無名のレビュー・感想・評価
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スリリングで眼福。完璧じゃないでしょうか。
まずもって全てが美しすぎる。
一つ一つのシーンが芸術品。トニー・レオンはじめ俳優陣がダブルのスーツをバシッと着こなしていて嘆息。女優のしなやかなチャイナドレスには憧れる。しかも画面の濃淡、暗めのグラデーションは、ノワールと言われる中でも美しさは格別だと思う。
さらにストーリーもスマート。時系列を入れ子構造にして混乱させつつ、スパイ同士の騙し合い、誰が敵で誰が味方なのか分からない不安感を持たせ、アクションと伏線回収でメリハリを着ける。
美しい。難しい。理解できない。なにがおこった?でも面白すぎる。トニー・レオン……美しい。がグルグル回る。いやほんと、欲目かもしれないけど、素晴らしい。
最後に、日本に生まれて育った者として過去を知る努力は続けないとという自戒も改めた。
トニー・レオンの“色気”に酔いしれるスパイ・ノワール
アジアを中心に世界の名匠たちの傑作で映画史に残る名演を残してきたトニー・レオンの“色気”に久々に酔いしれることができる作品です。ウォン・カーウァイ監督「花様年華」、アン・リー監督「ラスト、コーション」などの作品でみせた、ビシッと決まったヘアスタイルとスーツ姿にタバコ。完璧な身なりと巧みな言葉使い、醸し出される大人の余裕とどこか自己陶酔しているようなダンディな男を演じさせたらアジアで彼の右に出る者はいないのではないでしょうか。
禁断の愛を描いたラブサスペンス「ラスト、コーション」も舞台が1942年の日本軍占領下の上海で、タン・ウェイが演じる抗日運動の女性スパイに命を狙われる日本軍傀儡政府の顔役をレオンがエロチックでニヒルに演じていました。
「花様年華」の舞台は1962年の香港で、それぞれ家庭を持つ男女の不倫の愛を描いた大人の“純愛”ドラマです。マギー・チャンが演じた商社の秘書と交わす“視線の愛”。レオンが演じる新聞編集者の男がつのらせていく思いをくゆらせるタバコの煙や背中などで表現。両作品でも当時のファッション(スーツ)を難なく着こなし、タバコを吸う所作ひとつで色気たっぷりに見るものを魅了しました。
また、警察とマフィアにそれぞれ潜入した2人の男の生き様を描いた香港ノワールの傑作「インファナル・アフェア」でみせていた潜入捜査官を彷彿とさせるスパイのギリギリの心情を、「無名」でも抑制のきいた佇まいで演じ、昨年60歳を迎えたレオンが、スタントなしのアクションで迫力の対決シーンを演じているのも見どころのひとつとなっています。
トニー・レオンのスパイ映画っていうから
前情報ほぼ無しで観に行ってしまいました。
もちろん、インファナル・アフェアの再来、もしくはそれ以上の素晴らしい香港ノワールを期待して。
無知だった自分が悪いのです。
イントロで中国の企業名これでもかと盛ってきて、あ、これ香港映画じゃないとようやく気づき、トニー・レオンの名の横には「中国香港」。
中共万歳プロパガンダ映画でした。
ジャッキーも、トニー・レオンも、あっち行っちゃって、香港映画ってもう、できないんだな、とトドメを刺されました。
今後、こういう映画が無邪気に日本国内でも人気を得てきたら危ないなあ…。
派手なアクションを強調したかったか、無駄にバトルシーンが長かったり、なんでか若い中国人にだけカタコトに日本語喋らせたり、ツッコミどころは多々ありましたが、2時間ちょいは長く感じず、余計なこと何も考えず楽しめれば、エンターテインメントとしては悪くないです。
ストレートに展開していいんじゃない?
