朽ちないサクラのレビュー・感想・評価
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裏表
警察と公安の闇、真相に近づく事務職員の話。
原作本を読んでる最中も思ったのですが、警察の失態、殺人事件、実際のカルト教団を元にした宗教団体の登場と、深刻な案件が描かれてはいるものの、大きく盛り上がったり起伏のある話ではない。少しずつ紐解いていく感じ。
なので、前半はちょっとテンポ的にも退屈だったのですが、終盤が良かったです。
安定の杉咲花ちゃん。今回はクセも秘密もない普通の事務職員の役。
でも、ラストの安田顕さんとの静かな対決シーンが見所ではと思いました。
あと、満開の桜や、安田さんや萩原利久くんと向かいあって話す場面(カフェとか料亭)の窓を背景にした景色など、映像が美しかったです。
浅羽役の遠藤雄弥くん、悪役が多いんでしょうかね。毎日NHK朝ドラ「ちゅらさん」の再放送を見てるんですが、1~2週目の子役で出ていたんですね、知らんかった。キレイなお顔の子だなーと思っていました。
飛翔する前に
朽ちないサクラ
この世界と向き合えば、悪と正義は表裏一体だ。
数で考える公安に対して、本当のことを包み隠さず示すことを美徳として、そこに意味があると感じて人々は生きている。
事件が起こってしまった後で、思うことがある。助けた信者をスパイとして使っていた、舞い戻ったように見えて姿は変わっている。慰安旅行への(一見真っ当で安易な)批判の裏で、いざという時は迫っていた。
その芽が摘まれる前に、何が正しいのかを、自分ではない誰かにも示して欲しいと願っている。しかし自分で羽ばたかなければ、わからない。
またも杉咲花が好演!静かな佇まいがいい 安田顕!豊原功補!ベテラン男優も好演 公安恐るべし
警察小説、本格ミステリーとして、純粋に事件の解明に着々と進んでいく展開が良かった。
変なキャラクターの素人探偵や名物警部とかが登場しない世界で、ただただ事件の推理を楽しめる映画は本当に少ない。
100人の命と1人の命。
死んだ者の命より、今生きている命が大事。
警察と公安の考え方の違い。
真相が恐ろしい。
主演、杉咲花の寡黙だが、物事を地道に進めていく佇まいが見事。
最後の決意が、もやもやした事件の結末に、一縷の光を灯してくれる。
相棒となる萩原利久も、彼女への好意を表に出さないのがいい。
主人公の上司、安田顕も好演。
クライマックス、杉咲花と安田顕の一騎打ちの緊張感。
強面だが渋くて良い上司…だと思ってたのに!
豊原功補も昭和の刑事っぽい熱演がいい。
口では強い口調も、内心はちゃんとわかってくれて、正しく評価してくれる良い刑事!
他に、同様の「素人探偵」ドラマではいつも気になっている「捜査権も無く刑事でもないのになぜ捜査できるのか」とか「調べてる間、仕事休んで大丈夫なのか」などが、本作では、安田顕演じる上司が許可し、仕向けていたということで説明がついて納得できる。
ただ、カルト教団本部内の道場?教会?祭壇?の場所が、いかにも神がかったライティングと演出がされているセットで、安っぽいB級ドラマか、ドラマ「トリック」か、特撮ドラマみたいで、残念。
もっと味気なく質素な方が、普通にリアルだと思うが。
見応え
ありましたね。配役も良かったですし、展開も間延びせず、でも混乱は無いように作られていたと思います。冨樫課長は、何故泉を引き込んだのでしょうか?甘くみた?何かしらの後悔?
キャスティングが良い
あまり評価が伸びていない印象ですが、この映画は個人的にとても良かったと思います。
確かに細かいところを説明しきれていない部分はありますが、2時間という尺の制限の下では仕方が無いかと。
そして本作はキャスティングが絶妙です。特に安田顕さん。こういう心の奥の闇が存在する感じの裏表がある刑事役をやらせたらたぶん日本一上手いです。
ラスト付近の杉咲花が安田顕に迫るシーンはちょっと背中が寒くなりました。特に「私も殺すんですか?」のセリフのところはゾクッと来ました。
「黒幕は〇〇だった」系の映画だったんですね。
給湯室の百瀬さんに関する会話の「あなた、もしかして・・・?」のところの絶妙な間(ま)が良かったです。
藤田朋子さんはだいぶ老けました印象です。特に口元が。
愛知県のある町で、女子大生がストーカー被害の後、殺害されるという事...
