ゲバルトの杜 彼は早稲田で死んだ

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ゲバルトの杜 彼は早稲田で死んだ

解説

1972年、学生運動終焉期に早稲田大学で起こった学生リンチ殺害事件をきっかけに、各党派でエスカレートしていった「内ゲバ」。これまでほとんど語られてこなかった内ゲバの真相を、池上彰、佐藤優、内田樹ら知識人の証言と、鴻上尚史演出による短編劇を織り交ぜて立体的に描くドキュメンタリー。監督は「三里塚に生きる」「きみが死んだあとで」の代島治彦。

72年11月、早稲田大学文学部キャンパスで第一文学部2年生の川口大三郎が殺害された。彼の死因は早大支配を狙う新左翼党派・革マル派(日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派)の凄惨なリンチによるものだった。第53回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した樋田毅のルポルタージュ「彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠」を原案に、殺された川口大三郎を知る当時の関係者や池上彰、佐藤優、内田樹ら知識人たちの証言パートと、これまでも学生運動をテーマにした演劇作品を数多く発表してきた鴻上尚史による短編ドラマパートにより、内ゲバの不条理と、あの時代特有の熱量、そして悔恨に迫っていく。

ドラマパートでは川口大三郎役を「ソロモンの偽証」「五億円のじんせい」の望月歩が演じている。

2024年製作/134分/日本
配給:ノンデライコ
劇場公開日:2024年5月25日

スタッフ・キャスト

監督
原案
樋田毅
プロデューサー
沢辺均
撮影
加藤孝信
整音
東凌太郎
編集
代島治彦
音楽
大友良英
音楽録音
中村茂樹
音楽制作
佐々木次彦
朗読
香川修平
半田貴大
峰岸航生
音響効果
浦川みさき
カラリスト
佐藤健
スタジオ技術
加藤詩織
タイトルデザイン
成瀬慧
字幕デザイン
遠山慎二
撮影応援
三宅流
ドラマパート監督
鴻上尚史
ドラマパート脚本
鴻上尚史
ドラマパート撮影
加藤孝信
ドラマパート照明
原由巳
ドラマパート録音
吉田憲義
ドラマパート美術
太田喜久男
ドラマパート衣装
青木茂
ドラマパートヘアメイク
藤原玲子
ドラマパート装飾
高橋光
ドラマパート編集
渡辺直樹
ドラマパート助監督
金田健
森田遼
ドラマパートアクションコーディネート
清家利一
ドラマパート操演
黒田政紀
全てのスタッフ・キャストを見る

フォトギャラリー

映画レビュー

掘っても掘っても

2024年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 1972年白昼、早稲田大学構内の一室で革マル活動家のリンチによって殺された川口大三郎さんの事件を巡るドキュメンタリーです。当時は、学生運動も様々なセクトに四分五裂し、各セクト間での暴力沙汰、いわゆる「内ゲバ」が横行していました。当時何があったのかに不案内な多くの人に、特に若い人に本作は是非観て欲しいです。と強く勧めて、その上で。

 作中、川口さんの殺害場面は鴻上尚史さんによるドラマ仕立てになっています。当日の実際の現場を映画で語れる人がいないし、当時を想像も出来ない若い人にはこんな見せ方も必要なのかもしれませんが、僕にはとても芝居じみて映りました。しかし、実際がこんなに芝居じみていたのか、作劇がうまく行かなかったのかが分からず、ドキュメンタリーの流れを滞らせる結果になりました。特に、劇パートのオーディションや劇パート撮影場面映像は不要だったのではないでしょうか。

 そして、僕の脳裏を過るのは、いつかまたこんな時代が来て暴力に晒される恐怖ではなく、正義の名のもとに自分が暴力をふるう恐怖なのです。その為には、加害者の革マル活動家の証言を是非聞きたかったです。犯行の当事者が無理なら、当時の暴力的活動家の心情でもよい。何が彼らを暴力に走らせたのかの示唆がないと自分が加害者にならない為には何を見つめればよいのかが掴めません。

 一方、本作制作のきっかけとなった樋田毅さんの著書「彼は早稲田で死んだ」は、あの時何があったのかの事実だけでなく、問題の本質に至る考察までが深く、革マル活動家との対談記事もあり、理解にとても役立ちました。「寛容は自らを守るために不寛容に対して不寛容であるべきか」(つまり、寛容な社会を目指すならば、「寛容性など押し潰せばよい」という考えにまで寛容であるべきかと言う問いです)内ゲバを考える時の本質に迫る問です。この映画をご覧になった方は是非読んで欲しい。

 それはさておき、本作関連商品である「ゲバルト手ぬぐい」は意表を突くデザインで、うれしくなって即購入しました。うむ、僕は当時学生であったとしても、やはり浮かれたノンポリだったろうな。ちなみに、僕は代島監督と同い年です。

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La Strada

4.0信じ過ぎないよう踏みとどまること

2024年8月6日
iPhoneアプリから投稿
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nanika

4.0事件の本質は内ゲバではない

2024年7月5日
iPhoneアプリから投稿

川口君事件をきっかけに早稲田で起こった混乱は、暴力で自治会を牛耳る革マルに対する一般学生の抗議運動。
セクトとセクトの対立の内ゲバではない。
50年以上の時間が過ぎたので、今の若い人には理解されにくい事件かもしれない。
再現映像を撮影する様子がインサートされるが、効果をあげているとは思えないのだが……。

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しろくま

3.0暴走する正義と関心領域

2024年6月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今話題の「関心領域」という映画。
本作で描かれている悲劇も、当時の
大人たちの「関心領域」のなかに
当人たちがいなかったということ
が要因の一つになっているのでしょう。

そしてなによりも
「正義の為なら何やってもいい」
という、今の時代にも存在する
この感覚と集団心理の行きつく
地獄を淡々と描いてくれる本作。

大義名分がある暴力の行く末
それを見て見ぬふりした行く末
背筋が凍る史実です。

過去を知りましょう。
関心を持つ領域を拡げないと
人間はまた同じことを繰り返します。

知っているようで細かく知らなかった
学生運動のお話。わかりやすく
恐怖を感じさせてくれます。

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バリカタ