かくしごとのレビュー・感想・評価
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不可思議なタッチで再構築されていく関係性
杏という女優には、非常に真っ直ぐな目線と、間違ったことにNOを突きつけるイメージが付随する。本作の監督はその部分を巧妙に活かしながら、主人公を危うい倫理観と母性の隙間へといざなっているかのようだ。日常世界に根を下ろしつつ、ラビットホールに陥っていく不可思議な展開がそこにある。彼女がつく嘘(かくしごと)にはちょっとにわかには信じがたいこと、そんなのバレるだろう、と思えるその場しのぎの嘘がいくつも見受けられるので、序盤は観ている側にとっても不安定な感じが付きまとうし、故郷帰りの新生活にもなかなか心の落ち着く場所が見出せない。しかしそんな空気が徐々に変わる。川を渡す一本綱の上を歩いているような感覚を覚える中、彼女のみならず、認知症の進む父親、血の繋がりのない訳あり少年との間で、嘘が真実を超えるというか、擬似家族的な風が吹き始めるところに見応えがある。特にラストシーンはハッとさせられる仕上がりだ。
映像や演出はリアル感があり、レベルも高い。
ちょっと残念な出来。
話が少し絵空事というかリアリティがなかったけれど、映像や演出はリアル感があり、レベルも高い。
だからストーリーにリアリティがなかった点が、残念な点でした。
ラストが多分、この映画の肝だと思う。
であれば、それに向かってより効果的にすべきだと思う。ちょっと冗漫な感じがある。
映像がいいので、もっと編集で刈り込んで、シンプルで寓話的にすれば、もう少しいい映画になったのでは?と思う。
久々にキレる安藤政信が見られて嬉しかった。
判決が知りたい
私も虐待されて育ってきたから
千紗子みたいな母性溢れる方に誘拐してもらいたかった
そしたら人付き合いももっと得意になってたと思うし、
自己肯定感も高くて人に気を遣いすぎて疲れる事もなかったんだろうなと。
小さな頃にどれだけ愛されたかで今後の人生が変わるから今回の誘拐は私は良いと思う。
杏さんの好演と少年役の中須翔真くんの、嘘のない演技が素晴らしい
一人息子を海で亡くしてしまった過去のある千紗子(杏)。
事故で記憶を無くした少年に拓未(たくみ)と名づけて、
「きみは未来を切り拓く子なんだよ」と
少年の記憶喪失を利用して自分の息子だとして育てようとする。
自分自身を取り戻そうと頑張る彼女の姿が共感してしまう・・・が、
それは誘拐罪という犯罪になってしまう
DVを受けている子どもを庇いたい守りたい。そうした母性で行動して、詐欺まがいの行為まで及んでしまう。
義父の犬養(安藤政信)が、家を探し当てて
「一億円で譲ってやるよ」
と脅す犬養を拓未がナイフで刺したので
全ての責任を被ろうとしてトドメに自分で心臓を刺した行為では虚しくもなりましたが、まさかの息子が証言台で自分をお母さんだと主張したことに涙。
拓未(犬養洋一)は、あの事故の日。
高い橋の上から、義父に“バンジージャンプ“を強いられて、
川へ落とされた。
これは虐待というか立派に殺人だと思う
洋一は記憶を無くしたことにして千紗子の息子の拓未に生まれ変わるのを
自ら選んで新しい人生を送ろうと決心したのに邪魔しないでほしい。
もし世間の常識通り、千紗子が警察に届けて、
実の母のいる鬼畜の義父の家に戻っていたら
早かれ遅かれ洋一は殺されていたと思う
常識や法律で護れない子供がいる。
千紗子は命懸けで1人の少年の未来を護った。
(世の中には殺すしかない鬼畜がいる)
Amazonプライムで観た
忘れていく悲しさと、思い出される怖さ
認知症ドラマとして忘れられない『明日の記憶』。その若年性アルツハイマー症を患った主人公が渡辺謙だったが、その娘である杏が介護する側に回るというのは因縁さえ感じてしまう。しかし、絶縁状態だった親子関係が介護認定から施設入所という安易な考えに支配されていて、それほど親子愛が感じられないことも興味深いところだ。
一方で、一人息子を海で亡くしてしまった過去のある千紗子(杏)。少年の記憶喪失を利用して自分の息子だとして育てようとする千紗子。楽しい一家の思い出もどこかで綻びが現われるはずなのに、自分自身を取り戻そうと頑張る彼女の姿もいつしか共感してしまう・・・が、それは誘拐罪という犯罪です!