愛知県のある町で、女子大生がストーカー被害の後、殺害されるという事件が発生。
女子大生から被害届が出ていたが、地元警察は届を受理せず、その間、慰安旅行に行っており、旅行中に事件が起きたことが地元新聞によってスクープされる。
県警広聴課勤務の森口泉(杉咲花)は、親友の記者・津村千佳に漏らした一言がスクープ記事のもとになったのではないかと思って千佳に問い詰めるが、千佳は断固として否定。
が、身の潔白を証明すると告げて泉のもとを去った千佳が翌日、死体となって発見される・・・
といったところからはじまるサスペンスミステリー。
個人的には、個人の闇を描いたヒューマンミステリーを期待したが、途中、カルト教団の生き残り、公安などが登場し、いわばシステマティックなミステリーだということがわかって来る。
ということで、中盤あたりから、テレビシリーズ『相棒』あたりでやってくれるといいネタなのになぁ、なんて思ってしまった。
主演の杉咲花は好演。
ただし、好演であるがゆえに作品のシリアス度合いを上げて、意外と楽しめないサスペンスになったように思う。
また、泉の上司を演じる安田顕も好演。
個人的にあまり好きなタイプの役を演じてこなかった彼だが、今回はハマリ役。
にしても、公安から広聴課への配転って実際あるのかしらん?と思ってしまった。
ま、これはこれで面白いのですが。
読み物としては面白いと思うけど
原作未読。
「小義を捨てて大義を得る」という典型的なお話。
いくら邪魔だからって公安が大義のために善良な市民を◯すことは絶対にあり得ない(と信じたい)と思うが、ストーリー(読み物)としては面白かった。
起こった事件を捜査する刑事とこれから起こる事件を未然に防ごうとする公安と言うのはなるほどなんだが、この話からは説得力を感じることは難しかった。
公安が地方警察の内部(広報課)におり、犯罪や捜査そのものをコントロールするって、上から指示すればいいじゃんと思うが、警察は全く知らなかったというテイにしたいためなのだろう。
ある意味究極の選択なのだろうと思うが、カルト教団を捜査する手段としてあれしか無かったのか疑問が残る。
杉咲花が親友の母親に打ち明けるシーンを見てあの世代では一つ抜けた上手さを感じた。
原作には続編があるのかな?
警察官になって公安として葛藤を持ちながら有能な捜査官になるのというのがお約束な気がするが・・・。
今回の安田顕は怖い方のヤスケンさん。
ふざけた様な軽い感じも好きだが、あんな感じもなかなかの迫力があって良い。
豊原功補はもっと怒っていいと思う。
登場シーンは少ないけど、泣いてるシーンばかりの藤田朋子も達者な役者で印象的だった。
口ないサクラ
台詞を使った伏線の張り方が巧みで、何気ない台詞が展開を進めるためのキーワードになっている。
登場人物があまり多くないためか、序盤で黒幕が誰かを推測できてしまう点は少しもったいなく感じた。
作中台詞で牽制してはいるものの、本編の展開を踏まえると、主人公はいずれ口封じのために消される可能性が高い気がする。
これはサクラレビューではありません
2024年映画館鑑賞56作品目
6月27日(木)イオンシネマ新利府
グランシアター2500円
原作は『孤狼の血』の柚月裕子
監督は『帰ってきた あぶない刑事』の原廣利
脚本はTVドラマ『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う』の我人祥太と『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』の山田能龍
本格的サスペンスの傑作
主人公は愛知県警の職員
刑事ではない
親友の新聞記者が川で遺体として発見された
他殺だった
愛知県警公安と反社会的カルト教団が絡んでいる
刑事じゃないが親友の無念を晴らすため同期の磯川と共に独自に捜査する
サクラとは公安の昔の呼び名
元公安の凄みのある演技を魅せた安田顕と娘を失い憔悴する母を演じた藤田朋子の芝居がとても良かった
