劇場公開日 2025年3月14日

「不可解に思うフィクションも、実は現実なのかも知れません」スイート・イースト 不思議の国のリリアン 豊島区のはずれさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5不可解に思うフィクションも、実は現実なのかも知れません

2025年3月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

知的

町山さんの解説が上映後に入るタイプを見ました。
まずは、全般的にサブタイトルでもわかるように、「鏡の国のアリス」を彷彿させる展開です。主人公がさまよう世界は、原作同様、不可解なことに巻き込まれます。不可解なことは、ネットの書き込みを信じ込んでしまい、偏った考えに固執してしまっている人とか、カジュアルに政治に関わろうとする若者とか、現在のアメリカで問題になっていることが関わっていたり、無声映画時代の作品や撮影テクニックをオマージュしていたり、主人公の名前は、その無声映画の主演女優からとっていたり、普段はふざけたことをしている人が、やたらと真面目な役で出てきたり。これ以外にもいろいろと小ネタが仕込まれているそうで、アメリカでも、それらについて事前に熟知して見ている人はいないだろうという感じ。最低限でも「鏡の国のアリス」を知っていれば、楽しめるかなと思います。
監督は、この映画で昨今のアメリカ社会を茶化しているそうですが、新政権になってからは、茶化すことすらできなくなったと嘆いていると、町山さんが教えてくれました。夢物語のようでも、実は現実なのかも知れません。
町山さん解説付きは、3月16日まで。それ以降は1000円もしますが、監督インタビューが載ったパンフレットを読めば、この映画の背景を知ることはできます。

豊島区のはずれ