ビニールハウスのレビュー・感想・評価
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不可解
監督(脚本も編集も兼ねている)は、芸術映画が何かを、
勘違いしている。
最初からラストまでストレスの溜まる映画だった。
脚本がキチンと示すべき情報を、曖昧にしか提示しないことに苛つく。
①息子が少年院にいる理由は何故か?何をしたか?
②時々現れる若い男はムンジョンの愛人に見えるが、拒む理由は?
③その男とグループセラピーで知り合ったスンナムの言う【先生】は、
・・・同一人物なのか?その繋がりは何故?
④風呂場で死んだ訪問介護先の奥さんの死体は、車で運んでいた。
・・・それならビニールハウスを焼き払う必要があるのか?
⑤介護に通う老主人は盲目な上に初期のアルツハイマーと診断されて、
・・・死んだ妻の身代わりとなったムンジョンの母を殺して
・・・無理心中は成し遂げたのか?未遂なのか?
⑥焼き払ったビニールハウスに隠れた息子と仲間は逃げれたのか?
⑦そしてムルジョンがグループセラピーに通う理由も曖昧。
・・・ファーストシーンは自分で自分を殴っていたのか?
・・・自傷と言う言葉を知らなかった、とジョンスンは言うが。
キチンと殺人か?殺人未遂なのか?
放火事件なのか?
放火殺人事件なのか?
殺意の在処をはっきりしないは不親切だし確信犯的なのか。
盲目の利用者さんの障害を悪用していないか?
どうも似せたと思われる映画、
イ・チャンドン監督の「バーニング劇場版」
これが意識下にある気がする。
「バーニング劇場版」の原作は村上春樹の短編「納屋を焼く」であり、
「バーニング劇場版」では納屋はビニールハウスになっている。
この「ビニールハウス」という題名との相似・・・
貧困と格差社会、確かに似ている、
更に認知症や精神障害そして視覚障害・・・
更に【自殺に他殺に放火?】
社会問題と不幸のオンパレードに、内心ウンザリした。
「バーニング劇場版」は芸術的価値がある作品だと思います。
この映画は曖昧にしたら芸術になると錯覚した、
それをまたまた芸術と思った批評家たちの勘違い映画。
やりきれない気持ちになった。
それにしても変な建物。
倉庫でなくて、ビニールハウス?
水道やトイレや風呂はどうなっているのか?
やはり誤魔化しいる気がする。
仕事の不始末、様々な障がい者との関係、そして『バーニング』
カスタマーハラスメントを受けても仕事を続ける主人公は健気に感じたが、事故死させて遺棄隠蔽してしまった不始末から引っ込みがつかなくなり、露見を心配しなければならなくなった。
利用者が認知症の女性と視覚障がいと認知症の心配のある男性で、そして主人公も自傷性があり、集団療法の場で軽度の知的障がいの女性と出会い、付き纏われるようになり、邪険な対応をしてしまう。そういう人たちとの出会いも有り触れたものになっていくということでもあるのだろう。
ビニールハウスが燃え盛る結末は、やはり『バーニング』を思い出す。
衝撃のラストシーン
「半地下よりマシ」と言うキャッチコピーに
壮絶な生活を想像するも、
主人公ムンジョン、ちゃんと仕事もあるし
ビニールハウスの中は意外と快適そうだし
なんならセ○レまでいる…🫢
なぜビニールハウス住まいなのか
息子はなにをして少年院にいたのか
(父親を56した🤔?)
観る者の想像に任せる感じがモヤッと感と
イラっと感を増殖させます😫
ラストのとんでもないシーンが無ければ
心掴まれることなく評価も低かったかも。
身震いしたわぁ、あのシーン😨
社会問題
負の連鎖が次々と起こる映画。
現代社会の問題をベースにしてるのだろう。
介護、貧困、孤独。
ギリギリのラインを厭らしく突いてくる
作品。そして攻め立てるよね。ヒシヒシと。
息を飲むスリル感を味合わせたいのかも。
イ・ソルヒ監督は29歳かぁ。
頭の中のパズルが組み立てられてて
ここを外したらとか、別にくつけるとか
構成出来る方なんだろう。
キム・ソヒョンを薄幸ながら艶っぽく
魅せてたね。日本人だと吉田羊さんって感じ。
不思議な後味悪い終わり方。視聴者側に
想像させて止めを指す的な。
嫌な気分なったが、悔しいけど
良く出来上がった映画でした。
これはダメ!障がい者、高齢者を犯罪者にしてエンタメ消費することなど倫理的に許されない!