配役
愛知県警広報広聴課職員の森口泉に杉咲花
愛知県警生活安全課の警察官で泉とは警察学校の同期の磯川俊一に萩原利久
元公安で広報広聴課課長の富樫隆幸に安田顕
富樫とも親しい愛知県警捜査一課課長の梶山浩介に豊原功補
事件に巻き込まれ殺される泉の親友で地元の新聞記者の津村千佳に森田想
津村の上司でデスクの兵藤洋に駿河太郎
磯川の先輩警察官だったが突然退職した辺見学に坂東巳之助
宗教団体ヘルネスの信者で記者殺しの実行犯の浅羽弘毅に遠藤雄弥
神社の息子でストーカー殺人の犯人の宮部秀人に篠原悠伸
生活安全課の臨時職員で辺見と交際していたが別れを告げられ実家に帰り自殺する百瀬美咲の父親の百瀬治夫に諏訪太朗
梶山の上司に尾美としのり
冨樫の同期で警備部公安課課長の白澤に和田聰宏
千佳の母の津村雅子に藤田朋子
目と目の圧
それにしても杉咲さんの目はすごい。
気持ちの高まりにつれ、血圧や脈拍の細やかな変化を眼球の水分量、瞳の光を自在に操ってまっすぐにみつめる先をじっくり焦がしていくかのようだ。
それを受け反応していく安田さんの返しの巧みさ。
重い空気感をゆったり捻り上げるように作用させ隙をみせずに突き放していくあの目も貫くことを決めている。
引かない睨み合いにある両者の正義。
共通するのは胸を痛める過積の念と
歪みに折り合う決意の強さだ。
その方向の真逆さを表すとどめの一言が刺す。
泉は抗いが命懸けであることをみせつけたのだと思う。
耐え切ったその心情を示す粗い呼吸についつい自分も寄り添っていた。
あの根性が今からの自身を、そしてまわりをどう変えていくか。
友との最後の約束を果たすまであきらめないだろう彼女を見届けたい。
豊原功補さんのドスの利いた声良かった
ロケーションがとても良く
ここ何処だろう?綺麗な場所だなぁと物語は常に重い空気が漂っているが景色が華やかで
チグハグなのが気になった
描写として心情と重なっておらず青春のような青い空と美しい薄ピンクでモリモリ咲き乱れる桜が杉咲花さんにはとても似合って映える画なのですが物語として意図的なのか全くわからず
他の話が良かったかもしれない気もしました。
あとカーアクションシーンで真剣な表情でアクセル踏むシーンが頭文字Dみたいでなんか面白くて笑ってしまった
カーアクションもそうですが喫煙シーンも異常に多くて現代の映画としてはとても珍しく感じました
杉咲花さんの顔の画が非常に多いのですが目がクリクリしてカワイイなぁと画に耐えうる魅力的な俳優さんですね
推理パートが場所へ行く捜査アイテムゲットみたいな昔のサスペンスゲームみたいに進むので途中から安田さんが怪しすぎましたね
あと現実の公安がどういう組織かはわからないのだけど
あんなダメダメな組織として描いちゃってよいのかな?
大は小を兼ねるみたいな正義をかかげてるように見えたけど
追ってるヤマをこんな小さい事件で逃がすわけにはいかないから邪魔するヤツはみんな消えてもらう思考はどんな悪よりも悪で恐すぎるだろ
あんな胸くそわるい組織もなかなか無い
あと新興宗教団体の描き方がメガテンのメシア教みたいで、またこんな世紀末的なイメージなんだなとステレオタイプの描き方で少し残念でした
百瀬役の方が非常に美人で印象に残りました
桜が印象的な映画なので
出来れば春先に観たかったですね
汚いサクラと、芽吹いた正義
導入部分の組み立てが非常に上手く、泉が調査に乗り出すまでがとてもスムーズ。
そこからも、次々と新情報が出てどんどん進展していくので、飽きのこない構成になってました。
ただ、その流れの中で警察が私情で情報流しすぎなのはどうしても気になった。
特に泉には、立ち位置的にむしろ情報渡しちゃダメだろ。
磯川の情報収集も尽く直球過ぎて、コイツよく刑事になれたな、と思ってしまう。
真相に関しても、矛盾こそないものの「そこまでする?」とか「他に方法ない?」とか頭をよぎる。
その一歩手前で、辺見がヘレネスに脅されてたとかあったけど、何か根拠あったっけ?
