ビニールハウスのレビュー・感想・評価
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共感できたのは「おじいさん」だけでした。
釜山の映画賞で賞も沢山もらった作品ということで、かなり期待して観た作品。が、正直なところ面白くなくてがっかり。おそらく、まず主人公が好きになれなかったこと、そして主人公の息子に同情もなにもできなかったことが一番大きな原因かと。主人公の息子は単なる不良行為で少年院に入ったのだと思いますが、そこに何か同情すべき理由が描かれていたら、もっとこの作品に入り込めたかもしれません。息子が少年院に入った理由がただの不良行為でも、母親は息子がかわいいのは理解できます。けど、単なる観客としてはそこに「ドラマ」がほしかったなと思いました。息子の為に罪を重ねて、破滅していく女性の物語ですから。
それから非常に不謹慎な感想ですが、ビニールハウスの家が想像していたより立派で、ここで息子と頑張れば良いのにとも思ってしまいました。
セラピーの会で知り合った女性が車中でとった行動も、早いうちから最後こうなるだろうと予測がついてしまい、パラサイトのようなあちこちハラハラするような場面も少なかったです。(ここでハラハラしてほしいのだろうと思う場面は色々ありましたが)
ただ、主人公を信じる優しい雇い主のおじいさんだけは、とてもいい人でほっとしました。
以上、厳しめなレビューになりましたが、エンディングにははっとさせられましたし、どの役者さんも素晴らしい演技でした。
「長編デビュー作」を味わう
イ・ソルヒ監督、本作が長編映画デビューで脚本も自らのもののようですが、素直に面白く良く出来た作品だと思います。正直、都合の良さを感じざるを得ない部分は多いです。或いは、描かないことで胡麻化していると思える部分も少なくありません。ただ、予想できる展開と思いきや、そこにちょっとしたアイディアがプラスアルファされていて「有りがち」とは片づけることのできない「光るもの」を感じさせます。
また、バジェットの都合もあるのでしょうが、売れっ子ではなくドラマ中心に活躍する実力十分なキャスティングも効果的で、特に老人役の方たちのしびれる演技がそこはかとなく不穏で、虚実の判断が出来なくなった状況の不気味さは不安を掻き立て、その場から逃げ出したくなる衝動にかられます。
どうしても映画館というような作品性ではないものの、潔いくらい説明は省いているため、何も判らない序盤は特にノリにくく、配信だと集中力が試されるかもしれません。或いは、イ・ソルヒ監督の今後に期待をすればこそ、この「長編デビュー作」を味わうためにも劇場鑑賞する価値はあると思います。興味あれば是非。
まあまあだった
予告ですごく面白そうだったのだけど、それほどでもない。ビニールハウスは能登の被災者が実際に暮らしていて大変そうだ。しかし、こちらのビニールハウスは水道が引かれているようだし、暮らし向きは悪くない。暑くも寒くもなさそうだ。
物語はビニールハウスの暮らしではなく、介護と死体の入れ替えなどのサスペンスだ。お風呂で奥さんが死んだ時に通報していればそれ以下はなさそうで、ついそうしてしまうこともあるだろうけど、でもやっぱり通報すればよかったじゃんと思う。出所した息子を焼き殺す展開は悲惨な割に、ドラマとしてはとってつけたようだ。
ビニールハウスは燃やすもの
主演の女優さんの幸薄い中年女性の雰囲気はとてもよかった。
エンディングは犯行の露呈以上の、彼女の人生が全方位で崩壊するとてつもなく苦〜いラストでインパクトはありました。
ただ韓国映画としてハードル上げると、いろいろプロットの粗さが目につく。盲目の主人の友人の医師が訪ねてきたときのシーンなどはさすがに無理があると思うし、隠蔽工作が全て上手くいった場合の落としどころが見えないなどツッコミどころは多い。まあ、計画的犯行ではなく、偶発的事故の糊塗なんでそこまでは主人公は考えてないということか。
ところで、彼女の男関係がいまひとつ理解できなかった。