これはアカン。
こうゆうのはノワールとは言わん。
許しちゃいけないヤツ。
主人公が自傷行為を繰り返す神経症患者の女性、
彼女が介護ヘルパーとして世話する高齢夫婦が認知症、
( 1 )ヘルパーの女性が被介護者の重度認知症の高齢女性を過失死させ、
すぐに救急車と警察を呼べば何ら問題ないところを隠蔽して、同じく認知症の実母を身代わりとし、
( 2 )認知症が始まった被介護者の視覚障がい者の夫が、自分の妻と思って身代わりの介護者の母親を先に殺して自らも自殺を図り、
( 3 )少年院から出た仲間と母親が住むビニールハウスに入った息子達もろともに、過失死させた老婦人の死骸ごと消すために放火して、結果的に実子含む少年達全員焼き殺す、
それで、エンドって‥‥
( 4 )なお、自傷神経症患者達の自主治療サークル仲間の(知的障がいもあるらしき)若い女性に、ヘルパー女性が、イヤなヤツなら殺せばいいと吹き込んだ結果、若い女性が、自分や主人公を性欲処理の道具扱いしていた自称作家のプレデターを殺害するオマケ付き‥‥
あなたねぇ、
神経症患者や
介護対象の高齢者や、
盲人や
認知症患者や、
知的障がい者に
殺人させてエンタメにして、
消費してちゃあ、アカンでしょ。
倫理的に許されんでしょ。
よくこれ、韓国の映倫(?)通ったな‥‥
よくこれ、日本で上映、映倫が許したな‥‥
ホントは、スコア、−100点付けたいところだけど、最低点0.5点までしか下げられないようなので、最低って意味での0.5点です。
この映画の製作関係者全員、
そして、
この映画観て単純に喜んでいる人全員に、
まともな倫理観があるのか、心底から疑う。
胸糞とか、鬱展開とか、
そうゆう呑気なもんじゃぜんぜんなくて、
これはアカンです!
韓国でもダメでしょ、
楽しんでる場合ですか!
人間として、許したらアカンやつです!
あとで何か問題になっても、私ゃ知らんぞ、
ホンマに‥‥
※Filmarksにも投稿
重たいテーマ
映画『ビニールハウス』自宅における老老介護の現実が迫ってくる。みんな目をそむけがちな問題なんだけど、高齢化社会を迎えてそうも言ってられない。「半地下家族はまだまし」のキャッチコピーは、どこか的外れだ。介護の問題は、一人で抱え込まないこと。
『パラサイト』とは別問題
「半地下はまだまし」のキャッチコピー。
あえて「パラサイト」を持ってくるあたり、宣伝効果を狙ってでしょうが。
本作は、全く別の問題提起。
あくまでも、介護の現場の現状。
あえて言えば、韓国のという注釈がつくかもしれませんが。
この問題は、万国共通。
老老介護をする夫婦の家庭に入る介護士の話。
彼女が住むのが、農業用のビニールハウス。
このあたりで貧困の問題を持ってきたいのだろうけど。
その割には。ビニールハウスの室内が、意外ときれい。
あまり悲壮感が伝わってこない。
確かに、まともな家に住めない経済事情があるのだろうけど。
日本だって、ネットカフェで生活する人も多いわけだし。
際立って、社会の貧困化が伝わってこない。
介護は経験したものしかわからない。
これもよく言われることなんですが。
この映画から、その様子は伺い知れる。
特に今回は、家庭における老老介護。
妻は、かなりの進んだ認知症。
そこに、ヘルパーとして主人公の女性が関わってくるんですが。
これだけ認知がすすんだら、施設だよなと思ってしまうんですが。
韓国も介護保険の事情は、日本と似通った形。
ただ、始まって日は浅いのですが。
特にこの家庭内で、介護をしようとすると家族は大変。
また、施設に入れようとしても本人が受け付けないとか。
致し方なく家庭でとなると。映画のような悲劇はあるだろうな。
かの有名な歌舞伎俳優の事件にしても、介護の重圧が背後にあったはずだ。
