「近くて遠いNASAの発射場」型破りな教室 作務衣もんさんの映画レビュー(感想・評価)
近くて遠いNASAの発射場
「先生」が敬称なのは間違いないが、呼ばれる側は偉ぶるのではなく「先に生まれただけですよ」と言うくらいがちょうど良い
私には今作の主人公がそんな姿に見えた
メキシコの薬や銃声が飛び交う町の小学校
全国学力テストの不正を教師が先導するような環境では学力も上がるわけもなく、最底辺の学校と呼ばれ続けていた
そこに赴任してくる主人公フアレス
彼の授業は初日からカリキュラムに沿わない型破りなものだった
自分で考える。調べる。実験して確かめる
そういったことを重視するフアレスの姿勢は一見素晴らしい教師のようにも思えるが、今作はそうは単純に描かない
中盤フアレスの教育理念はあるYoutube動画を基にしていると明かされるのだ
彼自身もそれが正解だとは思っていない。彼にも何が正しいのかは"分からない"
それでも今より少しでも良くするために、挑戦することから逃げてはいけないという姿勢にブレは感じられない
今作のハイライトシーンにごみ溜めの山からNASAの発射場を眺める所を上げる人は少なくないだろう
その二つは近くて遠い。しかし目に見える場所だった
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