「「オレは過小評価されている!」という叫び」リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「オレは過小評価されている!」という叫び

2024年6月14日
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鑑賞方法:映画館

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1950年代にロックンロールという音楽のジャンルが確立され、多くのミュージシャンが現れ、ヒット曲を飛ばした。エルヴィス・プレスリー、チャック・ベリー、ファッツ・ドミノ、バディ・ホリー、エディ・コクラン、ビル・へイリー、…そしてリトル・リチャード。中でもエルヴィス・プレスリーは60年代、70年代に渡ってヒット曲を飛ばし"キング・オブ・ロックンロール"と呼ばれている。しかし、他のミュージシャンへの影響力を考えるとリトル・リチャードの存在は抜きん出ている。ステージの先進性、他のアーティストによるカバー曲の多さ。
60年代以降に現れ、ロックのスーパースターと言われる多くのミュージシャン達もリトル・リチャードに影響を受けている。また、その事を公言しリスペクトを明らかにしている者も多い。ポール・マッカートニー、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、オーティス・レディング(Lucilleのカバーは最高)、ジェームズ・ブラウン、デヴィッド・ボウイ、プリンス…。影響を受けていないロックやR&Bのミュージシャンはいないと言っても過言ではない。同年代に現れたエルヴィス・プレスリーもリトル・リチャードに影響を受けたことを認め、Long Tall Sally などをカバーしている(本当かどうか怪しいけど映画″エルヴィス″の中でリトル・リチャードとのやりとりが出て来る)。
たくさんのミュージシャンがリトル・リチャードの影響を受けヒット曲を飛ばし大金を稼ぎ賞を受賞する。そしてリトル・リチャードは叫ぶ、何度も何度も何度も何度も…。「オレは過小評価されている」。その気持ち、痛いほどわかる。
1997年、デビューから40年以上経って、"アメリカン・ミュージック・アワード"の功労賞を授賞し、彼はステージで涙を流す。多くのミュージシャンが笑顔で彼を祝福する。ミック・ジャガーがキース・リチャーズが…。やっと報われたんだなと。でも本当はみんなわかっていた。彼の功績を。
この映画でリトル・リチャードのたくさんの楽曲を耳にし、派手なライブパフォーマンスを目にした。その時の心の解放感、そして幸福感はどう表現したらいいのだろうか。ロックって素晴らしい。

ゆみあり