DVを受けている子どもを庇いたい守りたい。そうした母性でのみ行動して、詐欺まがいの行為まで及んでしまう。やり過ぎな設定ではあるけれど、色んな隠し事で固められ、砂上の楼閣でも作るかのように新しい家族を作り上げようとする行為には法を除外し人道的な見地でのみ成り立っているのです。
全ての責任を被ろうとして心臓を刺した行為では虚しくもなりましたが、まさかの息子が証言台で自分をお母さんだと主張したことに涙。この子、上手すぎ!最も大きな嘘は彼がついていたものだったんですね・・・もし、あのまま警察に届け出ていればと考えると、ちょっと怖い。佐津川愛美の飲酒運転、公務員の懲戒免職は確定だし・・・
サスペンス要素と親子の繋がり
Amazon primeで配信開始になっていたので、さっそく鑑賞しました。
最初から最後まで、とっても面白かったです。
原作は未読なので、タイトルの「かくしごと」の意味が次々と移り変わって行く展開に、感心しました。
最初は友達の久江が事故を起こした事を「かくす」という話なのかと思ってましたが、
千紗子が少年の事を「かくす」事に移り、ラストには意外な「かくしごと」が隠れていたことが分かります。
見終わってみるとタイトルは小説の「嘘」のほうが、ぴったりなようにも思えました。
事故で記憶喪失、虐待されてた少年をかくまうサスペンス的な要素の他に、千紗子と認知症の父親との関係にも焦点を当てていて、心に響く作品になってるなと感じました。
小さい時から厳しかった父親。嫌いだった。
息子を海の事故で亡くした時から、父親との関係がさらに悪くなっていった。
認知症になって、弱い父親の姿を見たり、父親の心の奥に潜んでた言葉を聞いて、父親に対する気持ちが変わっていく千紗子の心も描かれていて、こちらも心が動かされました。
親子の繋がりを感じましたが、やはり元気なうちに言葉に出して伝えることは大切ですよね。
千紗子側の親子関係、少年側の親子関係、
少年と千紗子との偽親子関係、様々な親子を描いていて考えさせられる作品でした。
私にも施設に入っている母親がいるので、なんだか身につまされる気がしました。
全然普通に面白い
北國浩二さんの小説「嘘」
その映画のタイトルが「かくしごと」
小説はタクミの嘘に対するその後を描いたものに対し、映画では隠された真実を描いた点が大きく違っているからだろう。
ここだけで小説と映画とには物語性が大きく違っていることが伺える。
主人公に対する共感
おかれた立場と境遇などの下敷きと起きた出来事による思考と行動
どうしてもここに重点が置かれることが多いが、主人公こそ落ち度のある普通の人である方が共感する。
そして反感
主人公の行動に対する違和感やあり得ないとするジャッジメント
面白さでもある。
さて、
平成初期のセドリックバン
何故、この車だったのだろう?
チサコはこの車で海に行き、子供を亡くしている。
スマホを使っているので時代背景は現在
チサコが生まれたころの車のように思える。
父からもらったのだろうか?
