スオミの話をしようのレビュー・感想・評価
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「ジョハリの窓」と温かな笑い
同一人物としての女性であるはずなのに、かつてパートナーだった男性のスオミの人物像は、まったくと言っていいほど別物になる―。 やっぱり、人は、自分の意識・無意識(潜在意識)で受け止めたようにしか、他人を受け止めてはいない-他人のどの面からどれだけ強く印象を受けるかは、結局、人それぞれということなのでしょう。 アメリカの心理学者であるジョセフ・ルフトとハリ・インガムが提唱した「ジョハリの窓」とは、案外、こういうことを言うのだろうと、評論子は思います。 (むろん、心理学とか、精神医学とか。そちらの方面にはずぶの素人の評論子の印象ですけれども。) ジョハリの「4つの窓」 「開放の窓」(open self)=自分も他人も知っている自己 「秘密の窓」(hidden self)=自分だけが知っていて、他人にはまだ知られていない自己 「盲点の窓」(blind self)=他人は気づいているが自分では気づいていない自己 「未知の窓」(unknown self)=自分も他人も知らない、誰からもまだ知られていない自己 人は、自分の価値観のほか、無意識のうちに「盲点の窓」や「未知の窓」にも影響されて、相手の人となりを把握してしまうのが実際であり、本作のスオミと有縁の男性たちの「スオミ観」が違ってくるのは、そのせいなのだと、評論子は理解しました。 本作についての以上のような考察も、あながち大袈裟ではないと、評論子は受け止めます。 そして、脚本・監督の三谷幸喜という人物は、「笑い」の陰にも人間というものへの深い愛情や洞察を含む作品を作る方なのだと、評論子は思います。 『みんなのおうち』しかり、『ステキな金縛り』しかり、『ラヂオの時間』しかり、『記憶にございせん』しかり…。 加えて、三谷幸喜監督の作品での「笑い」ということなのですけれども。 三谷幸喜監督の作品での「笑い」というのは、決して人の弱点・欠点や汚点を見下したり、蔑(さげす)んで笑うという「冷たい笑い」なのではなく、人間性そのものから滲み出てくるような、ある種の「可笑しみ」「温かみ」を笑いネタにしているという点では(人間って、こんなもんだよなぁ、という)「優しい笑い」「微笑ましい笑い」の「笑い」であると、評論子は思います。 もちろん、本作も、その例外をなす作品ではないことも、また明らかと思います。 そういう意味では、本作も、いかにも三谷幸喜監督らしい佳作の一本だったと思います。 評論子は。 (追記) 女やもめに花が咲き/男やもめに蛆(うじ)が湧くとはよく言ったものです。 妻に先立たれた夫(男)の身の回りは、家事に手が回らず不潔になるが、それに比べて夫に先立たれた妻(女)は、夫の面倒を見なくてもよくなり、その分だけ身奇麗になり、周りの男性も放っておかないから、噂も立って華やかになることをいうとのことです。(出典:imidas) また、最近に読んだある本によると、夫の死後の妻の生存期間は平均で16.6年だそうですが、逆に、妻が先に亡くなった後の夫の生存期間は11.4年なのだそうです。(SBクリエイティブ刊・天野隆著「相続は怖い」2024年) 両者の差には、いろいろな要因があるとは思うのですけれども。 それでも、妻亡きあとの夫は(寂しくて)11年しか生きられないけれども、夫亡き妻は(強(したた)かに?)16年も生きると言ったら、それは、言い過ぎでしょうか。 まして、この日本という国は「日の本は/岩戸神楽の初めより/女ならでは夜の明けぬ国」とまで言われた国-。 居並ぶ男どもを、あたかも手玉に取るかのようなスオミは、そういう女性の「強(つよ)さ」「強(したた)かさ」を象徴しているように、評論子には思われてなりませんでした。 (追記) フィンランドで自国を指し示す端的な単語が、本作のモチーフ「スオミ」で、ラストの「ヘルシンキ、ヘルシンキ」の大合唱に繋がる所以のようです。 日本語には「ナオミ」「イクミ」「ヨシミ」など、それっぽい女性の名前があることにひっかけてのこのイメージングは、評論子は、三谷幸喜監督のウィットと受け止めました。 (追記) 他人のどの面からどれだけ強く印象を受けるかは、結局、人それぞれということ―。 もしそうだとすれば「勝手に決めつけて人を見てはいけない」という箴言まで含むと受け止めるのは、果たして、それは、評論子の深読みのし過ぎというものでしょうか。
茶番劇
三谷幸喜さん脚本、監督作品はほぼ全部見ています。 三谷さんが描く時代劇は結構好きです。 ミステリーコメディとつくから、古畑任三郎のようなものを期待するじゃないですか? 私が勝手に期待値上げすぎましたね。 「東京サンシャインボーイズ」の演劇の舞台だったら、面白かったのかもしれない。 吉田羊さんがスオミで、西村まさ彦さんが5番目の夫で。 長澤まさみさん変化を楽しみにしている方はどうぞ。 ごめんなさい。私的には映画館に足を運んで、スクリーンで見る映画ではなかった。