まだ、介護ヘルパーを入れられるのはましなほうで、これとて本人が頑なに拒めば、万事休す。
根本的解決策はない
残念だけど。
アメリカのような車社会だと、認知症がなくても運転ができなくなった独居老人は、施設に入るしかない。
日本はどうかというと、認知症が進んでしまうと、火事や事故の心配があるので、施設ということになるけど。
そうでなければ、本人の意思で、かなり身体的障害が進んでも、自宅生活が可能となる。
ただ、今回の介護保険の改定で、訪問介護の点数が減らされたので。
今後は、このサービスが受けられなくなる心配が出てきている。
問題を抱えても、一人で悩まないこと。
とにかく相談できる人に相談して、解決方法を探ること。
でないと、根本的解決方法がないとはいえ、問題を抱え込んでしまうと、この映画のような悲劇が。
だから、地域社会でもこの問題を常に頭において。
相談できる場所、組織、サークルなどなどできる限り増えないと。
これから介護問題は、本番を迎えるのだから。
息子
韓国には、ビニールハウスに暮らす人達がどのくらいいるのだろうか。裕福な老夫婦の介護を仕事とし、母親の介護をしながら少年院に入る息子の帰りをまつ主人公は、おそらく夫から暴力を受けており、自傷のためカウンセリングサークル?に通う。影のある美人だからか、断れないたちなのを見抜かれてか若い先生?と男女の関係にある。
息子と住むための物件を探しているときだけ、幸せそうな顔になる。そんな母親の心を知ってか知らずか、おじと暮らすより母と暮らしたいと少年院から電話をする息子。まったく、更正してる気がしなかったがやっぱり。主人公は悪いことをしたわけではないのにやりきれない。
綻び
ある一つの出来事をきっかけに、誤った選択をしてしまったがため破滅へと突き進んでしまう事態に。人生においては何をやっても裏目に出てしまうことがある。そんな負の連鎖を描いた作品。
主人公ムンジョンはビニールハウスで暮らす訪問介護士、一人息子は罪を犯して少年院に、実母は認知症で施設に入っている。彼女自身は知らず知らずに自傷行為を繰り返していた。
そんな境遇でも介護先では献身的に介護を行う、しかし同じく認知症を患うその家の奥さんからは日々罵倒されていた。
恵まれない境遇ながらもけなげに生きようとする彼女の精神はもはや限界だったのかもしれない。そんな彼女に追い打ちをかけるように悲劇が訪れる。
予告編で感じたほどサスペンスフルな展開ではなく、結構静かに物語は進む、途中眠気に襲われるほどに。でも奥さんの死体を運ぼうとしてるときに盲目の旦那さんが帰ってきてしまったりと結構スリリングなシーンもあって楽しめる。この辺のセンスは確かな監督。
誤って死なせた奥さんの代わりに自分の母親を盲目の旦那さんにあてがうムンジョン。このシチュエーションを聞いただけでも思わず笑ってしまいそうになるけど、実際には全然笑えない。
正直に事の顛末を話せばあの旦那さんならわかってくれただろうし、罪には問われなかったかもしれない。ましてやその後、己の認知症を悲観した旦那さんは妻と心中を図るわけで、結局身代わりに自分の母親が殺されてしまうというなんとも皮肉な結末に。
客観的に冷静に考えれば彼女は愚かな選択をしたと傍から見れば思うわけだけど、彼女の精神状態から考えれば正しい判断が可能だったかは疑わしい。あまりの事態に冷静な判断力を持ちえなかっただろう。
苦心してやっと息子と暮らせる家を手に入れ、ビニールハウス暮らしともおさらば。証拠となる奥さんの遺体もろとも焼き払うが、そこには少年院を退所したばかりの息子が忍び込んでいた。
またムンジョンが助言をした同じグループセラピーに通う女性もその助言通りに相手を死なせてしまい、警察には当然彼女からの助言に従ったと自供するだろうし。
