アイアンクローのレビュー・感想・評価
全222件中、41~60件目を表示
知らなかった悲劇
80年前後のプロレスブームに熱狂した覚えがあります。
当時既に鉄の爪アイアンクローはレジェンドレスラーで、現役の試合を観た覚えは無いです。
ブロディ、レイス、フレアーなど懐かしく思い出しましたが、エリック一家がこんな悲劇に見舞われていたとは。。
彼の世での再会が悲しくも印象的でした。
スキャンダラスさやホラーテイストに描く案を乗り越えて、家族愛と最後に呪いから解放される結末に好感が持てました。
●はじめに
アイアンクロー(鉄の爪)を得意技とし、1960~70年代に活躍したアメリカの伝説的なプロレスラー、フリッツ・フォン・エリックを父に持ち、その教えに従ってプロレスの道を選び、世界ヘビー級王者になることを宿命づけられた兄弟の実話を、次男ケビンの視点から描いた作品です。
思い返すと昭和の時代、プロレスはいかにも米国的なショーでした。強い個性を持ったマッチョな男たちが、力と技を競いあったのです。
この映画の主人公は、前途したようにプロレス一家、フォン・エリック家の男たち。闘う男たちの栄光と挫折の軌跡に、アメリカンドリームの呪縛と末路が浮かび上がります。 それと同時に、悲劇の連続の中で絆を深める一家の家族愛も描かれます。
●ストーリー
1980年初頭。「鉄の爪(アイアンクロー)」を必殺技に活躍した元AWA世界ヘビー級王者の父フリッツ(ホルト・マッキャラニー)は、引退後に自分でプロレス団体を作ります。息子たちをレスラーにして、「世界制覇」を目指していました。
早くに長男を亡くした彼は、次男のケビン(ザック・エプロン)、続いて三男デビッド(ハリス・ディキンソン)が人気を博し、米国のボイコットで五輪出場を逃した四男ケリー (ジェレミー・アレン・ホワイト)も加わって、3兄弟として売り出し、最強のプロレス一家を作り上げようとしていたのです。
父の教えはファミリーにとって絶対でした。チャンピオンになれ!そのために筋肉を鍛え、痛みを鎮痛剤で抑え、筋肉を維持するためにステロイド剤を打ち、高揚させるためにコカインを吸ったのです。
その中で、華のある弟らに人気が集中し、父の期待が自分から弟たちに移っていることにケビンは気きます。嫉妬を抑えながら健気に弟たちを支えるケビンの心の拠り所は恋人のパム(リリー・ジェームズ)だけでした。パムの妊娠を期に、二人は家族に祝福されながら結婚。そんな中、一家の念願であったNWA世界ヘビー級タイトルマッチを控えたデビッドが急死してしまいます。さらにケリーが不慮の事故に見舞われ、片足を切断。リングデビューした五男マイク(スタンリー・シモンズ)も試合中の負傷から後遺症を患ってしまうのです。
相次ぐ悲劇の連続で、世間はエリック一家を“呪われた一族”と暗に噂するようになります。兄弟のなかで唯一生き残ったケビンは、ある決断をし、父と決別。呪いから逃れた先にどんな景色が開けるのでしょうか。暗い闇の向こう側には、美しい陽光が確かに映っていたのです。
●解説
一家はアメリカの理想を体現していました。父親を中心に固く結束、息子たちは指示通りに体を鍛え、レスラーとなりチャンピオンを目指す。良妻賢母の母親、あつい信仰心。成功をつかむために努力と献身を惜しみません。
物語はケビンの目から描かれます。長男を早くに亡くし、兄弟の最年長として率先して父親の期待に応えようとするのに、弟たちに後れをとってしまうのです。不満をのみ込み黙々と努力しても、父から認められなかったのです。
ところが四男のデビッドがこれからという時に日本で客死、三男のケリーは念願のチャンピオンになった直後に事故で片足を失います。代わりに音楽家を目指していた五男マイクがリングに上がるものの、試合中のけがに苦しみ、非業な最期を遂げます。後に「フォン・エリックの呪い」と言われた不幸のつるべ打ちとなっていったのでした。
米国が求める美徳を満たし、栄光を夢見た一家がなぜ不幸になるのか。父権の幻想にすがりアメリカンドリームを追う一家は痛々しく、もの悲しさすら漂いました。そこから解放された終幕には、ようやく肩の力が抜けることでしょう。
別人と見まごうほど肉体を鍛えたエプロンに驚かされることでしょう。俳優陣がほぼスタントなしで、リング上で激しくぶつかりあいます。そんな試合場面の迫力もすさまじいのです。リング上の熱演とフィルム撮影で再現した80年代の映像を見るだけでも価値があります。
