「プロレス一家が辿った驚愕の悲劇」アイアンクロー Jettさんの映画レビュー(感想・評価)
プロレス一家が辿った驚愕の悲劇
想像していたほど重苦しい雰囲気ではなく、むしろ観易かったです
プロレス界の話ではありますが、主軸は人間ドラマなのでプロレスの知識が無くても全く問題ありません、これが実話だということだけ知っておけばOKです
本作で一番印象的なのは何と言ってもザック・エフロンさん、“シュッとした超イケメン俳優”を封印し、プロレスラーとして怪物級に肉体改造、さらにザンギリ頭で70〜80年代のファッションによって“昔の実写版ハルクかっ!”って突っ込みたくなる何とも言えない風貌で“呪われた運命”に翻弄される主人公ケヴィンを熱演、その圧倒的存在感は私の中ではオスカー級でした
日本でもジャイアント馬場さんやアントニオ猪木さんと対戦したことのある実在のプロレスラー、ホルト・マッキャラニーさん演じるフリッツ・フォン・エリックと彼の家族の悲劇的で壮絶な物語がエネルギッシュに描かれます
フリッツ・フォン・エリックは息子達に対し一方的に親の夢を押し付けて軍隊並みの厳しい特訓を強いたり、陸上競技やバンドがやりたい息子をプロレスの道に引きずり込み、自分が達成できなかった世界王者タイトル獲得が人生最大の目標かの如く息子達を煽ります、息子たちは素直な良い子ばかりなので可哀想に毒親に一生懸命応えようとしますが、それが彼ら一家を最悪の結果に陥れていく驚愕のストーリー展開、凄まじいです
エリック親父の傲慢さは観ていて心から気分が悪く、こんなの言う事きかなきゃいいのにと思いますが、4人もの青年達がついて行ってしまうのが信じられない、彼らが山あり谷ありの人生にもがき苦しんでいる様が観ていてとても辛かったです
そんな息子たちを演じる役者さん達が全員すごくいいです
長男は幼少時に死んでて本筋とはほとんど関係無く、次男がザック・エフロンさん演じるケヴィン、3男デビットがハリス・ディキンソンさん、4男ケリーがジェレミー・アレン・ホワイトさん、5男マイクがスタンリー・シモンズさん
皆さん、素直で優しく兄弟想い、お互いを気遣う仲の良い元気な青年を好演しているだけに、彼らに降りかかる不幸が観ていてとても辛かったです
プラス、デヴィッドの妻パムを演じるリリー・ジェームズさんがすごく綺麗で素敵でした
ラストのデヴィッドの涙が痛々しく、胸に染みました