不幸な境遇の女性が一つの出来事をきっかけにして更なる不幸に陥ってしまうこの救いようのない物語を通して、なぜ彼女は過ちを犯してしまったのか、彼女のような社会的弱者がこのような事態に陥ってしまうこの社会の在り方を問う意欲作。
通貨危機以後日本以上の格差社会になった韓国、不動産高騰による住居問題、実際に韓国ではビニールハウスを住居としている人がいることに驚いた。また障害を抱えた社会的弱者や高齢化問題、母子家庭の問題等々現代社会が抱えるあらゆる問題を詰め込んだ。本作がデビュー作となる若き女性監督を今後も応援したい。主演を演じたキムソヒョンはその女優オーラを消し去り不幸な女性を全く違和感なくリアルに演じきった。日本の女優さんでいうところ筒井真理子さんを彷彿。
ラストの絵はかなり好き。きっとイ・チャンドンの名作「バーニング」に触発されて作ったんではないか。
タイトルなし
ビニールハウスという題名の割に、それ自体のマイナス部分がほとんど描かれてなく、逆に床もしっかりしてそうだし、家具も冷蔵庫も流し台もあるし意外と住みやすそう!と思ってしまった。
介護描写ばかりが長く描かれてましたが、肝心の主人公の数々のやらかしを放ったらかしたまま、いきなりエンドロールだったのでビックリです。
床を拭くムンジョンが頭に残る
言葉は悪くなってしまいますが良い意味で胸糞悪いというか、終始心がザワザワ、ずっと地を這うような暗い雰囲気が続きます。でも、こういう胸焼けするような目を背けたくなるような現実だから社会問題って言うんだろうなと。
ムンジョンが床を拭くシーンが何度かある。その掌に込められた力から、それぞれ異なった感情が感じられるのが印象的だった。
母親ってのはやはり何があっても子供への愛を捨てないものなんだね。息子はそんな母を軽蔑してる感じだけど…。子供のためならなんでもやってあげたいという思いが歪んだ形で表出してしまった。
グループセラピーのシーン。少し前に見た「夜明けのすべて」にも出てくるけれど、まるで雰囲気は逆。不安を和らげるというよりは、一歩間違えれば危うい刺激に触れる場となっており、これだったら個別カウンセリングのほうがいいのでは…と見ていて辛くなった。ムンジョンは何か精神疾患を抱えているようだったけど、どんな病気に当てはまるのかはわからなかった。
暗闇から脱出できない後味悪いラストになっているので、平常心でいられるときに観ることをオススメします(^^;
共感できたのは「おじいさん」だけでした。
釜山の映画賞で賞も沢山もらった作品ということで、かなり期待して観た作品。が、正直なところ面白くなくてがっかり。おそらく、まず主人公が好きになれなかったこと、そして主人公の息子に同情もなにもできなかったことが一番大きな原因かと。主人公の息子は単なる不良行為で少年院に入ったのだと思いますが、そこに何か同情すべき理由が描かれていたら、もっとこの作品に入り込めたかもしれません。息子が少年院に入った理由がただの不良行為でも、母親は息子がかわいいのは理解できます。けど、単なる観客としてはそこに「ドラマ」がほしかったなと思いました。息子の為に罪を重ねて、破滅していく女性の物語ですから。
それから非常に不謹慎な感想ですが、ビニールハウスの家が想像していたより立派で、ここで息子と頑張れば良いのにとも思ってしまいました。
セラピーの会で知り合った女性が車中でとった行動も、早いうちから最後こうなるだろうと予測がついてしまい、パラサイトのようなあちこちハラハラするような場面も少なかったです。(ここでハラハラしてほしいのだろうと思う場面は色々ありましたが)
ただ、主人公を信じる優しい雇い主のおじいさんだけは、とてもいい人でほっとしました。
以上、厳しめなレビューになりましたが、エンディングにははっとさせられましたし、どの役者さんも素晴らしい演技でした。