しかしカメラは、リングの裏で起きつつある恐ろしい何かを捉えようとするのです。背景にあるのは、父の夢。誰よりも強くなり、大きな成功を遂げたい。父の夢は呪いとなり、息子たちを薬漬けに追い込み、内面から破壊してしまいます。
当初はスキャンダラスさやホラーテイストに描く案もあったそうですが、フォン・エリックー家に起きた出来事を悲しみに満ちた叙事詩として描くことで、有害な男らしさを批判し、家父長制によるパワハラの醜悪さを暴く展開となりました。昨今のトレンドともいえるテーマを扱いつつ、一方で、ダーキン監督は否応なく共同体に属さざるを得なかった者たちの生を丁寧に掬い上げています。兄弟が互いにかける親密な愛情に光をあてて彼らが見つめた一瞬の煌めきを捉えたのでした。
●感想
子供の頃、よくテレビの中継を見ました。スタン・ハンセン、トリー・ファンク・ジュニアとデリー・ファンクの兄弟、ディック・マードック。そして、この映画のエリックー家。テキサス州出身で、日本でも活躍したのです。テキサスといえば腕っぷしの強い荒くれ者、男らしさの象徴でした。それは力を誇示するアメリカのイメージそのものといえます。神経質な小心者がしゃべりまくるウディ・アレンが印象的なニューヨークと対局的です。
そして、昭和のプロレスファンなら誰もがやんちゃな少年時代にまねしたアイアンクロー。本作を見ると、懐かしの必殺技が若き兄弟たちの心をむしばむ“呪縛”の象徴に思えてきました。
そんな展開に、興奮、感動し、怒りや恐怖も覚え、悲しくなりました。プロレスに明るくない人でも、感情を揺さぶられること間違いなしの、“呪われた一族”のドラマなんですね。
心理スリラー「マーサ、あるいはマージー・メイ」で知られるダーキン監督も子供の頃はプロレス狂たったそうで、前途したようにハーリー・レイスやリッタ・フレアーらが登場する1980年代プロレスの再現度の高さがすごいのです。
35ミリフィルムの陰影豊かな映像、家父長制の問題などを現代的視点で捉えたドラマも含め、まさにヘビー級の見応えです。
古い価値観の打破、苦しみへの寄り添い方。一昔前のスポーツ一家の話が、これほど現代に通ずるメッセージをはらむとは!脚本も手がけたショーン・ダーキン監督の手腕にうならされました。
呪われてると言うよりも
パストライブスを観た翌日は2日連続のA24作品で、まさかファイティング・ファミリー的な家族愛や兄弟の絆の話?かと思いきや、アイアンクローで頭押さえつけられてんのは誰かって話で…。
前半はスポ根オヤジに忠実な四兄弟のわちゃわちゃなかよし加減が楽しい分、哀しい未来が待っているのがツラい。バイクと銃とか伏線がわかりやすすぎだが、Inspired by the true storyで脚色多めにしても事実ならしょうがない。プロレスの格闘シーンはリアリティがあって楽しめたけど、パムがプロレスの微妙なところを突いてくる発言には笑った。
実質長兄ケビンのムキムキボディと顔かたちが、ザック・エフロンなんかヤバいものやってんのか?レベルの変貌ぶりですごいのだが、マッチョな肉体とは裏腹に心やさしくオクテな性格が微笑ましく、パム役リリー・ジェームズに誘ってもらってカーSEXで童貞喪失とは、担任高校教師に女を教わる俺の空・安田一平級のうらやましさだった(各論)。
凄いマッスル
事実の一部を描くのだが、どこまでをリアルに、どこに映画的な演出を付けるのか? のバランスが素晴しくてラストシーンが良い。
父親フリッツ・フォン・エリックは「プロレスラーになれ」とは言わなかったらしい。だがそれ以外の選択肢が無い位にレスリング技術を仕込んで育てて来た。母親のドリスは信仰心で子供たちを教育。
その実在した6人の息子たち。
①長男 ジャックJr:6歳で、切れた電線に触り感電して水溜りで溺死
②次男 ケビン:呪いから脱したのか御存命で子沢山
③三男デビッド:活躍したが25歳で日本のホテルで死亡、急性肝炎と報じられた
④四男 ケリー:バイクで事故後も足の完治前に試合出場して悪化した為に切断、義足を隠して対戦していた、コカインに溺れて拳銃自殺
⑤五男 マイク:高校生で肩を痛めてレスラーを断念、しかしデビッドの後釜試合事故の手術後にバクテリア増殖で後遺症が残り、その後睡眠薬過剰摂取で死亡
⑥六男 クリス:末っ子もプロレスラーに憧れてデビューしたが喘息がち、試合で
両腕骨折、骨粗鬆症に悩みその後自殺
ショーン・ダーキン監督は「これ以上の悲劇に観客は耐えれないだろう」と六男クリスは描かなかったと言う。