あの車には里谷家の想い出と、その後のチサコの想い出が詰まっているように思った。
つまり彼女自身の象徴だろうか。
主な登場人物である父 主人公 タクミ
それぞれが心の傷があり痛みがある。
頑固者の父に寄り添うことができないチサコの気持ちはよく理解できる。
その父が認知症で介護認定を受けるために嫌々帰省したが、父の本音を知ることになる。
タクミの存在が、父の閉ざされた心の扉を開けたようにも思えた。
ここがこの作品の素晴らしかったポイントだ。
認知症でも憶えていることはある。
だから娘を邪険にした。
ところが、孫が登場した。
父の後悔 孫を抱こうとしなかったこと。
抱かないまま、死んでしまったこと。
その頑なな思考と妻の限界 おそらく父にとっての痛みは、そこにあったのだろう。
自分がしてしまったことからの解放や救いが、この認知症だと医者は言う。
タクミがいなければ、この部分が活きない。
さて、、
物語そのもののプロットもよかった。
犬養が登場するタイミングに仕込んだ伏線もよかった。
ただし、
NPOを名乗って訪問したことと、グラビア写真と彼女の住所…
これだけで息子がそこで生きているというのを想定するには無理があるだろう。
また、
最後のシーンは、二人で海へ行ったのだろう。
海とはタクミが行きたかった場所だが、チサコは行きたくない場所だ。
その伏線を「今度海に釣りに行こう」という場面に描かれている。
あのシーンはチサコもタクミも過去を昇華したことを描いている。
2時間でひとつの物語を完結させている点もよかった。
ただ、
割と平凡のようにも感じる。
小説では洋一は証言しないことで、彼を守ってくれたチサコの不在と自分のしたことが何を招いたのかを葛藤する。
ここに焦点があるので新しさがあった。
アニメも小説も、スケールや時間の長さや複雑さが織り込まれるようになった。
その一部分だけでも物語としては面白い。
しかし、そこに新しさが伴わなければ、やはり腕組みしながら唸ってしまう。
キリトリの難しさを垣間見た気がした。
認知症の父親と虐待を受けていた少年
この結末でいいのだ
どちらかというと認知症の父親の介護の方がメインになってしまっている...
判決が知りたい‼️
前半、
娘の自分を忘れてしまった認知症が進む父親の
世話をしに帰郷した娘千紗子と父との様子が描かれ、
介護の話かと思えば‥‥。
数年前妊娠したことで父親になじられ家をとび出していたので、仕方なく反感を抱きつつ帰って来た千紗子。
顔も名前も忘れ、粗相するなど世話を焼かせる父親。
かける言葉もキツく、お父さんと呼ばずあなた呼ばわり。
そんな時、事故で一人の男の子と出会う。
身体には虐待されたような多くの傷があった。
子供の家庭環境も探り、勝手に引き取ることにした。
過去に息子を海の事故で亡くしていた千紗子。
洋一という名前でなく拓海という名前にした。
賢い子で、父の孫として三人穏やかに過ごせて来た。
しかし、洋一の義父が脅迫しに乗り込んで来た。
千紗子と揉める義父の背中にナイフを刺す洋一。
裁判が開かれる。
千紗子が容疑者として正当防衛が成立するか否か⁉️
証言台に立つ洋一、名前も洋一と名乗り、
話した内容は‥‥⁉️
千紗子が洋一を家に連れて来たのは誘拐と言われても仕方ない。
千紗子が再度刺したのは、
海で亡くした息子を助けられなかった、その償いとして、
今度は助けたい、と必死な母の思いだろう。
「そろそろ本当のお母さんを教えてくれ」が口癖だった私
6月に映画館で鑑賞。現在12月。今年度公開作品は約50本以上の鑑賞になりそうだが、
個人的には、今年1位か2位の映画となるだろうと思われるので、書いておく。
疑似母子関係の物語。少年側の視点でたまらなくなった。
私は実母に「そろそろ本当のお母さんを教えてくれ」と常日頃、口癖のように言っていた。
酷い息子だと我ながら思うが、経済的に苦しい生活を子供の頃にしていたし、
父は飲んだくれで酒癖が悪く、身体的暴力こそなかったが、家に金を入れず、
