「知ってる?滑っている人って、自分が滑っている事に気づいていないんだぜ?」スオミの話をしよう 病人28号さんの映画レビュー(感想・評価)
知ってる?滑っている人って、自分が滑っている事に気づいていないんだぜ?
相変わらず、映画とは関係の無い与太話から始まるけどいいですか?
嫌と言われてもやるからしばらく我慢してくれ。
自分がとある地方の小劇団に所属していた時の話しなんだけど、地方劇団にも二種類あって、オリジナルの脚本で公演をやるところと、鴻上尚史とか、キャラメルボックスとか、つかこうへいとかプロが演じた芝居を脚本使用料を作家に払って演劇をする劇団があります。
自分達で台本を書けば、脚本使用料を払わなくていいのに、頑なにプロの書いた台本で演劇をするのです。試しにオリジナルの脚本を提出してみたら、
「 私達が演じる事ができるオリジナルの脚本が無い!」
と言われちまったよ?
「 まぁ随分天狗でございますわねぇ?」
と言い返す事もできずに周りの劇団員もその通りだと頷いていた時にその劇団を退団しとけば良かったのにずるずると在籍していた。
で、次回の公演が決まって自分も好きだった作家の演目をやる事になったのだが、ここで演目を書くと誹謗中傷になって特定されてしまうのでぼやかしときます。
その演目は普通の登場人物が登場してきて、ある謎を追求していく会話劇で普通の登場人物が時々変なコトを言ったりする芝居で普通に演出すればいいものを、野田秀樹のNODAMAPの不条理演劇みたいな...、いや伝わらないな。
志茂田景樹みたいな奇抜な衣装に身を包んだ役者達が、普通に会話するところを全くを持って面白くないギャグを繰り返して間にダンスを挟んだり、ミュージカルが始まったりとオリジナル作品の原型を留めない芝居になってしまった。
映画に例えるならば、小津安二郎の静かな映画を、サンバダンサーが情熱的に演じるようなものです。
「 あなたにこの役をやってもらうから」 と演出家に言われていたが、脚本の本読みの段階で、
「 そこはもっと面白いアドリブを入れて!」と言われるのだけど、演出がOKを出したアドリブが寒くて寒くて、笑っているのが演出だけという地獄のような時間で、
「 この演劇という名の船は沈没する!」 と思い、役者は辞退して制作にまわった。
芝居の稽古中も笑っているのは、演出家だけ。制作とはいえ、劇団員なのでチケットノルマもあるし、公演日までが憂鬱で憂鬱で...。
そして、芝居が始まったのだが案の定、矢吹丈、喜劇なのに誰も笑わない客席の寒いコトといったらもう、あれを耐えられたから何か辛いコトがあってもあれよりマシだと思い人として強くなれました。
芝居が終わってから、アンケートを回収したらもう、ありとあらゆるダメ出しの嵐。まぁ、当然だわな?演出家も反省するかな?と思っていたら、演出家は
「 この芝居は地方の人間にはわからない!東京で上演すればウケる!」
と、かく語りき。
これを機にその劇団には関わらないようになったのだが、これが原因かどうかは分からないが、今現在その劇団は公演実績が無い。
さぁ、長い前置きはようやく終わるが、この映画の脚本と監督をしたのって、本当に三谷幸喜ですか?
三谷幸喜が大好きな、三谷幸喜の偽物の地方劇団員が脚本と監督をしたのじゃないよね?
「 記憶にございません!」を監督した人と同一人物とはとても思えない。
全体的につまらなくても、映画冒頭で少しでも笑いをとれれば何とか最後まで見れるんだけど、
「 遠藤憲一の7000円 」 以外の台詞は、どの台詞も予想通りの凡百な台詞で聞き流してしまいがち。
長澤まさみが外国語を喋るところも、いつもの三谷幸喜なら笑いどころなのに空回り、カランコロン。
長澤まさみに振り回される元夫達の掛け合いや、友情が芽生えるシーンも面白くなる筈なのに、何故だろう?全く笑えない。
EDロールのミュージカルシーンも本編で散々滑り倒していたから、おどけてダンスするシーンは見ていて若干イラッとした。
誰か、三谷幸喜監督に、
「 三谷監督。滑ってますよ?」
と、撮影中に言えれば...、変わったかなぁ?
面白い演劇からは、面白い映画はできるけど、台詞回しと場面展開が舞台演劇のような映画で面白い映画って、あまりないよね?昔の行定勲とか、篠原哲雄の映画がそうだったな。
この映画の見どころは、長澤まさみの七変化くらいでしょうか?長澤まさみ好きなら満足することでしょう。
もう一度確認するけど、この映画は三谷幸喜の偽物が撮ったんじゃないよね?
三谷幸喜の舞台の笑いの大学と巌流島は見た事ありますか?映画の倍面白いんですけど、あれだけ才能があるんだからナルシスト上等だと思います。そういえば、三谷幸喜が好きな映画の話しって、見た事も聞いた事もありませんね。自分は三谷幸喜作品だったら、ラジオの時間が一番好きです。
ちゆうさん、マイ映画館を見ると関東住みですよね?立川志らくが主催している劇団の芝居を見た事ありますか?弟子が芝居を手伝いに来ないので、全員降格させたというニュースがありましたが、あれはナルシストを極めた芝居で、あれよりつまらない芝居は見た事ないです。話しのネタに一度観劇する事をお勧めします。
信じて欲しいんですけど、三谷幸喜作品は大好きでギャラクシー街道以外は全部見ているんですよ?スオミに関しては、演出がNHK放送のコント番組LIFEみたいに、ベタな演出で、三谷幸喜らしくないんですよ。ムササビで空を飛ぶシーンは特に違和感があって、三谷幸喜がこんな脚本を書くか?と、思ったわけです。気を悪くされたらごめんなさい🙇♀️
この作品は何だかんだ言われても幸福感の得られる気持ちになる作品だと思うので二谷監督はそれを見込んで作り上げたと思いますだからなにも深く考えずに楽しめば不満はないです