主人公は介護をしている老夫婦の息子(妻子あり)と過去に関係があったように私は読み取ったのだが、彼女に一方的に懐いているメンヘラの若い女性が「先生」とよんで一緒に暮らしている(最後にメンヘラに首を切られる)DV男が、その主人公の過去男と同一人物ように描かれていて、でもそれだと妻子ありの設定と矛盾するよね。 韓国人男性の顔を見分けられなかっただけで、老夫婦の息子ではなかったんだろうな。
韓国映画ではビニールハウスは燃やされることになっているのね。(バーニング@イ・チャンドン)
火が炎になると手がつけられないように、負の連鎖が重なり始めるとそれを止めることはできなくなる
2024.3.19 字幕 京都シネマ
2022年の韓国映画(100分、G)
ビニールハウスに住む訪問介護士を描くスリラー映画
監督&脚本はイ・ソルヒ
原題は『비닐하우스』、英題は『Greenhouse』で、ともに「ビニールハウス」という意味
物語の舞台はソウル郊外
ビニールハウスに住む訪問介護士のムンジョン(キム・ソヒョン)は、少年院に入っている息子ジョンウ(キム・ガン)と一緒に新居に住むことを夢見ていた
ムンジョンは裕福な老夫婦テガン(ヤン・ジェソン)とファオク(シン・スンヨク)の世話をしていて、テガンは盲目で、ファオクは認知症を患っていた
ファオクはムンジョンを「自分を殺しに来た女」と認識していて、時折スイッチが入っては暴力的になってしまう
ムンジョンには自傷癖があり、医師の勧めからセラピーに通うようになっていた
代表(ファン・ジョンミン)に促されて自分のことを話す参加者だったが、その中の一人スンナム(アン・ソヨ)はムンジョンを気に入って近づいてくる
代表は「彼女には注意して」と促し、過去にスンナムが原因で退会した人がいたことを伝えた
スンナムは先生と呼ぶ男から暴力を受けていて、そこから逃げるためにムンジョンを頼る
彼女はスンナムをビニールハウスに招き入れ、自由に出入りして良いと許可を出した
それから何の問題も起こらなかったのだが、ある日の事件にて、全ての歯車が狂い始めてしまう
映画は、予告編の段階で「ファオクを殺して、自分の母チョンファ(ウォン・ミウォン)を身代わりにする」というところまで暴露されているが、ここに来るまでに結構な時間がかかっている
事件が起きるのは3分の1が過ぎた頃で、それまではムンジョンの背景を丁寧に紐解いていく流れになっている
ムンジョンはテガンの教え子であるギョンイル(ナム・ヨンウ)と肉体関係を持っているのだが、実はこの男が「スンナムが先生と呼ぶ男だった」という回収がなされていく
ムンジョンは「自分の人生に悪影響を与えるなら殺してしまえ」という趣旨のことをスンナムに言ってしまい、彼女はそれを実行してしまう
物語は、ムンジョンがファオクを突き飛ばしたことから破綻する流れを描き、それを隠蔽するために母親を使うことで思わぬ方向へと向かっていく
テガンは物言わぬチョンファが「妻ではない」と気づき始めていて、それらが全てバレる前に、さらなる悲劇の連鎖が起こっていくという流れになっていた
映画のラストは、ビニールハウスに火をつけたムンジョンが振り返ってそれを見るシーンで終わるのだが、一見すると「え? これで終わり?」という感覚は否めない
だが、そこで彼女の表情が少し変わったように見えるので、その炎の中に何があったのかを気づいているように思える
それが何なのかをネタバレするとアレなのだが、それをいつ知るかによって、彼女の絶望というもののスケールは変わってくるように思えた
いずれにせよ、半地下はまだマシというコピーから見られるように、半地下よりもさらに劣悪な環境にいるビニールハウス族をメインに描いている
韓国の田園地帯にはビニールハウスで住む人が集まっているエリアなどがあり、そこに住む人にスポットライトを当てているようにも思えた
だが、そのような社会情勢への言及はほとんどなく、構図として「底辺が上流の生活に紛れ込む」というものが『半地下の家族』とそっくりなので、社会的なメッセージが薄い分、弱いなあと感じた