結局スオミって
ただただ面白い ストーリーがどうとか、終わり方がどうとか置いておいて ただただ面白かった いい意味で中身がない映画は初めて見た気がする 予告を見た時に知ったこの映画の第一印象は、豪華俳優勢揃い。個性あふれるキャラのごちゃごちゃ感楽しそう! でも実際に見てみると予告で感じたままの通りで(嘘はない)、それ以上でもそれ以下でもなかった 見ている時には感じなかったけど、映画終わってふと冷静に帰るとはてながいっぱい でもヘルシンキの歌は頭から1週間経った今でも離れない そういう意味では強く印象に残ってますね。(笑)
長澤まさみを観るためだけの映画
ただ終盤まで出番が少ない…。 この映画は豪華な役者が出演しているわりに何故かあまり面白くない。 なんでだろう。 ひとつは脚本だと思う。終始ごちゃごちゃし過ぎているし、おふざけも酷かった。 あと、ストーリーが舞台向きのような気がした。まあ舞台でやったとしても面白いのかは疑問だが。 結局最後の「ヘルシンキ」が一番見応えがあった。
2000円ポッチで感動とか言ってんじゃねぇ
って三谷さんに言われてる感じ 始まってなかなか面白い、逆探知の機械のくだりは声出して笑えた。 中盤、瀬戸康史演じる小磯が出来損ないのコントのようなドタバタぐらいから、雲行きが、、、 ミスリードさせたいのか、猿ぐつわされたスオミを一瞬見せ出るけど、結末はなんとなく想像し始める。 ヘルシンキでトドメを刺される。 何にも残らんなぁ。エンドロールをボーッと見る。 何か腹たってくる。 まぁ2000円ぐらいで感動とか何か得るものが、、、とか言っても仕方ないよね。 なので星5です。
さすがの三谷幸喜作品
古畑任三郎以来の三谷幸喜作品好きです。 まぁ、三谷幸喜さんらしい映画ですね。 見に来てよかった! (ボソ) 見るのが苦痛とか書いてる人は、 三谷幸喜作品を観なければいいだけの話なのです。 ♪ヘルシンキ、ヘルシンキ〜 歌って帰ります(笑) ※まだ見てない人向けに、ネタバレチェックを入れておきます
俳優陣だけは良かった
好きな俳優さんが安定したコメディをしていてくれていたのでギリギリ2時間を座っていることができました。あらかじめ特に中身を求めていなかったこともあるかもしれません。 感想は全くつまらないことはないが面白いとも言い切れず…のようは歯切れの悪いものになってしまいます。 長澤まさみさんの変化演技が少し話題のようですが、早見沙織さんみたいなものを期待していたのでまぁこんな感じかなあと。 ちなみにミステリー要素はほとんどありません。ミステリーっぽく進めていますがたいした謎解きでもなく早々に予想できてしまう結論なので、そこは製作側も重視していないと思いました。 単に脚本が厳しい。
良さがわからなかった
これは映像作品でなく舞台作品なんですかね。もしかして舞台ならもっと楽しめたんでしょうか。 1つ1つのエピソードやスオミの七変化は笑えたりはしました。長澤まさみさんを観にいくのなら良いのでは? とにかくストーリーとかミステリーとか期待するとえっえっ、となるかな。 僕の感性ではレビューが難しい作品だったですよ。
ある日、配送業者に扮した二人の男がとある豪邸を訪れた。 二人は刑事...
ある日、配送業者に扮した二人の男がとある豪邸を訪れた。 二人は刑事だ。 豪邸の主は詩人で、姿の消えた妻スオミの捜索を依頼する。 現在の夫と過去の夫達の五人がスオミが誘拐されたのではと 心配し上を下への大騒ぎ! 瀬戸康史が三枚目に振り切っているのが痛快だった。 そして遠藤憲一の体操着はどこから持ってきたのか? よく似合ってた。
五人廻し
もともと三谷幸喜氏の映画とは相性のいい方ではない。コメディーにこだわっているようだが、狙った笑いはおおむねすべっている(三谷氏が敬愛するビリー・ワイルダーはシリアス・ドラマも撮っているのだが)。 その場に不在の女性について五人の男たちがあれこれ語る枠組は古沢良太の「キサラギ」を彷彿させるし、長澤まさみがいろんなキャラクターに擬態するのは同じく「コンフィデンスマンJP」とかぶっている。何ならラストに謎のダンスシーンがおまけで付いているところまで同じ。両者を比較すると、まだ古沢良太の方に一日の長があるように思える。 誘拐云々のブラフはハナから茶番が見透かされているので、その部分のサスペンスがまったく盛り上がらない。物語の熱量が低調なまま2時間が過ぎる。 宮澤エマの役は、スオミの人物設定がぶれるので、要らなかったと思う。 あと、西島秀俊の森本レオ化が進んでいた。
舞台をひとつ見た満足感があります。 セリフや設定もとても練られてい...
舞台をひとつ見た満足感があります。 セリフや設定もとても練られていて 役者の個性も際立っていて、とても楽しめました。 最後のミュージカルも好きです。
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