ラストのケビンの涙シーンが良かったが、その後リアル写真での赤ちゃんの「高い高い」が尋常じゃない高さなので引いてしまった。
プロレス一家の確執
この名の必殺技をもつ選手のことは、漫画『タイガーマスク』で得られた程度の知識しかなかった。引退後の息子たちとの確執がみごとに描かれている。母親は、夫の音楽の才能を認めながら、音楽好きの五男のマイクの夜のライブ活動を認めない専横さをもっていた。
次男のケビンが恋人に出会い、幸せを掴み、結婚披露宴でタップダンスを踊る場面は圧巻だった。
しかし、父親からはだんだん構われなくなり、興業会社の処分にも恩着せがましく指示を受ける。「次男症候群」と自嘲するほどの世話焼きが高じて、ようやく掴んだ世界タイトル戦も意味を失い、反抗心を剥き出しにして訣別でき、亡くなった兄弟たちの彼岸での邂逅を思い浮かべながら、自分の息子たちから慰めを受け、安堵の幸せを噛み締めていた。
四男のケリーがモスクワオリンピックボイコットで出場の道を断たれたためにプロレスに転身し、世界チャンピオンになった後、事故で片足切断となり、映像処理なのか、切れた状態で映り、彼岸の世界では両足を踏み締めていたので、実際に切断されていたのではないのだろう。
呪いからの脱出
プロレスは嫌いじゃないにせよ、フォン・エリック一家のことはほとんど知らなかった。『フォックスキャッチャー』のような秘話が観れるのかと思ったが充実した映画だったのは間違いない。
タイトルは栄光の代名詞ではなく呪いの意味だったんですね。どっぷり感情を引っ張ることはなく、みんなが少しつづ不吉や影を持ちながら崩壊していく小さな帝国。実話です、と言われなければ意味も意図もわからない不幸が突然やってくる。なので作劇的な緊密度というか面白さはあんまりない。ましてや何かしましたか〜という呪われる意味すらない。意味がないから名前を変えてみることしか対抗策がないし、この不幸からの解放はプロレス=父と母から離れることでしかない。最後にでてくるケリーの子だくさん一族の写真に救われる。
呪われた家族は誰の呪いだったのか。
アイアンクローという得意技でトップレスラーへ上り詰めたフリッツ・フォン・エリック。「最強のレスラーになって成功する。誰にも頼らず、自分の力で頂点に立つ」と家族を説き伏せ成功をおさめます。ここからフリッツは家族の中での絶対的な存在となります。プロレスラーの話ではありますが、この絶対的な父親ということによる洗脳されていく家族というドラマでもあります。父親は自分がなれなかったNWA世界チャンピオンを息子がなることだけが望みです。息子達の苦悩や試練の時には「お前たちの問題」として一切取り合うことはありません。母親も同じようにかかわろうとはしません。このことが息子達を苦しめ戸惑っていきます。洗脳されている息子達は父親に逆らうことなく、ただプロレスラーとして最強を目指していきます。一つの目標に向けて一心不乱に突き進むという生き方は諸刃の剣であり、挫折や閉ざされた時の気持ちの切換えや立ち直るすべを持っていないということもあります。気持ちの持ち直せなかった四男ケリー、五男マイケルは打ちのめされ自殺してしまいます。呪われた家族の原因は父親がかけた呪いではないかと思います。苦悩しつづけた次男ケビンはその父親の教えから逆らう事で晩年は家族に恵まれて幸せな老後を過ごすことになります。どこの家族でも我が家のマイルールというのがあります。それが逸脱した時にこの家族のような不幸が訪れる事を教えてくれているように思いました。
この作品の凄さは、実在の人物を演じるわけですから、役者は徹底的な肉体改造をして完璧に再現しているところです。主人公以外にも実在のレスラー、ブルーザーブロディ、リックフレアー、ハリーレイス等を完全再現しています。試合シーンもレスラーに監修を受けて迫力あるシーンとなっているところです。プロレスファンとしても納得いく出来栄えと思いました。
“呪い”の映画。
プロレスは好きなので、これは観ねばと映画館を探すも、意外とどこの劇場でも上映しているわけではないようで、周辺にある劇場での上映規模の様子や、実際に観に行った大きな劇場でも小さなスクリーンでの上映しかないことなどからやや嫌な予感がした。
ちなみに、実際に鑑賞した時間帯もあったのかもしれないが、100席あるかないかくらいのスクリーンで観賞者はわずか5名ほどしかいなかった。これはハズレか・・・?