1930~40年代の上海を舞台に、汪兆銘の国民党政府、中国共産党、日本軍が入り乱れてのスパイ戦を落ち着いた映像で描く中国作品です。トニー・レオンがベテラン工作員を演じるのが見どころ。
スパイ物語なだけに人間関係が複雑なのに、作中の場面はほとんどが薄暗い室内で、多くが二人の会話でお話が進みます。集中していないと、
「ええ~っと、この人とこの人はどういう関係なんだったっけ」
「この男の立ち位置はどこにあるんだったっけ」
と訳が分からなくなってしまいます。それなのに、時制を頻繁に入れ替えて同じ場面を繰り返して描くので、展開のスピード感がすっかりなくなってしまいました。戦時の上海の映像も切れ味よく、トニー・レオンの色気もタップリだっただけに残念。途中ですっかり疲れてしまいました。
ラスト、コーション
を期待して行ったのですが、北野映画みたいですね。トニタンは相変わらず恰好良いです。皆さんワンさんのファンなのでしょう、結構良い入でしたが、どのくらいの人がストーリーを理解できたか不思議です。
片言の日本語には字幕をくれ
初っ端から時系列があっちこっち行く上に各勢力の人間が複雑に入り組む上に
中国人が片言の日本語で大事な事言うシーンが割と多くて「え?なんて?」ってなる場面が多い
大戦下の日中の歴史的事実をもう少し覚えてたら
多少、取っ付きやすかったのかも知れない
面白過ぎて2回鑑賞しました
トニーレオンのファンなので、彼目当てに観に行きましたが、ワン・イーボーも素敵で演技も良かったです!特に二人の格闘シーンはスタントなしというのが信じられない位臨場感に溢れていて名シーンだと思う。
1回目は歴史的背景を知らないまま、何なら前情報は何も見ないで鑑賞したので、わかりにくい箇所が多数。それを差し引いても面白かったですが。
もっと楽しみたくて、少し歴史を調べてから2回目を鑑賞しました!
本当にストーリーがよく練られていて、もう1度映画館で鑑賞したいくらいです。
明暗の間にある絵画的な美しさ
勢力図が日々書き換わる戦局の中、スパイ達が時勢のうねりに翻弄されながら生存競争を繰り広げる様を描いた作品。
『現代の中国』から発信される、第二次大戦中の『国民党政権』の情報部に属する男達をメインに据えた作品、という時点で、ある程度ラストやスパイ映画としてのオチは見えている。
本作の真の見所は、散発的に置かれていたシーンが繋がりだすカタルシスと耽美な映像だと感じた。スパイとして言葉にも表情にも感情を表さない男たちの無言の佇まいを、様々な角度や距離から撮ったカットは、非常に美しい。雄弁な無言の空気は、俳優陣の演技はもちろん、こだわりのロケ地、巧みな照明や撮影技術の賜物だった。
スパイムービーとしての奇策や外連味よりも、カッコ良さや味わいに全振りしたノワール映画として心に留めたい。
第2次大戦中の上海、 中国や日本の各軍組織やスパイたちの様子。 戦...
第2次大戦中の上海、
中国や日本の各軍組織やスパイたちの様子。
戦闘ドンパチというより (それもありますが)
マインドゲーム的で、頭を使う鑑賞でした。
大陸から見たら、日本に支配されていたものが解放された、そういう目線になるのでしょうね。
映画中の音声は、北京語と広東語と日本語が入り混じり、
聴いていて面くらうところもありました。
一方で、エンドロールの巨大文字、歌の北京語字幕、見やすかったです。
リバース
私がトニー・レオンを見たのは、恋する惑星以来だ。世代から私はイボ君目当てではない。しかしイボ君は活躍していた。
政治や思想下で暗躍する人々を描いた作品。上から命令があり、ターゲットを暗殺していく。あるシーンからリバースして何があったかわかる構成になっている。だからもう一度見て確かめたいと思わせる。
関東軍の幹部役の日本人俳優は、最初セリフまわしが下手だったが、だんだん上手くなっている。撮った順番は知らないけれど。
暗殺者は訓練されているから、ものすごく強い。何故か流れで殺し合いすることになった2人のシーンが見せどころになる。
