アイアンクローのレビュー・感想・評価
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予備知識は悪役レスラーの名「鉄の爪フォン・エリック」のみ。それがむしろ良い
子供の頃は毎週のようにテレビでプロレス中継があり、アニメ「タイガーマスク」も人気だったし、昭和のある時期まではプロレスが野球、相撲に次ぐスポーツ分野での国民的娯楽だったように思う。私自身プロレスファンではないが、鉄の爪フォン・エリックという悪役レスラーの名前は憶えていた。本作「アイアンクロー」は、そのように日本でもかつて知られていたフリッツ・フォン・エリックとその息子たちの実話に基づくドラマであり、米国プロレスのファンでもなければそんな一家に起きたことなど知る由もないし、そういった観客こそがこの尋常でない悲劇の連鎖に心が震えるほど驚かされることになる。この話がもし新人脚本家が書いたシナリオだとしたら、「そんな悲劇が家族に立て続けに起きるなんて創作が過ぎてリアリティに欠ける」などと即却下されるレベル。もちろんドキュメンタリーではなく劇映画なので、出来事の細部を少しばかり改変してドラマタイズしてはいるものの、根幹部分は実際にフリッツ家の兄弟レスラーたちに起きたことなのだ。
予備知識少なめで観て驚いてほしいので、筋にはあまり触れたくない。次男ケビン役ザック・エフロンのビルドアップされた体には目を疑い、特殊メイクのボディスーツを着ているのかと一瞬思ったほど。過去作の役で多かったスマートなイケメン好青年のイメージを覚えている人なら、エフロンの肉体改造も驚愕ポイントのひとつだろう。
家父長制や父権主義について。日本では昭和の一時期より前なら当たり前のようにあったものだが、個人の尊重や平等の意識が比較的強いイメージがある米国においても、プロスポーツ一家という事情もあってか父親フリッツと息子たちのような特殊な関係があり、それが悲劇の要因になったことにも深く考えさせられた。
“彼岸”を思わせる想像のシーンがある。それが優しくて美しくて、やるせない気持ちになった。
Get Ready to Be Sad
With no prior knowledge of the family this film chronicles, and little to no interest in wrestling in general, I was surprised that the story here proceeds into an increasingly heartbreaking all-American family tale. The father disclipines his sons to be the best in wrestling, a sport tough on the mind and body as it is. Zac Efron is unrecognizable in muscle and behind a stern quality performance.
自分の夢を子どもに押しつけてはいけない!
子どもは親を喜ばせたいと思うものだから… 夢を語るのはいいと思う。でも、選択するのは子ども自身でなければならない。「鉄の爪」はプロレスの技として、名前は知っていたけれど、その使い手のことはよく知らなかったし、その家族のことはもちろんだ。実話ベースの話ということだが、実際はもう一人息子がいるのだという。みんながみんな、プロレスに進ませるのではなく、ミュージシャンや陸上の投擲競技を続ける選択肢も残してよかったのではないか。一番罪深いのは父親で、次々に問題が起きても、我関せずで向き合おうとしなかった。兄弟で解決しろと言っていた。母親もその次に残念だ。よく家族の全体像が見えていた次男ケビンが相談しようとしても、受けつけなかった。たとえ、夫に意見するのは無理だとしても、理解していることを子どもたちに伝えることができていたら、違った結果になっていたかもしれない。とても悲しいし、悔しい。誰か、彼らを救うことはできなかったのだろうか。ケビンの家族だけが救いになっている。演じる、ザック・エフロンは肉体改造もすさまじく、一見では彼だとわからないほどだ。実際のプロレス・シーンも自分で演じたらしい。そのがんばりぶりに頭が下がる。とにかく、事実は小説より奇なりということわざがあるが、本当に圧倒される内容だった。
ザック・エフロンはいつのまに
こんなムキムキになった。格闘家兄弟の年長者だが、プロレスには華がなく、人格的にも鈍く見えてしまう。しかし、鈍くて華がない人だからこそ生き残れたとも思えてくる。実人生でも器用だったり頭の回転の早さ故に苦しんだり、とんでもない結末になったりする。鈍さでどうにか生き残る泥臭い展開がアツい。
英才教育の暴力?