まあまあだった
予告ですごく面白そうだったのだけど、それほどでもない。ビニールハウスは能登の被災者が実際に暮らしていて大変そうだ。しかし、こちらのビニールハウスは水道が引かれているようだし、暮らし向きは悪くない。暑くも寒くもなさそうだ。
物語はビニールハウスの暮らしではなく、介護と死体の入れ替えなどのサスペンスだ。お風呂で奥さんが死んだ時に通報していればそれ以下はなさそうで、ついそうしてしまうこともあるだろうけど、でもやっぱり通報すればよかったじゃんと思う。出所した息子を焼き殺す展開は悲惨な割に、ドラマとしてはとってつけたようだ。
ビニールハウスは燃やすもの
主演の女優さんの幸薄い中年女性の雰囲気はとてもよかった。
エンディングは犯行の露呈以上の、彼女の人生が全方位で崩壊するとてつもなく苦〜いラストでインパクトはありました。
ただ韓国映画としてハードル上げると、いろいろプロットの粗さが目につく。盲目の主人の友人の医師が訪ねてきたときのシーンなどはさすがに無理があると思うし、隠蔽工作が全て上手くいった場合の落としどころが見えないなどツッコミどころは多い。まあ、計画的犯行ではなく、偶発的事故の糊塗なんでそこまでは主人公は考えてないということか。
ところで、彼女の男関係がいまひとつ理解できなかった。
主人公は介護をしている老夫婦の息子(妻子あり)と過去に関係があったように私は読み取ったのだが、彼女に一方的に懐いているメンヘラの若い女性が「先生」とよんで一緒に暮らしている(最後にメンヘラに首を切られる)DV男が、その主人公の過去男と同一人物ように描かれていて、でもそれだと妻子ありの設定と矛盾するよね。 韓国人男性の顔を見分けられなかっただけで、老夫婦の息子ではなかったんだろうな。
韓国映画ではビニールハウスは燃やされることになっているのね。(バーニング@イ・チャンドン)
火が炎になると手がつけられないように、負の連鎖が重なり始めるとそれを止めることはできなくなる
2024.3.19 字幕 京都シネマ
2022年の韓国映画(100分、G)
ビニールハウスに住む訪問介護士を描くスリラー映画
監督&脚本はイ・ソルヒ
原題は『비닐하우스』、英題は『Greenhouse』で、ともに「ビニールハウス」という意味
物語の舞台はソウル郊外
ビニールハウスに住む訪問介護士のムンジョン(キム・ソヒョン)は、少年院に入っている息子ジョンウ(キム・ガン)と一緒に新居に住むことを夢見ていた
ムンジョンは裕福な老夫婦テガン(ヤン・ジェソン)とファオク(シン・スンヨク)の世話をしていて、テガンは盲目で、ファオクは認知症を患っていた
ファオクはムンジョンを「自分を殺しに来た女」と認識していて、時折スイッチが入っては暴力的になってしまう
ムンジョンには自傷癖があり、医師の勧めからセラピーに通うようになっていた
代表(ファン・ジョンミン)に促されて自分のことを話す参加者だったが、その中の一人スンナム(アン・ソヨ)はムンジョンを気に入って近づいてくる
代表は「彼女には注意して」と促し、過去にスンナムが原因で退会した人がいたことを伝えた
スンナムは先生と呼ぶ男から暴力を受けていて、そこから逃げるためにムンジョンを頼る
彼女はスンナムをビニールハウスに招き入れ、自由に出入りして良いと許可を出した
それから何の問題も起こらなかったのだが、ある日の事件にて、全ての歯車が狂い始めてしまう
映画は、予告編の段階で「ファオクを殺して、自分の母チョンファ(ウォン・ミウォン)を身代わりにする」というところまで暴露されているが、ここに来るまでに結構な時間がかかっている
事件が起きるのは3分の1が過ぎた頃で、それまではムンジョンの背景を丁寧に紐解いていく流れになっている