タイトルの通り、アイアンクローという技の存在はもちろん、かつてアイアンクローを必殺技(得意技)として使っていたレスラーがいたことは知っていたけど、知識としてはその程度。
往年のプロレスファンというわけでもなく、あえて事前に情報をチェックせずに観てみた。
“呪われた一族”というだけあってどこまで脚色されているのかはわからないが、これはたしかに“呪われている”とおもってしまう内容だった。そんなことが本当に起こったのか!?と。
映画のスタートからモノクロの演出は良かったとおもう。
ただ、最初の方で一番下?の弟がお腹を下してトイレに行きたいとドアをノックしている中で、シャワーを浴びながら恐らくオ〇ニーしていたとおぼしきあのシーンは一体何を意味していたのか最後までよくわからず。
一番最初に生まれた子は原因は語られていなかったものの、幼くなして既に亡くなっていたことが判明。へぇそうだったんだといった感じ。
途中で4人目の兄弟が実家に帰ってきてそこから4人兄弟がなんだかんだあってプロレスラーとしてリングに上がるのだけれど
●長男の披露宴でトイレで嘔吐する何番目かの弟。
明らかに吐いたものがただのゲ〇ではなく血が混じったような感じに見えた。長男はそれを見て「病院に行け」というも「大丈夫たいしたことはない」と突っぱねる。フラグである。
世界ヘビー級のチャンピオンへの挑戦者の有力候補として、海外で興行をこなしていくなかで実績や名をあげるため日本に行ったのだが、そこで腸だったかが破裂して亡くなってしまう。
マイクアピールがうまい印象。今でいうWWE向きな感じ。
●音楽が好きで友達とバンドを組んだりしていた一番下の弟。
明らかに華奢な体系。
そこからトレーニングを積んだのだろうし、デビュー戦?で実況が「体が仕上がっている」的なことを言うも、「いや、どこがだよ!」というレベルの仕上がり。あそこは笑うシーンだったのか?
そういった体づくりが十分でないことも原因だったのかどうかはわからないが、試合中に放ったドロップキックの受け身をミスったのか、肩を脱臼?そのまま試合終了。
すぐに病院に運ばれて手術を受け成功はしたものの、何かの珍しい病に侵されていたようで、ここでの“明らかに障害を負った力の抜けた表情”というか演技は良かったようにおもった。
その後もリハビリをしてある程度日常生活を送れるまでになったようなのだが、心を病んでしまい何かの薬を大量摂取して家の敷地内で自〇。
●一族悲願の世界ヘビー級のチャンピオンになった何番目かの弟。
チャンピオンベルトを持って自宅に帰ってきて間もなくして酒を飲みノーヘルでバイクに乗って案の定事故を起こす。わかりやすいフラグ回収である。
そのせいで片方の足首から下を欠損。デスクワークでもない激しいプロレスという競技者でこれは選手生命が終わったも同然。ただの自業自得ではある。
しばらくは義足で激痛に耐えながら復帰を目指してトレーニングを続ける中、やがてインターコンチネンタル王者だったかな?になっていて凄い精神力だなとおもった。
ただ、もう一度世界ヘビー級チャンピオンになるんだ!との父からのプレッシャーが原因だったのか、長男に電話で「もうダメだ」的なことを言い、結局お父さんに自らがプレゼントした銃で自〇。そんな気はしていた。
実家に連れて行った彼女とも喧嘩別れでもしたのか、しれっとフェードアウト。
その後、あの世らしき世界で船を漕ぎ、行きつく先には既に亡くなった兄弟たちが彼を出迎える。そこには一番最初に生まれ幼くして亡くなった本当の長男の姿も。そして兄弟4人で抱き合う。
やっとプレッシャーや様々な悩み苦しみから解放されたかのうようにみんなが安らかな笑顔で印象的だった。
この演出は“そうあってほしい”という残された親や長男からの願いでもあったのではないかと。
個人的にこの作品が全体的にダークなので、これはあって良かった演出だともおもった。
●長男。
生まれた子供はせめてこの一族の呪いの犠牲になってほしくないというおもいからなのか、出生届?の際に苗字を別のものにし、これが功を奏したのか、精神的な部分を除いて長男自身にはこれといって大きな不幸はなく(描いていないだけ?)
