劇場公開日 2024年2月9日

「「それでも生きる」美しき者に花を贈ろう」一月の声に歓びを刻め PGMNさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「それでも生きる」美しき者に花を贈ろう

2024年2月17日
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鑑賞方法:映画館

映画を見終えて心が乱され落ち着かないでいた。感想がすぐに書けなかったのは、名前のない感情が生まれ、それをうまく表現できないからだと気付かされ、やっと落ち着けた。三島監督は安直に言葉では伝えられないから、自主映画で伝えようとしたのだろうか。
無理に理解しよとせず、音、声、色、光を感じ、名を持たぬ感情と出くわすと、心がぎゅっとなるが嫌ではなく暖かみさえ覚える。映画を体験したというのがふさわしいと思う。

人は、癒えない傷、消えない記憶にとらわれて一人では動けなくなっても「それでも生きる」
心の傷を負った被害者は、被害者になってしまった自分自身や被害を防げなかった自分を自らの裁きにより罪人とし、自身に罪悪感を覚え、いつまでも自分を赦すことができないでいる「それでも生きる」
罪の意識を持った者は、自ら心や体に傷をつけ、その罰をもって自分の罪を償う「それでも生きる」
自らを罪人とし自分を赦さない者は、家族にすら理解されず孤独が深まる「それでも生きる」

自らに罰を課して、自らの罪を償ったものは全てを受け入れる「それでも生きる」
全てを受け入れて自らを解放した者は、歌を口ずさみ前に進む「それでも生きる」

「それでも生きる」者の姿は美しい。そんなあなたに花を贈ろう。そんな自分に花を贈ろう。こんな想いに触れ、名もなき感情が生まれ、心を乱されながらも、暖かみを覚えたのだと思う。

PGMN