ムンジョンはテガンの教え子であるギョンイル(ナム・ヨンウ)と肉体関係を持っているのだが、実はこの男が「スンナムが先生と呼ぶ男だった」という回収がなされていく
ムンジョンは「自分の人生に悪影響を与えるなら殺してしまえ」という趣旨のことをスンナムに言ってしまい、彼女はそれを実行してしまう
物語は、ムンジョンがファオクを突き飛ばしたことから破綻する流れを描き、それを隠蔽するために母親を使うことで思わぬ方向へと向かっていく
テガンは物言わぬチョンファが「妻ではない」と気づき始めていて、それらが全てバレる前に、さらなる悲劇の連鎖が起こっていくという流れになっていた
映画のラストは、ビニールハウスに火をつけたムンジョンが振り返ってそれを見るシーンで終わるのだが、一見すると「え? これで終わり?」という感覚は否めない
だが、そこで彼女の表情が少し変わったように見えるので、その炎の中に何があったのかを気づいているように思える
それが何なのかをネタバレするとアレなのだが、それをいつ知るかによって、彼女の絶望というもののスケールは変わってくるように思えた
いずれにせよ、半地下はまだマシというコピーから見られるように、半地下よりもさらに劣悪な環境にいるビニールハウス族をメインに描いている
韓国の田園地帯にはビニールハウスで住む人が集まっているエリアなどがあり、そこに住む人にスポットライトを当てているようにも思えた
だが、そのような社会情勢への言及はほとんどなく、構図として「底辺が上流の生活に紛れ込む」というものが『半地下の家族』とそっくりなので、社会的なメッセージが薄い分、弱いなあと感じた
ムンジョンがビニールハウスに住む経緯がほとんど描かれず、夫との離別理由、息子が少年院に入っている背景などの説明もない
それらの理由がムンジョンにあるのか無いのかでも見方は変わってくるので、そのあたりはさらっとセラピーなどでふれても良かったのでは無いだろうか
エンタメ色は薄い
「誰も知らない」のキム・スヒョンが素晴らしかったので、こちらを鑑賞。
丁寧に描こうとしているのか、やたらテンポが遅い。入替えについても、ドラマなら始まって通常5〜10分くらいででてくるのではないか。
また「半地下はまだまし」というキャッチにそそられたが、ほとんどビニールハウスについての説明もなく、思ったより広く快適に住んでいるようにもみえた。
そしてラスト。あれは時間切れだったのでしょうか。
知らずにサヨナラ。
少年院にいる息子と再び暮らす事を夢見る自傷癖あり職業は訪問介護士、自宅はビニールハウスのムンジョンの話。
老夫婦の訪問介護で盲目の夫テガンと認知症を患う妻のファオク、そのファオクを風呂場で介護中、突然暴れだしたファオクを止めようと揉み合うなか、転んだ拍子に後頭部を打って亡くなってしまったファオクを自宅クローゼットに隠し、施設に入るムンジョンの母親を身代わりに…。
ストーリーは面白いけど展開にちょっと違和感、息子と住むを夢見てるなら、風呂場の事故はなぜ救急車呼ぼうとはしてたけど…。
身代わりに母ちゃん住ませて、ムンジョンとのやり取りでは話さないボケた母親設定にも見えたけど、周りの人に迷惑かけたくない、仕舞いに面倒がみれなくなるからで妻と勘違いしたテガンが母親の首を絞めた時、母親の口から「ごめんなさい、黙ってて」みたいセリフが出た瞬間、ボケ老人じゃないじゃん!何て脳内ツッコミをいれて!(笑)
知らず知らず自分の身内サヨナラみたいな…(笑)全体的なストーリーじたいは面白いと思ったけど細かい箇所の詰めの甘さみたいのが気になってしまった。
何であんなにカーセックス描写?(笑)
演技力はさすが。でもストーリーが…
ドキドキハラハラで、これでもか!というぐらいドラマティックな韓国サスペンスが大好き。
