「若者に何が残せるかを考える。」ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)
若者に何が残せるかを考える。
月に8回ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好き。
専門的過ぎないライトな紹介を心掛けています。
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若さ故、大人の苦労など何も見えない17歳の若者アンガスと
長年、金持ちのバカ息子ばかり相手にしているうちに
すっかり彼らを見下すクセが身に付いてしまった中年男性ハナム先生。
表面的にはどちらもちょっと問題ありの2人に
シングルマザーで、一人息子が戦死したばかりの黒人女性メアリーと言う
社会的にも境遇的にも彼ら2人とは違う第三者が加わって過ごすことで
少しづつわかり合い、ちょっと凝り固まっていた大人も
実は問題を抱えている若者も共に成長して行く。
派手な出来事が起こる訳ではないけれど
若者にも大人にもぜひ観て欲しい映画です。
ぜひ劇場で〜〜
教師と学生の成長の映画では
「グット・ウイル・ハンティング」
「今を生きる」とか
教師では無いけれど大人が学生に
影響を与える作品として
「センス・オブ・ウーマン」とか
その手の映画を思い出しました。
ただ、この映画は、それらの以前の名作と違って
明らかに効いているのは
見事に米アカデミー賞で助演女優賞を受賞した
ダバイン・ジョイ・ランドルフさんが演じる
メアリーの存在。
映画の時代の設定が1970年代。
裕福では無い階層の黒人女性のメアリーが1人で子供を育て、
その子は優秀だったのに、大学へ進学する資金が足りず、
徴兵に応じれば帰還兵には奨学金が与えられる制度を
利用するために戦争に行き、呆気なく戦死。
名門私学の学生寮で働くメアリーの目の前で、
ロクデモ無い金持ちのバカ息子たちが
親の金やコネでホイホイ進学してゆく。
友人のホームパーティーに招かれた夜、
息子を思い号泣するメアリー。
流石にその姿は反抗的な若者のアンガスにも
学生達を斜めにしてきたハナム先生にも
世の中の理不尽さや人それぞれの苦しみ悲しみを
思いやる心が生まれてくる姿を大袈裟でなく、伝えてくる。
一見、変わり者だったり、堅物だったりしても
人は何かしらの事情を抱えており、
それ故に、そんな言動になっていることを
思いやる心の余裕がいかに大事な事か〜〜
映画の後半、ボストンの博物館で、ある展示物を前に
盛り上がるアンガスとハナム先生。
アンガスは事情があって今は会えない父親との良い思い出に
ハナム先生との楽しい会話が重なって多幸感あふれるシーン。
後の展開を思うと、このシーンの欠け替えの無さに
改めて泣けて来てしまいます。
人生の後半、私も若者に何が残せるのか、
少しづつでも考えて行きたいと思った一作でした。