神社で泉が見つけたヘレネスのマークに警察が気づかないのもおかしすぎる。
個人的には演出も合わなかった。
千佳が夢に出るのはいいが、あんなに幻想的な雰囲気にする必要あったかな。
富樫が公安に出向くときや車が横転する際のスロー演出などもいちいちクドい。
わざとだとは思うけど、宗教団体の描写も今どきあり得ないテンプレ的な大仰さ。
エンドロールはまだしも、ラストシーンの英詞挿入歌も合ってない。
終盤の告解のシーンで見られる杉咲花の泣きの演技は相変わらず素晴らしい。
けど、それ以外は彼女でなくてはとまではならず。
口調やトーンを一切変えずに印象を一変させた、安田顕の演技プランは素晴らしかった。
話も演出も、もう少し地に足がついてる方が自分の好みだったかも。
緊迫感に包まれた見応え十分の会話劇!
娘の猛烈な推しによって、鑑賞を決めた作品でしたが、いや~感謝ですね。メチャクチャ面白かった。
ストーカーによる女性殺害事件が発生し、それによって警察の怠慢が発覚してしまう。
新聞社への情報漏えいが問題視されるけど、おいおいそこかって気がしないでもない。
情報をリークした犯人捜しに躍起となる警察の中で、県警広報職員の泉(杉咲花)には、思い当たる節があった。
親友の新聞記者との会話の中で、慰安旅行の話をふと漏らしてしまい、それを記事にしたのではないかと親友を疑い、問い詰めてしまう。(この部分から、既に泉の刑事の資質を感じたの自分だけだろうか)
なかば、ケンカ別れの状態で、潔白を示そうとした親友だったが、何者かに殺害されてしまうのだった。
呵責の念に駆られた泉は、捜査権を持たない身でありながら、真相究明に乗り出した。
安田顕さん、豊原功補さん、萩原利久さんが演じる三者三様の刑事の協力を得て、調査していくうちに、とてつもなく大きな事件へと発展していく。
淡々と進みながらも、着実に暗部へと向かっていく展開は、ホンッと楽しめました。
【ネタバレ】
でも、この作品、クライマックスの上司(安田顕)と泉(杉咲花)の妄想(真相?)について語るシーンがスゴいです。
問い詰めていく泉と、徐々に目力が変わっていく上司・・・
まさにこの作品の肝と言いましょうか。この部分のために全てがあったと言っても過言でない程の、緊張感溢れる場面でした。
新興宗教や公安が絡んできて、自分でも全て理解できたのかは、ちょっと疑問な部分もありますが、とにかく全編魅入ってしまう力をもった一本でした。
鑑賞後の満足度○ モヤモヤ感が残る。それが映画の出来に対するモヤモヤ感であって、(恐らく原作が捉えているであろう)警察機構ひいては世の中の不条理さに対するモヤモヤ感に昇華出来ていないのが本作の弱点。
(原作未読)①原作未読というか、柚木裕子さんの小説は一冊も読んだことがない。それでも、映画から女性作家としては骨太な本を書く人なんだなという印象を受けた珍しい映画体験。
それだけでも本作を観た甲斐が有ったと云うべきか。
②安田顕は大好演である。対峙する杉咲花も負けてはいない。(ただ、相棒となる男の子は下手。)
この二人の演技合戦は見応えはあるけれども、明快でない脚本(脚色)、重厚さと緻密さのない演出のせいで映画としての面白さに繋がっていないのが惜しまれる。
③あと、ミステリーとしては瑕疵がある(事件の全体像が最後までぼやけている、謎解きの鍵である人物の行動に矛盾がある、手掛りの出し方が偶然に頼りすぎ又は不公平等々)。
メイントリック(意外にスラスラと事件が解決に向かう、何故か刑事でもない事務職の女の子が刑事より先に簡単に手掛りをつかむ)が分かった時の衝撃度が薄い。
元々原作もそうなのか、2時間の映画にする為の刈込み方が悪かったのか、原作を読まないとこのモヤモヤ感は払拭出来そうにない。
実質的な主役は安田顕だったかも
昨年の「市子」で大ファンになった杉咲花主演の作品でした。彼女が出ているという理由で観に行ったので、あまり他の出演者を気にしていなかったのですが、実際観たら遠藤雄弥と森田想という「辰巳」で共演していたお二人も出演しており、安田顕や豊原功補、藤田朋子ら有名どころも含めて、中々のキャスティングでした。また原作も「孤狼の血」の柚月裕子と、こちらも期待が持てそうなお話。果たしてそんな本作を観た結果は如何に?