民衆が犠牲になるシーン、銃殺されたり、閉じ込められて頭上からコンクリートを流されるところが悲しかった。
時代に翻弄された人々の話。
横浜シネマリンはおば様たちで満たされていた。
久しぶりにJR桜木町駅で降りた。昼間の野毛横丁を鴉のように怯えながら抜け運河を渡り伊勢佐木町商店街にでた。さらに少し歩いて根岸道路に出る。そこにこの映画館はある。専らインディーズ映画ばかりが上映される映画館。もう随分前から僕にとってのお気に入りの映画館なのだ。時間は上映開始まで30分あった。半端な時間だった。ロビーで待つか・・と決めて古びたビルの階段を地下へ下り、チケットを買った。愛想のいいおばさんが笑顔でチケットを渡してくれた。照明の暗いロビーには誰もいない。入口から一番近いベンチに腰掛け吉行淳之介の短編を読み始めた。ものの2~3分、年老いた女性がひとり入ってきた。チケットを買わずに僕の隣にゆっくりと腰掛け上映スケジュールチラシを眺めはじめた。そしてまたひとり、続いてまたひとり。すべて女性・・・さらにひとりと、そろいもそろって60歳以上の女性ばかりが静かに集まり始めた。気が付けば30人ぐらいだろうか・・・・しかも誰もがひとり。口を利かないおばさん30人の中に佇む僕は少々居たたまれぬ気分に襲われ始めた。そして静寂。この静けさはいったいなんなんだろうと考え始めたが、もぎり嬢の入場案内で救われた。意味もなく不安な面持ちで映画は始まった。
ファーストシーンは暗がりの中で煙草の煙を燻らすレオンの横顔。かなり老けたなぁと瞬間に感じた。しかし、すべての謎が解けた。ここにいるすべての女性たちの溜息がイッセイに漏れてきた。そんな気がしたのだ。
ストーリー、配役、音楽などもはや彼女たちにどうでも良いのだ。画面から放たれるレオンの眼差し、手のしぐさ。色気以外の何物でもない。スパイらしからぬ笑顔に、そして冷酷なまなざしで拳銃を撃つ腰つきに、ウットリとエクスタシーしている観客のおばさんたちのあえぐ声。映画を観るどころではなかった。
しかし、こんなふうに映画を観たのは生涯ではじめての経験だった。
しばらくは、この映画館を避けることにしよう。
フランス菓子が美味しそうだった
日本では、なかなか映画化することが難しい、近現代の歴史映画。日中(抗日)戦争の間、秘密情報部員たちの上海を中心にした抗争を描く。
中国側から日中戦争を描いた映画の中では、私は広東語の「寒い夜(1955年)」が一番好きだ。あの映画で、都市部では戦前から日本以上に都市文化が成立していたことを知った。
この映画では、日本軍はよく描かれていたと言えるのではないか。太平洋戦争の勃発の日時も正確だった。中国東北部(満州)こそが生命線との(おそらく石原莞爾の)考え方も再三、強調されていた。また、昭和天皇はともかくとして、東條首相よりも近衛首相に厳しかった。それも一つの見識ではないかと思う。
ただ、中国側の描き方についてはどうかと思った。蒋介石の国民党(重慶)政府、傀儡と言われる汪兆銘の南京政権に関してはさんざんだった。
それ以上に、中国共産党の地盤が地方の農村にあることと関係するのだろうが(都市部は国民党の地盤)、口では知識層と労働者を大事にすると言いながら、全くと言っていいほど、出てこなかった。その後のやり方を見ても、知識層なんて本当は問題にしていなかったのだろう。
描き方も疑問、前に出てきた情景が何度もカットバックされる。テンス(時制)を崩して、その時の情景だけに集中させたいのだろうが、理由は明らか。ストーリーに明らかな欠陥がある。
それにしても、上海のフランス租界の洋菓子店で出てきたミルフィーユやアーモンド・ペストリー(多分)が魅力的だった。日本では、せいぜい「シベリア」の頃。バランスを取るためか、日本海軍では食事にフレンチが出るとかいうが、周知のように日本海軍は英国式で、せいぜい週に一度のカレーがご馳走だったはずだけど。
映像格好良かった!
