駆け抜ける見事な作りだったなと思いました。特にラストは自分はそこの視点で見ていなかったため、「そういうことか!」と見ながら心の中でブワーッて気持ちが込み上げてとても良い終わり方だったなと思います。今年見た邦画作品では現時点で自分の中ではゴールドボーイに続く高評価な作品となりました。演技に関しても皆さんベテランの方々なので本当に素晴らしく、なかでも奥田瑛二さんの父親役はすごかったです。特にごはんの食べ方(笑)この方、私は世代的にドラマのちょい役の嫌な刑事とか上司とか、あとはプライベートでのスキャンダルとかそういうイメージしかなかったのですがすごい役者さんなんだなと初めてその演技力の高さを知りました。あとは昨今、再ブレイク的にいろんな映画やドラマに引っ張りだこの安藤政信がめちゃくちゃ怖いハマり役でした。でも、役柄がボロアパートに住んでる感じならもうちょい清潔感がない服装や髪型、無精髭などやった方が良かったかなと。そういう系は中村獅童あたりがやると最高ですよね。安藤政信がやるとオシャレパーマだしかっこいいからタワマンでシャンパン片手にDVって感じに見えてしまいました。あとは同じく最近いろんな作品に引っ張りだこの酒匂芳さんも出ており、この方も直近でドラマ「アンメット」や「燕は戻ってこない」で異なる役柄の強烈な悪役をそれぞれ演じていたのですが今作では主人公家族を支え寄り添う医師役でこれまた本当に最近見た作品とは別人のようでびっくり。声色や表情などを巧みに操れるカメレオン俳優だなーとその演技力のすごさにさらに惹かれました。内容がこれだけ素晴らしいにも関わらず気になったのは公開されてる劇場の少なさ。私の住む近辺では平日日中に仕事してたら見れないような昼間や夕方の時間帯しかやらなかったり、極端に公開期間が短かったりしました。なんとか夜やってる劇場に時間かけて行きましたがそこでも極端に公開期間は短かった。ぶっちゃけ同じ期間に公開されてる某発明系家族モノ作品よりもこの作品の方がもっともっと宣伝されるべきなのではないかと思います。でもやっぱりその辺はめちゃくちゃ売れてる人や大手事務所が絡んでるなどのスポンサーなどの関係があるのでしょうね。そういった大人の事情だけで大規模公開されるのではなくちゃんと映画の中身で評価して大規模公開されるようになってほしいなと思いました。現時点であまり注目されずヒットもしてないぽいので後々、サブスク等で配信されてから評価が高まる作品なのかなと思います。ちょっと重めのテーマの邦画や日本の最近のドラマなど好きな方にはハマる作品かと思うのでぜひチェックしてみてください。
不思議な家族の関係から、本当の家族とは?は問いかける良い作品だった...
不思議な家族の関係から、本当の家族とは?は問いかける良い作品だった。展開的にあまり現実的じゃ無い設定から入ったため、気持ちは少しさめつつ、オチもなんだか分かってはいたが、終わり方が非常に良くて、3.5となりました。 杏さんはじめ、メイン3人の俳優さんが良くてエモかったです!
毒親からの救出
登場人物みんなちょっとずつ嘘をついているやつ。 主人公の友人が事故っても飲酒運転し続けたり、拓未に対して「罪を背負い続けることになる」とか他人事のように言ったり、こいつの脳みそどうなってんの?と思ったけど、そこ以外は面白かったです。 途中で終わるのかなと思ったポイントがいくつかあったけど、しっかり事件の結末まで描いてくれていてよかった。 こういう状況になったら、もうしょうがないよなーと。 認知症の父親がリアル。
ぼくのお母さん
予告から想像していた内容ではなかったです。
というのも、千紗子(杏)と久江(佐津川愛美)の倫理観が常識はずれというか
意表をつかれたんですよね。
なので、冒頭の話の持って行き方については、ちょっと入り込めないというか
リアリティは追求しちゃいけなさそうだ、と思って観ました。
千紗子は拓未(中須翔真)と出会うことで、おそらくは自身の過去のトラウマ、
つまり、若くして子どもができて結婚し、海で子どもを亡くしてしまうという
この消せない記憶を塗りかえる、あるいは記憶領域から極小化していくために
拓未を子どもとして育てようと、一緒に生きていこうと考えたんじゃないかなと思いました。
千紗子がその思いを強くしていったのは、認知症の父親孝蔵(奥田瑛二)の存在であり、
孝蔵の自分への想いを思いがけず知ることから、家族への思慕は深くなっていったものと思われます。
後半の重要な場面である、拓未(本当は洋一)の父親安雄が会いに来るところでの
杏、拓未、孝蔵の想いが一緒になって、安雄殺害(事故にも近しいとは思います)に至ったのだろうと
捉えました。
私はてっきり、ここで映画が終わるのかと思いきや、
裁判シーンがラストで展開され、
そこでの拓未(洋一)のセリフ「ぼくのお母さんはあの人です」と千紗子を指さしたときの表情、
それから千紗子の表情が、この作品の伝えたかったこと全てだと理解しました。
だから、最重要なわけですね。この裁判シーンが。
実にヘビーな作品ではありますが、