ムンジョンがビニールハウスに住む経緯がほとんど描かれず、夫との離別理由、息子が少年院に入っている背景などの説明もない
それらの理由がムンジョンにあるのか無いのかでも見方は変わってくるので、そのあたりはさらっとセラピーなどでふれても良かったのでは無いだろうか
韓国
連鎖する「困ったら殺す」
エンタメ色は薄い
「誰も知らない」のキム・スヒョンが素晴らしかったので、こちらを鑑賞。
丁寧に描こうとしているのか、やたらテンポが遅い。入替えについても、ドラマなら始まって通常5〜10分くらいででてくるのではないか。
また「半地下はまだまし」というキャッチにそそられたが、ほとんどビニールハウスについての説明もなく、思ったより広く快適に住んでいるようにもみえた。
そしてラスト。あれは時間切れだったのでしょうか。
韓国のビニールハウスは頑丈そう
途中までは思ったより退屈だが怒涛のラスト
知らずにサヨナラ。
少年院にいる息子と再び暮らす事を夢見る自傷癖あり職業は訪問介護士、自宅はビニールハウスのムンジョンの話。
老夫婦の訪問介護で盲目の夫テガンと認知症を患う妻のファオク、そのファオクを風呂場で介護中、突然暴れだしたファオクを止めようと揉み合うなか、転んだ拍子に後頭部を打って亡くなってしまったファオクを自宅クローゼットに隠し、施設に入るムンジョンの母親を身代わりに…。
ストーリーは面白いけど展開にちょっと違和感、息子と住むを夢見てるなら、風呂場の事故はなぜ救急車呼ぼうとはしてたけど…。
身代わりに母ちゃん住ませて、ムンジョンとのやり取りでは話さないボケた母親設定にも見えたけど、周りの人に迷惑かけたくない、仕舞いに面倒がみれなくなるからで妻と勘違いしたテガンが母親の首を絞めた時、母親の口から「ごめんなさい、黙ってて」みたいセリフが出た瞬間、ボケ老人じゃないじゃん!何て脳内ツッコミをいれて!(笑)
知らず知らず自分の身内サヨナラみたいな…(笑)全体的なストーリーじたいは面白いと思ったけど細かい箇所の詰めの甘さみたいのが気になってしまった。
何であんなにカーセックス描写?(笑)
演技力はさすが。でもストーリーが…
ドキドキハラハラで、これでもか!というぐらいドラマティックな韓国サスペンスが大好き。
ただこの映画に関してはちょっと期待はずれ…
少年院に入ってる息子と暮らすべく、認知症の人の罵倒に耐えながら必死で働き、更に自分の母親も認知症という過酷な人生。老齢化が進み、介護や貧困が社会現象であるのは間違いないし、私自身にも関わって来る問題である中、ストーリー全般に救いが無さすぎる。ひたすら気分が落ちた…
見ごたえあり
0530
惜しい映画だがなのだが
着想はかなりよく、報われない人間の負の連鎖を描いてはいるが、手垢付きすぎの題材で、少し盲目や認知症などを入れて工夫はしているがかなりやはり偶然の連続だけではもたにい。
もう少し捻るなりしないと残念な映画で終わる。
胸糞悪い終わりだがだからこそ、息子の罪や自分の罪などを描いて、渾身のラストに持っていくべきなのだが、その当たりの話が薄くただの胸糞映画になっている。
難しいですね。
そのタイミングの蕨はミミズに感じる
盲目の夫と認知症の妻という老夫婦の家で家政婦として働き、ビニールハウスで暮らす女性が成りすましを企てる話。
早々に、夫も初期の認知症と告白される中、上っ面感満載のインチキ臭いグループセラピーで知り合った知的障害の女性を絡ませつつ、夫の留守中に風呂場で暴れて頭を打った妻の代わりに自分の母親を住まわせる流れになっていくけれど、衝動とはいえこれで上手く行くと考える様な主人公にはみえないし、母親は突然の登場だし、急に喋らなくなったことには触れないし、御都合主義が過ぎるというか…まあ案の定な訳だけど。
そもそももう引っ越し決めてるし、母親を厄介払いしたかっただけなのか?と思ったら、喋れるんですね(´・ω・`)
新?老夫婦については決着もついたけれど、それ以外は全部途中でぶった切った、えっ終わり?というラストだし自分には消化不良だった。
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