プロレスには全く興味がないのですが、フリッツ・フォン・エリックの名は、その必殺技「アイアン・クロー」と共に当然知っていました。しかし、彼の家父長的押し付け教育が息子らをあんな運命に導いていた事は全く知りませんでした。
本作は、子供の頃からプロレスラーとして英才教育を受け、世界チャンピオンを目指す道を運命付けられながら、次々と悲劇に見舞われた息子たちを描いた実話に基づく物語です。プロレス・ファンの間では「エリック家の呪い」として広く知られている事なのだそうですね。
例えば、幼い頃からピアニストとして厳しい教育を受けそのまま大成する人と、次々挫折するエリック家兄弟とは何が違うのでしょう。子を観る親の眼差しや資質が異なるのでしょうか、単なる子供の個性の差なのでしょうか。絵に描いた様なスパルタ的父親であるフリッツの押し付けも愛情表現だったのでしょうか。だから、彼が、息子らの運命を最終的にどう結論づけたのかにもう少し踏み入って欲しかったです。
ちなみに劇中には、ブルーザ・ブロディやハリー・レイス、リック・フレアーなど僕でも名前は知っているレスラーが次々と登場します。往年のプロレス・ファンならば目を離せないお話ではないでしょうか。
「事実は小説より奇なり」を地で行く作品!!
小生、プロレスファンなのでフォン・エリック兄弟のプロレスでの輝かしい活躍を期待したのだが、焦点が当てられたのは”呪われた一家”と呼ばれる家族に次々と降りかかる不幸の歴史!?
フリッツ・フォン・エリック(父親)に忠誠を誓う兄弟は恐らくプロレス以外には何の関心も示さないような半ばロボットともいうべき存在か?
特に次男のケビンの忠誠心は病的とも思えるところがあるのだが・・・・・・
デビッドの死をきっかけに兄弟に次々と降りかかる災難はまさに”事実は小説より奇なり”。
こんなな不幸の連続だからこそ実話の部分がドラマチックに描かれ、作品にいい意味での求心力を齎しているように思う。
それにしてもケビン演じるザック・エフロンを初め、出演者の見事な肉体美には脱帽!
ハリー・レイスやリック・フレアといった往年のプロレスラーにはただただ歓喜!!
歪んだ親子関係が招いた悲劇だけど、最後は…
プロレス趣味はないのですが、評判がよかった作品なので、劇場で観ることができてヨカッタ。
実話に基づき、自分が成し遂げられなかった王者のベルト獲得に向けて、子供を道具のようにしか扱わない毒親により、仲のよかった兄弟が次々と不幸に襲われていくのは観ていてつらい。
しかしながら、合間に明るいエピソードもあるので、全体を通じて陰惨な映画となっていないのが救いです。
当日の観客は4人のみ…
同じく、スポーツ選手の闇を描いたアマレス実録映画「フォックスキャッチャー」にはやや劣る印象でしたが、プロレス知識は不要なので、もっと観てほしいなぁ。
伝統的価値観の変質と、親の役割、家族の絆
1980年代のプロレスを土台にした話なので、オールドプロレスファンにはたまらない作品だと思います。
試合会場等のロケーション、セット等が当時の雰囲気を忠実に再現していて、そういった部分の制作陣のこだわりには感心しました。
また、今ではレジェンドとなった当時のトップレスラーたちの再現度も高く、知識のある人ならクスっとなったり、おおっ!となったりすると思います。
ただし、ストーリーの根幹部分はプロレスそのものよりも、アメリカ、及び西欧世界の伝統的な価値観が徐々に変質していく中でもがき苦しむ登場人物たちと、親の役割とは何か、家族の絆について描いた作品だと思います。
事実を下敷きにして製作されていますが、作劇上、事実と異なる部分も多々あります。
(主にケリー・フォン・エリック周りと、登場しない5番目の弟)
また、ボカシてある部分も。(ドラッグ関係のことは、映像として出てきますが言及されません)
ですが、あくまで演出上、物語をわかりやすくするための物なので、その点では不満はありませんでした。
いわゆる伝統的なアメリカ的、西欧的考え方である「マッチョイムズ」と「キリスト教的価値観」、そして、「成人した子供を大人として扱う両親」と、「都合の良いときだけ子ども扱いしてくる両親への葛藤」、そして、それを乗り越えようとする兄弟の絆。
色々な関係性、物語性、メッセージ性が込められている作品です。
70年代、80年代へのノスタルジーを感じつつ、現在の価値観からはすでに失われてしまった伝統的な考え方、そういった物について考えさせられる作品でした。
