「親子が紡ぐ世界観が良い」ぼくが生きてる、ふたつの世界 まーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
親子が紡ぐ世界観が良い
五十嵐大による自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」が原作。
母親(五十嵐明子)役の忍足亜希子の演技が良かった。
忍足亜希子自身がろう者だからということだけではなく、明子がどこにもいるような母親だったからで、子を思う母の愛が伝わってきて心に響いた。
特に終盤、スーツを買う場面や帰りの車内での会話は目頭が熱くなった。
もちろん、吉沢亮(五十嵐大)の演技も良かったのは言うまでもない。
思春期(ちょっと中学生には見えなかったけど)から青年期までの、鬱屈した心境や怠惰な日常を見事に表現。
心に葛藤を抱える青年期あるあるに共感できた。
それにしても出てくる子役がみんな吉沢亮そっくりなのには笑ってしまった。
父親(五十嵐陽介)が、明子と東京へ駆け落ちしてフルーツパーラーでパフェを食べたことを大に話しながら、東京へ行くことを勧める。
この場面は、父が息子にかける愛情がひしひしと伝わった。
父親役の今井彰人もろう者であるが、自然な父親を演じていて笑顔になれた。
祖父(でんでん)、祖母(烏丸せつこ)が一生懸命に明子を育てたことが短い場面ながらも理解できた。
コーダとしての大が、東京でろう者と交流を持つ中で様々な学びがあり、それが親への愛情に変わっていくところが、観ているこちら側の学びにつながっていった。
列車がトンネルを抜けると同時に大が操作したパソコンで映画のタイトルが出てきた演出に感動。
また、テーマソング「letters」が最後に流れ、母が子に贈る手紙の歌詞に心を揺さぶられた。
亡き母もこんな気持ちで家を出た私に対して思っていたのだろうと。
追記
「ゴールドボーイ」と同じ脚本家(港岳彦)だとはとても思えないのは私だけなのか。
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まーさんさま
『夜明けのすべて』に続いて、『ファーストキス』『正体』『ルックバック』『ぼくが生きてる、ふたつの世界』に共感、コメントもありがとうございました😃
昨年9月に公開してからずっと、どこかの劇場で上映され続けている作品です。
今月はNetflix配信とWOWOW放送も始まり、初めて『ぼくが生きてる〜』を観た方の絶賛コメントを、SNSでたくさん見かけるようになりました。
今日は特典映像とバリアフリー日本語字幕付の、円盤の発売も発表されました。
未完成のままのレビューですが、何か伝わるものがあったのなら、このまま編集しないでおこうと思っています😉