まず俳優陣については、お目当ての杉咲花は「市子」や「52ヘルツのくじらたち」ほどの重た~い役ではなかったものの、相変わらず感情表現が素晴らしく、言うことありませんでした。最近はテレビで「アンメット ある脳外科医の日記」をずっと観ていたせいで、ソバカスのあるお顔がお馴染みになっていましたが、本作ではそうではなかったので、逆に新鮮でした。
「辰巳」では取扱注意のグレた少女を演じた森田想は、序盤に殺されてしまうものの、物語の中心にずっと居て、特に杉咲花が演じた泉と、文字通り彼岸で邂逅したのは非常に印象的なシーンでした。豊原功補は、捜査一課の熱血刑事。最初は泉を下に見ていましたが、彼女の熱意に絆されて徐々に優しさを見せる演技は中々のものでした。
そして安田顕。泉をフォローする良き上司でしたが、実は彼には重大な秘密があったということが徐々に明らかにされて行きました。問題というべきか何というべきか難しいところですが、物語的には泉ではなく、安田顕が演じた富樫の方が実質的な主役という感じでちょっと驚きでした。というか、そもそも題名自体彼の背負っているもの(公安=サクラ)を象徴していた訳ですから、最初から種明かしされていたと言えばそうなのかも知れませんが。
あと、森田想演じる千佳の母親役を演じた藤田朋子ですが、娘を殺された母親役なので、やつれているのは理解できるのですが、ちょっと老けメイクし過ぎという印象でした。あんなお婆さんみたいなメイクが必要なら、もっと年相応な人がいたように思わないでもありませんでした。
長々と俳優陣について書いてきましたが、肝心のお話については、ちょっと今ひとつでした。登場する団体としては、警察とオウム真理教をモデルにしたと思われる宗教団体で、警察とヤクザが登場した「孤狼の血」とは構造的に似ている感じでしたが、この宗教団体の描き方が浮世離れし過ぎているというか、唐突過ぎる感じがして、全くリアリティが感じられなかったのが残念なところでした。「孤狼の血」のヤクザの描き方は、ヤクザなりの人間味が感じられましたが、本作の宗教団体の描き方は、その部分だけオカルトになっていて、どうにも同意しかねるところでした。この辺りの描き方にリアリティが感じられれば、かなり印象が違う映画になっていたのではないかなと思うところです。
そんな訳で、杉咲花をスクリーンで観られたことには大満足でしたが、ストーリーにはあまり嵌らなかったので、本作の評価は★3.5とします。
朽ちないサクラって、そういう意味か。
杉咲花さんと安田顕さんの演技バトル、見応えありました。
ストーリーも先の読めない展開でなかなか面白いサスペンスでした。ただ真相は明らかになったものの、そこで終わるのかという感じでした。あれでは友人の死は浮かばれない。泉が警察官になって、その先も観てみたいと思いました。
役者は良いが謎解きが非常に分かり辛くて不完全燃焼
豊原功補と安田顕はとても良かったです。杉咲花は可愛かった。
映画としては夢の部分など無駄な描写が多いのに肝心の謎解きの部分が非常に分かり辛い。長いセリフでどんでん返し的な謎解きをするけど、メインでないキャラを役名で言われてもピンと来づらく◯◯さんって誰だっけ?そもそもあのおみくじってどう使われてたんだっけ?と諸々の伏線を回収する筈がフラストレーションの方が募るばかり。
監督・脚本の問題だと思うけど原作も役者も良かっただけに本当に残念でした。
夢とか最後の長々とした母親への告白とか無駄な部分を削って、謎解きのキーとなる部分をフラッシュバック的に見せるなり、一人の長いセリフ以外で説明して伏線回収を丁寧に分かりやすくして欲しかった。
良くも悪くも構図ありきの映画、だと思う。
最後ドンデン返しあり、との前情報からディアファミリーと天秤にかけてこちらを選択。
途中、タイトル回収のエピソード(イベント)から、勘のいい人は黒幕が誰かは推察できるようにはなっている、が、語られてない構造上の要素があるようですっきり解読しきれる訳では無い。Sは結局誰だったのか?複数?ヘンミはなぜ公安の言いなりなのか、何か弱みが?