ただこの映画に関してはちょっと期待はずれ…
少年院に入ってる息子と暮らすべく、認知症の人の罵倒に耐えながら必死で働き、更に自分の母親も認知症という過酷な人生。老齢化が進み、介護や貧困が社会現象であるのは間違いないし、私自身にも関わって来る問題である中、ストーリー全般に救いが無さすぎる。ひたすら気分が落ちた…
【"偶発的にパラサイトを企てた罪と罰、そして大いなる報い。”ブラックダークでシニカル且つトラジディな作品展開が精神的にキツイ映画。精神が疲れている方は要注意映画でもある。】
■少年院に居る息子と再び共に暮らすことを夢見てムンジョン(キム・ソヒョン)は農業用の黒いビニールハウスに一人で住んでいる。
彼女は、高齢の夫婦で、軽度の認知症だが盲目のテガン(ヤン・ジェソン)と重度の認知症で被害妄想が酷いファオク(シン・ヨンスク)の訪問介護を仕事にしている。
何時か息子と住む家を買うために・・。
◆感想
・近年、高年齢化が進んでいるためか、認知症を扱った映画が多いが、今作で被害妄想が酷いファオクがムンジョンに浴びせる罵声や、唾にげんなりする。
ー だが、ムンジョンは懸命に介護をする。テガンは彼女に優しいが・・。-
・ある日、ファオクを入浴させようとしたムンジョンが”私の事を殺すんでしょ!”と掴みかかって来たファオクを弾みで突き飛ばし、彼女はタイルに頭を打ち、絶命する。
ー 慌てたムンジョンだが、布団にくるみテガンの車で何とか黒いビニールハウスに運び込み、タンスの中に遺体を収容する。-
・精神的な悩みを抱えている人たちのミーティングに初めて出た自分の頬を叩く自傷行為が自然に出るムンジョンは、精神薄弱の気があるスンナム(アン・ソヨ)に気に入られ、“先生”に悪戯されていると思われる彼女を黒いビニールハウスに連れて来る。
ー この“先生”が、ムンジョンのセフレである所も、皮肉である。-
・ムンジョンはファオクの代わりに認知症の母を、テガンの家に連れて来る。
ー テガンは最初は気づかないが、徐々にファオクではない女の存在を、自身の認知症が進んでいると決めつけ、自分を介護してくれたムンジョンに多額の謝礼を息子を通じて渡し、自ら、縊死する。-
■ムンジョンが、何時から意図的にパラサイトを企んだかは、観る人の判断によると思うが、スンナムの言動が大きいと思う。”殺しちゃえば良いのよ!。”
■ラストはシニカル且つトラジディな作品展開である。
漸く手に入れた高層マンションの床を綺麗に拭いているムンジョンの姿。
その後に、少年院を出たムンジョンの息子が共に院を出た少年達と、黒いビニールハウスにやって来る。酒を呑みだした彼らだがムンジョンが急に帰って来たことで、慌てて隠れるが、ムンジョンはそれに気づかず、ファオクの遺体を入れてある箪笥や部屋中にガソリンを撒き火を付けるのである。
<この作品は、喫緊の問題である認知症、高年齢化した社会、低所得者層の問題を織り込みながら、負の連鎖が止まらないストーリー展開に、引き込まれる作品である。>
期待度◎鑑賞後の満足度○ 最近感心することの多い韓国映画だがちょっとこれは…あまり共感できないヒロインだが好演しているので★半分だけオマケ。
①認知症の悲劇を全く別の観点から描いた寓話としてみればそれなりに面白いとも言えるが、話が余りにもご都合主義且つ偶然の積み重ねで出来ているので興ざめ。
安っぽいメロドラマ風社会派映画というところか。
感銘を受けるまでは行かず。
②ヒロインを軽い精神障害(自傷行為持ち)を持っている設定にしたのも言い訳っぽいし、障害者が如何にも危険である様な描写や台詞(「三級でも障害者は障害者だからねぇ」)も感心出来ない。
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