肉体は圧倒的に一番仕上がっていたのだが、兄弟で生き残ったのが自分だけと一般の人々には想像すらできない絶望を味わったこともあってかレスラーを引退し父が持っていた小さな会場を受け継ぐも倒産寸前の状態で売却の話があったことや、子供たちやこれからのことを考えてお金が必要ということもあり父親に売却のことを話すも当然反対される。
が、結局売却した。あれで良かったとおもう。
最終的に奥さんは3番目の子を身ごもっている様子だった。
●その他。
父も母も兄弟同士の悩みや葛藤に対して「兄弟で話し合って解決しなさい」的なことを言い聞かせていたのだけれど、これがこの家庭の教育方針だったのか?
あまりに介入してなさすぎて親としてもうちょっと道しるべになってあげてもよかったのでは?とおもってしまったのだけれど、基本的に家族がピリピリしたようなシーンはそこまでなく、兄弟はみんな仲が良かった。
父親も厳しくスパルタ的なのを予告編で観たような気がするのだが、そこまででもないように感じた。
エンドロール後には長男のその後のちょっとしたエピソードと、WWEで殿堂入りしたこと。
そしてその後の長男の大家族の実際の集合写真も映し出されていた。
決してプロレスを観たくてみる作品ではなく、実際にプロレスの試合内容としてはチラホラと合間に入ってくるような感じで、当時のプロレスということもあってか派手な飛び技やアクロバティックな動きはない。
メインで描いているテーマではないのでこれは仕方がないとおもう。
今作のテーマは“呪い”ではないかと。
個人的にフレアーは顔が違いすぎてちょっと違和感があった。もう少し鼻の大きさとか似ている俳優はいなかったのだろうか?
あと、細かいこととしては長男を逆ナンして後に妻となる女性が登場したナイトクラブのときの身なりやヘアスタイルが「当時でこんな感じなの?今時っぽいけど?」とおもってしまい少し違和感を感じた。
もう少し古めかしい感じでよかったんじゃないかな?と。それともあの地が当時それだけオシャレの最先端的なところだったのか?
個人的には全編を通してとくに感動するとか、兄弟愛にジーンとくるとか、いわゆる泣ける作品ではなかった。もちろん笑えるようなシーンもない。
ましてやハラハラドキドキといったものもとくになかった。ただこの呪われた一族の物語を“リングサイド”から見ている、そんな作品だった。
とはいえレンタルでもう一度じっくりと見てみようかなとおもった作品でもある。
上映劇場の少なさやお客の入りの悪さなど、少なくとも当初抱えていた不安というハードルは越えてくれたかなと。
懐かしいアイアンクロー
伝説のプロレスラー家族の実話を基に描いたヒューマンドマ。鉄の爪と言われたアイアンクローは当時の日本でもかなり流行したので懐かしく感じました。兄弟が不慮の事故で次々に亡くなるという悲劇はまさに呪われた家族であり、主人公の心中を察すると痛たまれない気持ちになりました。
2024-67
真実だからこそ強い訴求力がある家族の物語、お薦めです。
その事実を知らず観て、衝撃の物語だった。
ジャイアント馬場さんやアントニオ猪木さんとも死闘を繰り返した史上に残るヒールプロレスラー、鉄の爪:フリッツ・フォン・エリック。
自身が果たせなかった世界チャンピオンの夢に6人の息子に恵まれる。
しかし、長男は感電溺死で6歳で他界、世界チャンピオン目前で3男が25歳で名古屋のホテルで心不全で急死。家族の夢、世界チャンピオンを果たした4男はバイク事故で右足首切断、33歳でピストル自殺。試合中に肩の負傷から発症した毒素性ショック症候群に悩まされ服薬自殺の5男、父の夢からレスラーとして喘息持ちで体格に恵まれずとも闘って21歳でピストル自殺。
厳格すぎる父の夢にけなげなまでに邁進する5人の兄弟愛とたった独り残った2男が築く本物の家族愛。
真実だからこそ強い訴求力がある家族の物語、お薦めです。
プロレスに全てを捧げた家族の物語
