ザ・ユニヴァーサル・マインド・オブ・ビル・エヴァンス

1966年製作/45分/アメリカ
原題または英題:The Universal Mind of Bill Evans

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映画レビュー

5.0Waltz for Debby

2024年1月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

姪に贈られた一曲「ワルツ・フォー・デビィ」
Waltz for Debby
好きです。
日本ではこのアルバムは 50万枚も売れたそうだ。

2歳の姪デビィ ♡
叔父さんのビル・エヴァンスが、その姪のために書いた曲なんですよねー

ドキュメンタリー映画『Time Remembered:Life & Music of Bill Evans』の中で、デビイ・エヴァンスは、「幼い頃、よく目の前で(「ワルツ・フォー・デビイ」を)弾いてくれた」と語っている。
Wikipedia

今回レンタルした本編は、兄ハリーと弟ビルが、鍵盤を試し弾きしながら互いの音楽理論をじっくりと語るもの。
演奏は3曲だけで少いものの、スーパー・ピアノレッスンばりのジャズ・ピアニストの極意に、夢中になって見入った。

=素人の音楽好きの感覚こそ大切
=基礎を徹底的にさらうこと
=奇をてらわないこと
=身体に覚え込ませて自分の奏でる音楽を客観的に聴くこと
そして
一点集中で、愚直に練習に取り組むことで、何かが生まれる。
そうビル・エヴァンスは語る。

ピアノ道の師匠なのですね。
ルールや定式に縛られることに高みを見出す日本人の、
茶道や華道などの、修道の目指す“規律”そのものへの、そこにこそ一目を置くその美意識が、
意外にも奔放ではないビル・エヴァンスへの、我々の好みの理由かもしれない。

一見、即興演奏家のスタイルに見えて、実は大学ではバッハをやっていたビル・エヴァンス。
だからWaltz for Debby はバロックの3声のシンフォニアになっている。(※)
頑ななまでのクラシックスタイルへの執着と、その自身のルールに従ったモード演奏へのこだわりがよく判って、これには感銘を受けた。
僕もバッハを弾ったから。

同棲していた恋人エレインも、兄のハリーも、トリオのベーシストラファロも死んでしまい、
当の本人も薬物でボロボロの、早すぎる死だったのだが、

でも、兄ハリーの娘に贈られたWaltz for Debby が残った。
なんという幸せ。
彼女の名前が永遠に呼ばれ続け、
自分のために演奏されたこの愛らしいライブが、世界のスタンダードになるなんて。
デビィ、きみはなんという幸せ!

他にもありますよね
「クレア」= ギルバート・オサリバンが姪っ子クレアのために。
「ビューティフル・ボーイ」= ジョン・レノンが息子のショーンために。

こんなプレゼントをもらえる子供たちって、他にいるだろうか。

あー、僕は何を残してやれただろうか。

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きりん