鑑賞後感は悪くない、観て良かったと心から思えた作品です。
※個人的な意見として、佐津川愛美の演技はちょっと鼻につきました・・・
集客はよろしくなさそうですが、こういう映画が多くの方み観られるようになってほしいです。
「外出る好き」
今年140本目。 嫌な事は全部忘れるんですよ。 認知症万歳。 外出れば気持ちも変わる。 亀田先生の言葉本当にいい。 力を抜け。もっと。 好きな漫画のセリフで「力抜いとけよ、疲れちまうからな」。 奥田瑛二さんが撮影の何か月も前から認知症を演じる準備。食事制限だったり姿勢を合わせる。命懸けて演じるから見る者の心を打つ。
家族ドラマ
あまり事前情報は入れず、予告編が面白そうだったので観てみることに。
誘拐した子どもを、実の親にバレないように匿う映画かなと思っていたが、いい意味で裏切られた。
どちらかというと、父と娘の親子ドラマではないか。一度は縁を切った親子の絆を取り戻させるための物語。そして、母と息子の物語。
その橋渡しとして、拓未という彼女の「息子」が登場するが、彼がいい味を出している。
認知症で日に日におかしくなっていくおじいちゃんに対して咄嗟に、僕にも粘土教えて、なんて誰が言えるだろうか。出来過ぎです。
自分自身、認知症の祖父母の介護をした経験があったので、グサリと来るものがあった。当時は私と母で協力して2人の介護をしていたが、杏さん(娘)も、拓未という息子の存在があってはじめて、父親ともう一度向き合おうという気になっていたし、家族を救うのは、やはり同じ家族なんだなと考えさせられた。
映画の半分くらいは終始泣きっぱなしだった。それくらい泣けるし共感出来る映画だったと思う。
都合の良すぎる展開が少し興醒めする事が多かった。 奥田瑛二の芝居は...
都合の良すぎる展開が少し興醒めする事が多かった。 奥田瑛二の芝居はとても良かった。ボケちゃう事忘れられちゃう事への考え方はさとされてるようでセリフ周りは良かったが本当に都合の良い展開だけが非常に残念。技術的には可もなく不可もなく。みんなで魚釣りシーンの衣装(ブルー系)と背景(緑の木々.白い空)の色味は綺麗だった。あと海の中の杏のcutも距離感が良かった。
悲劇は結果論か
かくしごと
決して美談として描かれているわけではない。
疎遠になっていた父親が認知症になり、介護のため他は誰もいない実家へ帰る。劇伴も無く過ぎていく作業。期間限定だと言い聞かせ、気怠さや、そのような関係性に至った現実の無情さを感じさせる。
最初の出会いは、友人の飲酒事故の隠蔽のため。そのことは鑑賞をする上での棘になり、感情移入するには妨げになる。擁護は当然できない。
しかし後の展開から振り返ってみると、通報していた場合には、おそらく全てが終わっていたという事実にぶつかる。
どんなときでも法律が、命を守っているとは限らない。何が正義なのかを考える時に、おそらく傍観者が思い当たらなくてはならないことは、本人の本当の気持ちを、蔑ろにしてはいないかということだ。
記憶がなくても、それはかつてあったものを失うか、本当は無かったものをあるかのように振る舞うか、いずれにしても、結果は同じ。戻らない瞬間に、相手のことを心から思い遣れるかどうかだろう。
親子の愛情とは
をまた考えさせられる脚本
噛み合わない家族はここ最近分析化され、増えたように思うが、昔からあったのだと痛感
厳しく育てられ、行息詰まって親元を離れる子供
虐待されていても、幼すぎて親元から離れられない子供
子供を育てたくても育てられない親
子供への接し方がわからない親
子供からの介護は情けないと感じてしまう親
いつまでたっても、親に面倒を見てもらう子供など
ちぐはぐな親子関係は昔からあるようで、近年になっても、解決策は何もないように感じます
絶望しか残らない感じですが
映画ではあえて希望の光を見せてくれたようです
現場はそんな生易しいものではないぞ!と言う言葉も飛び交いそうですが、酒向さん演じる先生の言葉には温かみがあり、今後の人生に役立っていけそうと感じました
前半もやもや、後半ドキドキ、ラストは涙
前半はそれダメ、それダメ、それダメともやもやしながら鑑賞。行方不明の子供の所在を知ってるのに知らせなかったら、必死に捜索してる人達の労力や心情はどうなるのか…。もし仮に子供が虐待を受けている可能性があるのなら、警察に虐待の可能性を訴えたうえで知らせればいいのではと…。 後半は、認知症の父と偽の息子との生活がいい感じでまわり始めるも、この生活がいつ破綻するのかとドキドキしながら鑑賞。 ラストの裁判のシーンはえっ?えっ?えっー!?とまさかの展開に涙。
小説読んでからの
小説が良かったので、映画も鑑賞。杏さんの一般人離れしたスタイルを除けば、とてもいい映画、奥田瑛二さんが素晴らしい。頑固親父感から、不安で情けないおじぃちゃん感まで凄いリアルでした。認知症に、虐待と切な過ぎる題材ですが、絶望的な状況に差す光的な映画でした。
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