「プロレス物」という色眼鏡を取っ払って見ても、良い作品だと思います。
フォン・エリック一家モチーフの物語
であることをちゃんと最初に断っているので、その前提は忘れちゃいかんね。
昭和のプロレス最盛期にイケメン爽やか兄弟レスラーとして人気を博したケビン&ケリー・フォン・エリックを始めとした、伝説の鉄の爪ことフリッツ・フォン・エリックと妻と、5人の息子たちの物語。
ちょっと当時の背景を。
父親のフリッツは、日本プロレス界にも度々参戦してはその必殺技アイアン・クローを武器に悪役として大人気だったアメリカマット界でも欠くことのできない存在で、一線を退いてからは興行主としても名を馳せた。
当時アメリカのプロレス界の中心とも言えるテキサスで人気選手を多数抱え、その中に自身の息子たちも含まれていた。
なので、映画に出てきたようなうらぶれた感じの会場ではなくて、もっと派手で規模の大きい興行を打っていたけど、まあ呪われたフォン・エリック一家がテーマだから、派手さを抑えた感じの演出になったのかもしれはない。
私が鮮明に記憶にあるのは息子達、特に時折来日していたケビンとケリーのフォン・エリックスがビジュアル的にもカッコよくて、父とは違って外国人レスラーとしては数少ないベビーフェイス、いわゆる善玉ポジションだった。同じく兄弟レスラーで人気だった、ザ・ファンクスも同じくベビーフェイスだった。
ここの一家はみんな不幸が付きまとうというか、実際に映画の中にあるように二人が自殺、一人が病死しており、さらに映画には出てきていない末っ子のクリスもプロレスラーとしてデビューしたものの、数年後に自殺をしているという呪われっぷり。
産まれた頃からひたすらプロレスという、スポーツでありながらショービジネスの側面もあるこの特殊な世界で生まれ育ち、外の世界をあまり知らずに父親の興行戦略の一部としてどんどんスターダムを駆け上がっていくことで、自信が追いつかなくなる部分があったのかもしれない。そう言う意味では、フォン・エリック一家ならではの呪いだっだのだろう。
物語のアウトラインはほぼ史実の通りで、彼らが華やかに活躍した部分の表現は控えめ、ケビンもケリーも紛れもないアメリカプロレスリングの中心にいた選手。そこはもう少し描いてあげても良かったように思う。
この映画の見どころの一つが、そこに敵役や仲間として出てくる懐かしいレスラー達で、本当によく頑張って似せてるなーと感心するし、ブロディやテリー・ゴディが出てきた時は懐かしさが溢れた。ハリー・レイスなんて日本ではやられ役が多かったけどアメリカでは最強の一人だったなぁとか、リック・フレアーはもう出てくるだけでムカついたなとか、当時が鮮明に思い出された。
あの頃のプロレスは分かりやすく不公平でサイコーだった。
そしてフォン・エリック兄弟、申し訳ないけどザック・エフロンが一番ハマってなかったかなぁ。デビットを演じていた役者さんの方がイメージが近い。
バキバキに鍛え上げて受け身も恐らくかなり練習したのだと思うが、ケビンというよりブルーノ・サンマルチノに近い造形になってた。
物語としてはかなりデフォルメしていたけど、フォン・エリック一家をモチーフに当時のアメリカンプロレスの熱狂が垣間見れる作品だった。
書き終わってから思い出した!父ケビンに寄り添った心優しい幼い兄弟、二人とも日本でプロレスデビューしております。
お兄ちゃんがロス、弟がマーシャル。二人とも揃って、フォン・エリックを名乗ってます…。
子育てについて考えました
屈強な肉体の持ち主であっても、彼らはそれぞれ繊細な部分を持ち合わせていて、本当はレスラー以外の資質があったのかもしれません。
父親がレスラーだったからといって子ども達が皆レスラーに向いているとは考えにくいですよね。
また父親は、自分の叶えられなかった夢を子どもを通して叶えようとしており、これはあまりよろしくないパターン。
自分の理想に当てはめるので、子ども本来の資質をあまり見ていないようでした。
子どもの観察は本当に大切だと感じましたし、救える子どももいたのではないかと、やりきれない思いがしました。
親ができることは多かっただろうと思います。特に母親の役割は重要だったはずですが、なんだか存在感のちょっと薄い母親で、残念だったのですよね…。
だからこのような結末になったのだということなのですが。
⭐︎3.0 / 5.0
4月12日(金) @映画館
アイアンクロー
