「中国は広くて深い」劇場版 再会長江 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
中国は広くて深い
やっぱり中国はすごい奥深い国だなと改めて思った。長江の源流を追い求める旅をする日本人ディレクターが、その過程でかつて取材で出会った人々と再会していく。下流の大都市とは異なる文化や民族の人々がたくさん出てくるのだけど、その多彩さに驚く。
モソ人という民族が暮らす集落では、伝統的に女性がコミュニティのリーダーとなるそうで、母系社会の伝統を今も受け継いでいるのだとか。地上の楽園の異名を持つシャングリラで、民宿を運営する夢を叶えた女性のエピソードは感動的だ。楽園と呼ばれるだけのことはあり、大変美しい光景だった。一方で、急速な都市化のためのダム開発でなくなった集落もあり、劇的な経済成長の犠牲になったものも垣間見える。
長江の源流は思った以上に過酷な土地から生まれているのだということも知った。そして、地球温暖化の影響がここにも出ていることをカメラは捉える。
下流の近代都市も中国、雄大な大自然も中国で、伝統を重んじて生きる上流の人々もまた中国の姿。多面的な中国を見せる秀作。
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