最初、時系列と登場人物の人間関係についていけなくて???ってなりましたが、途中で「あ〜」ってなりました。
残念なのは、中国が作ってる映画ということは、どうせ主人公は共産党側のスパイやろ?と、否応なしにネタバレされてしまうところです。
え?こと人どっち側?!ってワクワク観れたらもっと面白かったのに。
共産党、国民党、日本のスパイが騙し合ってるけど、観てる側を騙せないというのは、かなり勿体無い…。
中国が作ってるから、もう仕方ないことだけど。
ストーリーやアクションは、めちゃくちゃ面白かったし、トニー・レオンは相変わらず、色気があって格好良かったし、出てくる女優さんが、みんな凄く綺麗だったので、映像としては、とても楽しめました。
世界観がすべて
トニー・レオン主演ということで観に行きました。
しかし全く分かりませんでした。歴史が苦手なので、時代背景やどういった組織がスパイしているのか分からない。日本人は一人いるけどあとは中国人ばかりだし。話が進んでくれば多少は理解できるかなと思ったけど、分かりませんでした。
ワン・イーボはカッコよかったし、ダンサー役のチャン・ジンイーも美しかった。世界観は良かった。しかし、日本人は日本語で中国人は中国語で会話して、二人の会話で成立するのならどちらかに統一しろよと思う。その日本人もかなり多くの場面で出演しているのに扱いヒドい。パンフレットのCAST紹介はたったの2行。
スパイ映画なのでもっとアクションシーンがあると思ったけど、すごく少なかった。ノワール映画だから、ある程度でもアクションを期待するのは間違いだった。だから今回は上映後のメイキング動画付き上映だったけど大したことなかった。
ストーリーだけなら全く理解できていないので低評価。しかし、世界観と俳優陣のカッコ良さ、美しさ、そして今後理解出来る事に期待して評価します。
リピートしてます!!
初見は時系列をバラバラに散りばめた展開に翻弄されつつ前半は必死に食らいつく感じで、後半はワン・イーボーとトニー・レオンの死闘ぶりが圧巻で見入っている間に終盤そうゆうことだったのかあ!!という気持ちの良い衝撃を受けて放心でした…
間を空けずに2回目、それぞれの心情が初見時と色々違って見える面白さ。さらに鑑賞後のレビューを読んでいると自分のまったく気づいていないポイントがたくさんあって、そこを確認したくなりもう一度観る→また知らないポイントを知ってしまう→さらにまた観るを繰り返しています。
個人的にワン・イーボーさんの表情とかとても刺さる、イエ氏はこの人のためにある役なんだなってとても思います。
時系列が複雑だけど
単純な話のため、わざと時系列を複雑にして、お話に重厚感をだそうとしている感じがした。本編上映の冒頭に、沢山の機関や会社名がでてくるが、中国共産党らしいものもあった。プロパガンダ映画としてみれば、結末はおのずと見えてくるものである。豪華な中国人俳優の実力は確かだし、顔もいい。奥様方がよろこぶのもうなずける。しかも、画期的なのは、日本人は日本語を、中国人は中国語を互いに話し、通訳なしで会話を成り立たせるという力業には驚いた。こんな方法もあったか。スマホの通訳機能がますます進歩すれは、これが普通のことになるということ。語学学習すら必要のない近未来映画として見てもおもしろいのでは?
残酷で間抜けな日本人。中国本土で大ヒットした映画
私自身はトニー・レオンの大ファンです。映画館もおそらく、往年の香港映画時代からのトニーファンの中年女性客でいっぱい。トニーは北京語を話しますので、そこから違和感。
中国を舞台としたオシャレなスパイアクション映画、くらいな軽い感じで見に来られるとちょっと驚かれるかも。
延々と続く、日本兵の残酷さの描写で、これがすべて史実に基づいていると海外で思われるのはなぁ、とそこは気になります。「日本人はみな一緒」というトニー・レオンの台詞もありますし。
日章旗柄の襖や、芸者さんの所作(歩くときに足を広げすぎて素足が見える)など、日本人から見ると、突っ込みどころはたくさん。共感できる日本人は一人も登場しません。
役者はいいし、衣装協力はPRADA。ただ、日本人=悪の映画が中国本土で大ヒットしていることを知っておいた方がいいと思います。
結局、共産党のスパイ、最強、ということがオチですから。
匂いは有れど視点はドライ
今起こっている戦争を"他人事"にしない為にも観ておいた方が良い作品。但しかなり複雑なので、ある程度の予習は必須かもしれない。そんな最中に展開されるアジアンスパイノワール。そんな映画としての重厚なエンタメの側面も見事なので、肩ひじ張らずに観るのもまた良し。本土、というよりかは香港映画のニュアンスが強いので、そこまでプロパガンダフレーバーがくどくないのも好評価。お試しあれ。
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