劇場公開日 2024年1月12日

「シンゴジラにも引けを取らない良作。」ゴジラ-1.0/C ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0シンゴジラにも引けを取らない良作。

2024年1月25日
iPhoneアプリから投稿

ビジュアルと音響は満点。
まずはスクリーンで体感できて良かった。
その実在感たるや見事。
恐怖の対象としてのゴジラを堪能できました。初見がモノクロ版だったというインパクトも相まって没入できました。ストーリーは好みがはっきり分かれそうです。

ビジュアル的な所だと。
恐怖演出、スケール感の表現共に見事という他ありません。個人的な感覚としては、劇場で初めて「宇宙戦争」を見た時以来の絶望感を味わう事が出来ました。
ただし、ゴジラを生物として描こうとしているのか。怪物として描こうとしているのかは不明瞭なままでした。
ここは作品のテーマに寄せての意図的なボカシかもしれませんが、個人的にはモヤモヤが残りました。

ストーリーは良くも悪くもセカイ系というか、非常に寓話的な側面が強いです。
なので終戦直後というリアリティ重視の舞台立てや表現に反して、ごくごく個人的な感情の機微が中核になっています。
ここは上手くいっている点も、失敗している点もどちらもあるように感じました。

主人公に感情移入しやすいように主観に寄り添ってるので、展開的にはカタルシスを得やすいと思います。(この辺りは欧米でウケが良さそう)
逆に言うと主人公補正が過ぎるので、せっかくのリアルな映像すら嘘っぽく思えてしまいます。
私はこの点で後半は興醒めしてしまう部分もありました。

また、台詞回しや演出に関しても山﨑監督の良い部分と悪い部分どちらも出ています。
アルキメデスで見られたようなダイナミックかつリアリティのある演出がある一方。まるで金八先生のような、悪い意味で邦画的な過剰なセリフ回しに辟易する事もありました。

このように、良い点悪い点どちらもある作品であり、好みは割れると思います。
それでも総合的に高評価を付けざるを得ないくらいビジュアルが素晴らしいです。
賛否色々述べましたが、まずはスクリーンで鑑賞する事をオススメします。

個人的にはもっとアルキメデス寄りな、ヒロイックさを欠いたバランスだと更に好みだったと思います。
当時のドキュメンタリー映像でも見ているかのような錯覚ができるので、その点ではモノクロ版がオススメです。

ジョイ☮ JOY86式。