経済的虐待と呼ぶべきものはあり、毎日のように金融業者から返済の電話はかかっていた。
それと、酒癖の悪さからくる父の暴言、
反社的な生業をしているんだかどうだかよくわからない父の存在自体が、
精神的虐待のようでもあった。
母はというと、酷い事された記憶も無いが、
この苦しい状況を打破する行動は、はたから見て何もできていなかった。
我慢して耐えるしか選択肢は無さそうで、受け身な姿勢の母も憎くて仕方なかった。
子供の頃から思っていた。美人の容姿で、凛とした気概の、
「本当の母親」が突然自分の前に現れ、
私があなたの本当の母親なの、と打ち明けに来る日を。
でも自分は、その為に家出したこともなく、
映画の主人公のように、キャンプ中に川から落ちて行方不明になることも無く、
何も行動に移すことは無かったので、そんな本当の母親は当然現れなかった。
だから、杏が拾ってきた子に
「あなたは私の子供なの」「あなたは悪い人たちにさらわれてたの」
という台詞のくだりで、ぶわっと泣いてしまった。40半ばのおっさんが。
打ち明けられた子ですら泣いていなかったのに。
そこからはもう、夢見心地の気分。幸せな気分。
息子役の子の屈託のない笑顔、はしゃぎっぷり。投影した自分を見ているかの如く。
きれいで凛とした佇まいの母親の匂いや、抱かれ包まれた時の温もり。
想像していた通りの理想の母親。幸せを感じれば感じるほど、
その幸せは、ずっと続かないんじゃないかという不安がよぎる。
そしてその不安は現実に変わる。
早くサブスク化してほしい。何回でも観たい。安藤政信が登場するまで、繰り返し何回も。
おじいちゃん役の奥田英二さん、とんでもなく良かった。
若い頃は不倫相手の男役みたいな、石田純一みたいなキザな役ばかりの印象だったが、
こんな素敵な認知症のおじいちゃんになれるとは。
良かった演者
◎奥田瑛二
○杏
○中須翔真
○酒向芳
沢山の隠し事が増えてく内容で中盤までは良かったですが、最後の隠し事...
ラストでストンと腑に落ちる・・・これで良かったんだ、と。
虐待を受けていたらしい少年を匿い母親として、
大切に暮らし始めた千紗子(杏)
それは世間的には誘拐に当たる事。
事故で記憶を無くした少年に拓未(たくみ)と名づけて、
「きみは未来を切り拓く子なんだよ」と由来を告げる千紗子。
認知症の父親孝蔵(奥田瑛二)と祖父・母親・息子3人の
細やかな幸せは、
義父の犬養(安藤政信)が、家を探し当てて訪れた日に暗転する。
「一億円で譲ってやるよ」
そう脅す犬養を拓未がナイフで刺したのだ。
死にかけた犬養を千紗子は決意して、
とどめを刺す。
絵本作家の千紗子が東京から認知症の出た父親の看病に
長崎の山奥を訪れた日に、誰一人こんな展開は思いも
付かなかった。
千紗子は学生結婚して出産した5歳の息子を
海の事故で亡くしていた。
欠落を埋めるようにして現れた少年は、
本当は前世の息子だったのではないか?
拓未(犬養洋一)は、あの事故の日。
高い橋の上から、義父に“バンジージャンプ“を強いられて、
川へ落とされたのだ。
これって立派に殺人・・だよね‼️
洋一は死んだんだよ。
記憶を無くしたことにして少年は千紗子の息子の拓未に
生まれ変わったのだ。
自分からそれを選んだのだ。
もし世間の常識通り、千紗子が警察に届けて、
実の母のいる鬼畜の義父の家に戻っていたら?
早かれ遅かれ洋一は殺されていただろう。
ここで私は思った。
常識や法律で護れない子供がいる。
千紗子は命懸けで1人の少年の未来を護った。
大きな代償は払ったけれど、
これで良かったと思う。
(殺すしかない鬼畜がいる)
だからラストはストンと腑に落ちる。
千紗子にも拓未にも「明日」が開ける。
人間の作った法律は万能ではないとの欠陥を知る
映画だった。
杏さんの好演と少年役の中須翔真くんの、嘘のない演技が
支えていました。
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