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「毒親が子供を支配し不幸にする物語」としか思えず、、、😱
久しぶりの洋画でしたが、前半の方で寝てもーた😪ごめーんw
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これが実話ベースとは・・・ いい映画です
プロレスのことは、あまりわかりませんが、父親を尊敬し、父親が叶えられなかった夢を追う息子たち、その栄光と挫折の物語。それが実話ベースというのが、まず、凄いです。ですが、決して、特別な家族ではなく、大きな存在である父親中心の一昔前の典型的なアメリカのファミリーという感じがします。
次男(でいいのかな?)が、一番真剣にプロレスに取り組んできたのに、世界チャンピオンを目指す息子として、父親から指名されたのは、次男ではなく、若く才能のある弟たち。自分が選ばれなかったことへの心の葛藤と、弟たちを思う気持ち、そして弟たちの悲劇への悲しみ、傷ついた心が、すごく良く描けていると思います。
ただ、もう本当に悲劇でしかない状況で終わるのではなく、映画の最後に、家族のその後について触れられています。それを知ることが出来て、本当に良かったと思いました。いい映画です。
呪われたエリック一家
必殺技の「アイアンクロー」を武器にプロレス界で活躍した往年の名レスラー フリッツ・フォン・エリック。
彼とその4人の息子たち家族を描いた作品。
父エリックは自らの力でプロレス界でのしあがり家族を養い、
彼の4人の息子たちにも時に彼らの夢をあきらめさせプロレスの道に導いていった。
兄弟チームとしてテキサスでの興行で成功を収め、世界チャンピオンに手が届きかけた中で彼らを不幸が襲う……
実際に彼の家族に起きた事実を基にした映画で本当に「呪われた」一家と言われるのもうなずけるぐらいに不幸が襲いかかる為、物語後半は特に重苦しい展開が続く。
プロレスの為に家族を振り回す父と何よりも家族を大事に想う次男の思いが対照的で妙味がある。
悲しい話
こどもの頃、父親にアイアンクローを喰らっていたので気になって見に行きました。(父親はフリッツ・フォン・エリックが好きだったようです)
なので、その人の話だと思って見に行ったのですが、その息子さんたちの話でしたね。しかもロッキーみたいなかっこいい話でもなく…予想と違いブルーな展開でした。
悲しい泣ける話なんですが、兄弟が多いからか一つ一つの話がやや深みが足りなかったかなと思いました。決してつまらなくはないのですが話が期待と違ったのも大きいかも。
あと何気に男ばっかりの兄弟で確率すごくない?
家族のかたち
史実を知らないまま観賞。
フォン・エリック家は「呪われた一家」と呼ばれたとのことですが、確かに悲劇の連続。その根源にあるのは父親からの抑圧や男らしさの押し付けであるという描かれ方でしたが、確かに原因の一つではあるのだと思います。
一方で父親も家族や息子を想ってのことであるのは感じるし、兄弟たちも互いを思い合っていて、愛情に溢れた家族であることも事実で。
もっと違う未来があったのにと、ラストシーンは切なくなりました。
脚色されているとはいえ驚きの実話。俳優陣の役作りは皆素晴らしかったです。
マッチョイズムの美しさと苦しさ
史実を元にした映画ということで、フォン・エリック・ファミリーのwikipediaを読んでから見に行きました。物語の理解に必要なことはちゃんと映画の中で説明してくれるので不要ではありましたが、心の準備という意味では読んでおいてよかったと思います。
プロレスの試合そのものよりもフォン・エリック・ファミリーの家族のやりとりを中心に描いているので、プロレスの知識がない方でも楽しめる作品だと思います。もちろんプロレスの知識があるとより楽しる要素もいっぱいあります。
物語としては、プロレスで成功するため、家族の期待に答えるため、強い男であるため、精一杯に努力したり助け合ったりする美しさは描きつつも、様々な不運に見舞われて苦しむ中で、いわゆる男らしさ、マッチョイズムとどのように折り合いをつけるかを模索する話だと思いました。
キャストの方々の肉体美や迫力のプロレスシーンだけでも迫力がありますが、それらを期待して見に行くのは内容が暗いので見るときの気分を選ぶ作品だとは思います。
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