日本でもかなり愛されていたエリック一家の物語。前半はよくある子供たちの成長ストーリー。レスラーとして実力をつけ、有名になっていく過程が描かれいる。が、物語はケビンの結婚を機にこれでもか、というくらい兄弟の過酷な運命が描かれていく。本当に何かの呪いなのか、ただの負の偶然の連鎖なのか。
本作はその悲惨過ぎる兄弟たちの人生をベースにストーリーが作られているが、テーマは家族愛だろう。プロレスにかける情熱が家族の絆を強固にしている。特別に印象に残るシーンやセリフは無かったけど、プロレスに懸ける熱い想いや兄弟愛が伝わってくる。
これは決して「プロレスとは何ぞや」を伝える映画ではないけれど、随所にプロレスの裏側が描かれていて「プロレスって八百長なんでしょ」と思っている人たちにも是非観てもらいたい。
最後はアメリカ映画らしくベタな家族愛を描いたエンディングだったが、様々な苦難を乗り越えてきたケビン(ザックエフロン)の涙に、ジーンと込み上げてくるものがあった。
いい
父も母も兄も強いなあと思う。
幼少の長男の死、デビッドの急死、ここから続く自死は影響を受けてるんだろうなあと想像できる。ケビンの心中が充分伝わり悲しい。エンディングの実際のケビンで救われる気持ちになるのは良かった。
見て良かった映画。
フリッツvsジャイアント馬場の再現があったら良かったなあ。昔の映像でしか見たことありませんがアイアン・クローの痛さがものすごく伝わる絵だったと印象にあります。
男らしく生きるという幻想と…悲劇
実話に基づく、というエピグラムから始まる今作。
痛切な痛みと共に胸に迫る傑作。
家族論、ジェンダー論、家父長制、歪んだマチズモ、キリスト教..などの要素を入念にフィルムに刻み込んだプロレスラー一家の物語。
この話が現実にあったということに、まず驚かされる。
古代ギリシャ悲劇から、シェイクスピアの有名な3大悲劇などが根底に横たわる。
なぜ、ギリシャ悲劇やシェイクスピアの物語、また古代の神話などが現代にまで語り継がれ、書物が残り、映像化されるのか。現代の人間が生きる社会における、普遍性があるからだろう。
70年代、80年代のプロレス世界。アイアンクローという技で一世を風靡した父親フリッツフォンエリック。彼の息子たちもまた父親の強烈なプロレス教育によりレスラーの道に。
父の教えを純粋に純真に信じながら…。
しかし強烈なプレッシャーと共に。
息子たちを次々に襲う悲劇...
現実にこんなことがあったのか...
フリッツの息子たち6人のうち、サバイブするのは次男のケビン、弟たちは自ら命を絶ち、または病に倒れる...
次々に若い命を散らしていく。胸につまる。
人生を賭けて闘う、というのはこういうことなのか???
監督ショーンダーキンの言葉から引用するが、この物語は苦しみや悲しみの物語ではない。むしろ、悲しみの欠如、人が自分の苦しみ悲しみから目を逸らした時に、何が起こりうるかを描いている、と。
7、80年代の時代の空気、プロレスシーン、特有の気だるい雰囲気、迫真の闘争場面、俳優のすさまじい肉体...。
改めてプロレスも過酷なものだと痛烈に感じる。
ケビン演じるザックエフロン、肉体改造でプロレスラーを名
演。
監督ショーンダーキンの抑制の効いた演出。
男らしく、または女らしく…現実でも使い古されている言葉だ。
親の夢を子供に託す。
それらが、どれだけの人達を苦しめているのだろうか。
子供たちが喜びを見出せるのなら、それはいいことに違いない。
そんなことにも思いを馳せる。
プロレスに無知な私だが、プロレスに詳しい必要はない。
多くの人に観ていただきたい。
ラスト、彼岸に旅立った子供たちの描写。
胸にせまる。
次男ケビンが選んだ生き方に一筋の光明を見出す。
2024年暫定Best
不運なプロレス家族の物語とまとめてしまえばそうかもしれないが、ザックエフロンとリリージェームズの20代から40代まで演じきった2人の愛が続いていたから…最後がグッと来ました
フォン・エリック家
なんかの記念作品なのかしら?
