劇場公開日 2024年2月9日

「将来に亘って何度も見るだろう不朽の名作と思う。」瞳をとじて カール@山口三さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0将来に亘って何度も見るだろう不朽の名作と思う。

2024年2月11日
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鑑賞方法:映画館

難しい

萌える

この作品は169分の長時間をゆったりとシネマを愉しむ心の余裕が必要だろう。

計算された画面構図に見事なライティングに、
静寂と音楽のバランスと画面との調和が何気に自然に流れて進む。

失踪した友人のフリオの記憶の消去と忘却の再生に奮闘するミゲル自身が再起へ進み、
それは封印した未開封の処女公演により父娘の愛憐がスクリーンに静粛に投影されたからだ…

ところで、フリオはなぜ失踪したのだろうか?

(^◇^)

瞳をとじて

「ミツバチのささやき」などで知られるスペインの巨匠ビクトル・エリセが31年ぶりに長編映画のメガホンをとり、
元映画監督と失踪した人気俳優の記憶をめぐって繰り広げられる物語を描いたヒューマンミステリー。

映画監督ミゲルがメガホンをとる映画「別れのまなざし」の撮影中に、
主演俳優フリオ・アレナスが突然の失踪を遂げた。

それから22年が過ぎたある日、ミゲルのもとに、かつての人気俳優失踪事件の謎を追うテレビ番組から出演依頼が舞い込む。
取材への協力を決めたミゲルは、親友でもあったフリオと過ごした青春時代や自らの半生を追想していく。
そして番組終了後、
フリオに似た男が海辺の施設にいるとの情報が寄せられ……。

「コンペティション」のマノロ・ソロが映画監督ミゲル、
「ロスト・ボディ」のホセ・コロナドが失踪した俳優フリオを演じ、
「ミツバチのささやき」で当時5歳にして主演を務めたアナ・トレントがフリオの娘アナ役で出演。

瞳をとじて
Cerrar los ojos
2023/スペイン

DIRECTOR'S NOTES

そういう意味で、「瞳をとじて」では
映画の2つのスタイルが交錯する。

1つは舞台と人物において幻想を創り出す
手法による、クラシックなスタイル。

もう1つは現実によって満たされた、
現代的なスタイルである。
別の言い方をするなら、
2つのタイプの物語が存在する。

一方は、伝説がシェルターから現れて、
そうだった人生でなく、
そうあるはずだった人生を描く物語。
そしてもう一方は、
記憶も未来も不確かな世界で
さまよいながら、
今まさに起こっている物語だ。

ビクトル・エリセ

カール@山口三