「超クダラナイけど大好きだ!」劇場版 おいしい給食 Road to イカメシ 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
超クダラナイけど大好きだ!
前回の劇場版で初めてこの作品に触れた。コロナ騒ぎの始まりの頃だったので、公開作が少ない中で他に観る作品が無く、仕方なく観た。最初は
「なんじゃ、これ!」
的な印象だったが、観終わったら「観て良かった」に変わった。
今回は「お、これまた来たか!」と迷い無く観賞。
【物語】
1989年、冬。給食をこよなく愛する教師・甘利田幸男(市原隼人)は、北海道・函館の忍川中学校に居た。相変わらずそこでも彼は給食を日常の最大の楽しみとし、日々給食を最高においしく食べる方法に全力を注いでいた。担任するクラスの給食マニアの生徒・粒来ケン(田澤泰粋)をライバル視しながら毎日給食を堪能していた。
ところが、そんなある日給食の残食撲滅に固執し、生徒に完食させることを選挙公約に掲げ、政治利用しようとする忍川町長・等々力宗太(石黒賢)の出現により、楽しい給食の時間が壊される危機が迫る。
【感想】
今週は“関心領域”、“帰って来たあぶない刑事”、そして“おいしい給食 Road to イカメシ
”、この順番で3本観賞した。社会派、メッセージ性、シリアス度、知性、芸術性と言った尺度で言うと、観た順に高い。というか、“関心領域”だけが圧倒的に高くて、後の2本はそういった言葉には縁遠く、その低さについてはドングリの背比べだが、やはり“おいしい給食”がドン尻だろう。
が、どれだけ楽しめたかというと、そのまま逆順だった。俺の知性・感性がその程度ということだけど、当サイト等一般人の映画評点を見ると、俺だけでもないみたい。
今回も給食愛のバカバカしさ全開。
いや、給食前の校歌斉唱に合わせた甘利田の無意味なダンスに象徴されるように、バカバカしさに“全力”なのだ。
手抜きの結果おバカな作品になるのは勘弁だが、こういう全力でバカバカしさに向き合う作品は大好き。同様の作風の代表例は“飛んで埼玉”だが、あちらは全役者がバカになっているのに対して、本作は主演の市原隼人がただ一人でバカを出し切っている。
市原隼人は他の作品ではイケメン枠の役者であるのに、本作での体を張ったバカになり切りぶりには拍手、拍手しかない。
バカバカしさにプラスアルファとして今回差し込まれたエピソードは町長の政治目的の給食への介入と、甘利田自ら脚本・演出する学芸会のクラスの演劇、そして同僚女教師との恋話。 それぞれのエピソードも
「こんなのあるわけないだろ」
的な褒められたストーリー展開ではないのだが、ちょっとだけいい味を作品に付加している。これをやり過ぎると“いい話にまとめよう”感が鼻について、ウンザリするのだが、そうは思わないいい塩梅だ。
そんな、映画の賞にはかすりもしないに違いない作品だけど、なぜかエンディングでは涙が溢れて来た。予想もしない自分でも訳の分からない涙だったけど、作品制作の熱が伝わって来たのかも知れない。
誰が何と言おうと、この作品俺は好きです!
TVドラマ、過去作含めてこの作品に触れたことの無い方、騙されたと思って“食べて”みることをおススメしたい。