おそらくなら米国では根強い人気を誇るのであろう。小学生の頃だったか、俺も真似した事があるアイアンクロー。握力は130kgとかの記憶がある。
リング上の華々しい経歴の裏にあんな人生があったとは驚きだった。
…それだけだ。
フォン・エリック家の足跡を辿る作品ではあるのだけれど、プロレスファン以外には需要が無さそうな作品ではある。メッセージ性があるとか教訓が散りばめてあるって手合いの作品でもなく事象を羅列したような構成で脚本的な仕掛けがあるわけではない。プロレスに今尚熱中してるのならば面白いんじゃないかと思われる。
それにつけてもザック・エフロンよ…。
レスラーの体だった。
他の役出来ないんじゃないのと思う程、レスラーの体だった。もっと試合パートとかあるのかなと思ってたのだけど抑えめで、とは言え物足りないって感もなくいい塩梅ではあった。
一度動き出せば、もうレスラーなので説得力は半端ない。髪型といい体付きといい、案外リング上では顔が見えない事も多かったのだけど、吹替とか使うと言ってもあの身体付きなので、本人としか思えず…本人でないとするなら、そのWを担った演者も相当ストイック。あの身体を作り上げたのだから。
4兄弟はもうウェイトトレーニングが趣味でなけりゃ到底務まらない。この役の為にというのならば、恐ろしい程の役者魂である。
物語的にも悲劇色が強いので、しんどいっちゃあしんどい。父親に対し「yes sir」がデフォルトなのにも驚きだ。
プロレスの殿堂に入ったらしいので、やはり自国ではHEROであり色褪せない人気があるのだろう。
実は泣いていました。
フォン・エリックはテレビで普通に見ていたし、エリック兄弟の呪われた歴史もある程度知っていた。自分の子供も息子二人のため、兄弟愛の様子をみて嗚咽。ラストシーンでも声がでそうな程感動した。しかし妻はさほど感動しなかったとの事。プロレス愛は男に強いことを実感した。
人の生き方に関して考えさせられる
アイアンクロー=鉄の爪の異名で日本でも活躍した伝説的プロレスラー、フリッツ・フォン・エリックとその息子たちの真実の物語を描いた伝記ドラマ・・・・・・・・
何とも評価と言うのかな、この家族の物語、何とも言えません。お父さんの気持ちも分るし、子供たちの気持ちも分るし・・・
人が増えれば、多ければ多い程、想いもそうだし、行き方もそうだし、喜怒哀楽も多いのは当たり前・・・・
長男には、長男の宿命があり、兄弟それぞれ・・・・兄弟が数奇な運命をたどるけど、決して呪いではないと思うな・・・・
プロレスが好きな人にとっては、少し物足りなさがあると思いますが、お話的には、少しだらだら感があるかな・・・
ちょっとダレル部分もあるんだけど、しかし、最後は、長男に同情・・・・見ているこちらも何だか、涙が込み上げてくる。
強いてい言えば、亡くなった兄弟たちの妄想みたいなシーンがあるけど、あれはちょっと・・・私的には、何とも言えないかな・・・ちょっと変な解釈・・・・誰かの言葉(台詞)で表現した方がいいのかな・・・・
しかし、プロレスって、ショーなんだけど、しかし、やっぱり、リングに立つ人にとっては命がけの仕事であり、ショーでもメインイベントに立つと言うのは、それなりの資格が存在する。
当時は、まだまだプロレスラーに人々は尊敬もあったけど、しかし、本作品で、プロレスラーの選手が、やっぱ凄いと言うのは、分かるのかな・・・・
個人的には、リックフレアーが出た時は、なんか笑ったかな・・・・
もう少しコンパクトにまとめてくれると、いい映画だったかな・・・・
全222件中、41~60件目を表示