ブレーキ壊しただけで確実に口封じできる?もしシートベルトしてたら一命はとりとめてるんでは?
などなど。
まあ結末で真相はコレと明示しているようでしてないのでしょうがないのかも。
一つどうしても腑に落ちないのが主人公が事件に首を突っ込む方向にリードしている点。いや話が進まないからストーリー上はそれでいいのだが、黒幕が主人公の推測通りだった場合行動原理が矛盾してない?というところ。
桜(吹雪ほどではないが)舞う中をスクリーン上手側に向かって歩く主人公が印象的(意図的ではある)でこの絵を撮りたい映画だったんだろうなあと思われる。
私は公安に立ち向かう道を進んだ!という意思のようなものがみえてよい。
オープニングタイトルが橋の橋脚に被るようになっていたり、等構図にコダワリが見える。
ただあまり深い意味のないパターンもあるようで評価に迷う作品。
演技力で見せるが、釈然としない点も
親友が殺された事件が、ストーカー殺人、組織犯罪へとつながってゆく。
捜査権を持たない人物が事件の捜査をするというのは、探偵ものでお馴染みなので、フィクションとして楽しめます。杉咲花さん、安田顕さん、豊原功補さんは上手です。
ただ、納得がいかない所が幾つかあります。以下ネタバレです。
組織によって仕組まれた事件で、どこまでが本当の事なのか分かりにくいのですが、ストーカーは本当の事件だとして、被害届を受理してもプライバシー保護の観点から内密にするだろうから、それだけであの団体のスキャンダルとして世間に広まるとは思えません。被害届は受理しておいて逮捕はしない、という手もあったんじゃないでしょうか(いや、ダメだけど)
実際の事件をヒントにしたからこういう展開になった気がします。
公安と県警は別とはいっても、警察の人間を黙らせるのに脅迫する必要があったんでしょうか。かん口令をしくだけで良かった気がします。
公安がどこまで非情な手を使うのかは全く想像できないです。
捜査資料を被害者の母親に渡そうとするなんて理解できません。娘が生きた証みたいな扱いになってましたが、その為に情報漏洩しますか。最後の数日間の行動をメモで渡すだけなら、規則違反をせずに母親を満足させられたと思います。
おみくじで真相に迫ったといっても、具体的に突きつけられる証拠ではなく、浅見光彦シリーズに出てきそうな想像の話です。
あの人が消されるなら、主人公も危ないのではないかと心配になりました。
ストーリーには言いたいことがたくさんありますが、☆4
ストーリー、前半はいいのだが後半がイマイチ。
例えば夢オチはタブー視され、夢オチで終わらせる映画やドラマは今は無い。
それに加えて、
・犯人はカルト宗教
・公権力が一市民を殺す
というのもタブーにすべき。カルトを絡ませたら何でもできるし、公安が高々20代の地方新聞の記者を殺すとか、あり得ないだろ。
今回は見事にこの二つが絡んだので、最後は白けてしまった。
とはいえ、杉咲花と安田顕は圧巻だったので、それで☆4。
特に、梶山(豊原功補)が森口(杉咲花)に「刑事のほうが似合う」というようなことを話した時の杉咲花の表情は、絶対に何かが憑依していた。鳥肌ものだった。
事務員でも突き止められる程度の情報、刑事は何してたんだよという突っ込みはナシで。
追:ドラマ『ヤンキー君と白杖ガール』のような、キラキラした杉咲花を観たい。
最近は、市子、52ヘルツのクジラたち、アンメット、そして朽ちないサクラ、ちょっと笑顔が少ないと思う。
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