「悲劇の一族を見届けた不器用な男の物語」アイアンクロー よしてさんの映画レビュー(感想・評価)
悲劇の一族を見届けた不器用な男の物語
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プロレスファンなのでエリック家の悲劇は知っていました。しかし、情報として受け取った話と、映画として丁寧に描かれたものでは、やはり胸に刺さる深さが違います。
個々の悲劇が起きる前のひたすら不穏な長回し。そして、悲劇そのものは直接的に描かずに何が起きたかを婉曲的に伝えることで、逆に観客に印象深く見せる演出。そして何よりリング上のパフォーマンスの素晴らしさ。
主人公のケビンは誰よりも父を尊敬し、兄弟で一番苦労し、努力してトレーニングにも励んでいました。それでいながらレスラーとしては、リング上の立ち回りの悪さやマイクパフォーマンスが上手くないことなどから、弟たちに先を越されてしまいます。
先に行った弟達が悲劇に遭う中、最後までプロレスに向き合い続け、彼だけが生き残ることができたのは、妻と子供の存在が大きかったのでしょう。
私がプロレスファンであることを差し引いても、心に残る一作であることに間違いはありません。
この呪われた一家の悲劇を丁寧に映像化したキャストやスタッフたちにひたすら感謝しています。
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