小学校 それは小さな社会

劇場公開日:

解説・あらすじ

日本の公立小学校に通う1年生と6年生の学校生活を春夏秋冬にわたって描いたドキュメンタリー。

4月、入学したばかりの1年生は挙手のしかたや廊下の歩きかた、掃除や給食当番など、集団生活の一員としての規律と秩序について初めて学ぶ。そんな1年生の手助けをするのは6年生で、子どもたちはわずか6年の間に自分が何者であるかという自覚を持ち、6年生にふさわしい行動をとるようになる。コロナ禍で学校行事実施の有無に悩み議論を重ねる教師たち、社会生活のマナーを学ぶ1年生、経験を重ねて次章への準備を始める6年生。3学期になると、もうすぐ2年生になる1年生は新入生のために音楽演奏をすることになる。

イギリス人の父と日本人の母を持つドキュメンタリー監督・山崎エマが、公立小学校で150日、のべ4000時間にわたる長期取材を実施。掃除や給食の配膳などを子どもたち自身がおこなう日本式教育「TOKKATSU(特活=特別活動)」の様子もふんだんに収めながら、さまざまな役割を担うことで集団生活における協調性を身につけていく子どもたちの姿を映しだす。教育大国フィンランドでは4カ月のロングランヒットを記録するなど、海外からも注目を集めた。

2023年製作/99分/G/日本・アメリカ・フィンランド・フランス合作
配給:ハピネットファントム・スタジオ
劇場公開日:2024年12月13日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
プロデューサー
エリック・ニアリ
エグゼクティブプロデューサー
安田慎
杉江亮彦
國實瑞恵
コープロデューサー
ウーティ・ロウス
リュック・マルタン=グセ
金川雄策
撮影監督
加倉井和希
特別撮影
ジョン・ドニカ
録音
岩間翼
編集
山崎エマ
共同編集
井手麻里子
鳥屋みずき
カラーリスト
佐藤文郎
ミキサー
アンドリュー・トレイシー
音楽
パイビー・タカラ
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(C)Cineric Creative/Pystymetsa/Point du Jour 2023

映画レビュー

4.5昔と変わっていなかった学校

2025年2月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

未就学児を育てる身として、これから待つ学校生活の参考になるかもと鑑賞。タブレットとリモート以外昔と変わらない学校風景に何だかホッとした。
一年生の成長、六年生の努力、先生の葛藤、それぞれの目線をまとめて見られた良作でした。先生達の声かけが鞭もあるけどあたたかい。子供が下を向きそうな時に目線を合わせ引っ張り上げてあげられるよう、親や大人として背筋を正したいと思った。
特に練習して二重跳び連続成功していた子の笑顔良かった!

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かなまんじゅう

4.0教師側の視点

2025年2月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
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しんしん

4.0諸刃の剣 協調性と同調圧力

2025年2月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

日本の小学校で行われてるTOKKATSU(特別活動)が海外で注目を集めているという。本作にも出演なされた国学院大学教授の杉田洋教授が現在エジプトで特別活動導入の指導をなされている。

本作の舞台となる塚戸小学校でもこの特別活動を通して成長する子供たち生徒と教師の姿が描かれている。
特別活動とは何のことかと思いきや何のことはない。我々がやはり小学生の時に普通にしていた教室の掃除当番やら、給食当番やら、保険係などなど、クラスの中でそれぞれ役割を決めて自分が任されたことをすることだ。その活動を通してコミュニティ内での自分の役割を認識して自分が役に立てたことに自信を持てるようになり、コミュニティにも役立つというまさに個人と集団に対して相乗効果を生み出す仕組みだ。
集団生活の中でルールを学び協調性を身につけ、そしてその集団の中で自主性を育んでいく。集団とのかかわりを通して自分は何者なのか自己確立を目指す。

この点は欧米などとは違い、向こうは先ずは自主性を芽生えさせる、自己確立を促してからルールを学ばせ協調性を身に着けさせる。主体性、協調性共に重要だがどちらに重点を置くかで子供の成長の仕方も変わってくる。
日本人は協調性を重んじるばかりに集団内での空気を読みすぎて自己主張が苦手だと言われる。逆に欧米で育つと帰国子女なんかが自己主張が強すぎて日本の学校のクラスで浮いてしまうなんてことがよくある。
確かに協調性ばかりを重んじればそれは同調圧力にもなりうる。杉田教授は講演で日本の教育は協調性を学ばせる点で海外からの評価が高いと言われるが、ルールを重んじるあまりルールからはみ出す子供が排除されてしまう危険性もあると指摘する。いわゆるいじめなどにもつながりやすいということだ。だからこそこの教育は諸刃の剣なんだということを肝に銘じてほしいと話された。
確かに海外から評価されている日本の特別活動。しかし常に時代の移り変わりを通してどう子供たちと向き合っていくべきか常に模索し続けなければならないのだという。教育者としてけして現状に甘んじていてはいけないのだという杉田氏の言葉だった。

現場の教師たちにも同じ姿勢が見られた。若い教師が何人か出てくるが、彼らはまだまだ経験が浅く日々自問自答しながら子供たち生徒と向き合っている。自分は厳しすぎやしないか、今のは怒るべきだっただろうか。常に試行錯誤を続け、けして現状に満足せず生徒を通して学んでいこうとする姿勢が見受けられる。
学校は学びの場だ。子供たち生徒だけではなく、大人たち教師にとっても。先生は読んで字のごとく先に生まれたに過ぎない。先生も生徒を通して教師たるものを学んでいく。

集団内での自分の役割を与えて集団に貢献できることを学ばせ自分が役に立てる存在だと自覚させることで子供に自尊心が生まれる。縄跳びが苦手な生徒も、楽器の練習に自信が持てなかった生徒も教師がサポートするなりして目標達成につなげて自信をつけさせる。
そうして自分は社会で役に立つ存在だと自覚させる。自分は社会の中で尊い存在なのだと。そして実際社会にも役立つ人間へと育っていく。
社会で生きていくにはとても大切なことを幼いころから学ばせるTOKKATSUが世界的に注目を浴びるはずである。

いつも行くミニシアターには珍しく子連れの観客が目立った。みな小学生くらいだ。感心したのは鑑賞中誰一人私語もせず行儀よく鑑賞していたことだ。さすがである。

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レント

3.0自本の初等教育の今と過去

2025年2月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

フィンランドをはじめ、海外で注目を浴びる日本の初等教育の実態がある程度分かる映画かもしれない。しかし、実際には、この映画を見ることで、戦後の日本の教育の現実とを比べることをお勧めする。日本の過去の小学校教育での生活面や行事での指導された状況は、映画で見られる現在とはかなり違ったととらえる人たちも多いことだろう。無言清掃・無言食事、厳格な整列訓練等々、しつけと言いながら、今では想像できないほどの厳しい決まりが多くあった。当然体罰もかなりあった。まるで軍事教練のようだという評価を下す人日本人もいたようだ。昔の欧米の教育だって全く理想的でなかったのと同じように、日本の初等教育だって理想的であったとは言いがたいことが多くあったのだ。今回の映像で見られる教育・しつけは、日本の教育の良い面を残しつつ、欧米教育の民主的で人権を重視する良い面を学んできたことの成果とも言える。今後は、欧米先進国の初等教育が、個人主義の建て前で横暴・我が儘までも認めて無茶をするようになってきたことを押さえられなくなってきた教育を考え直すいいきっかけに、この映画がなるといい。とはいえ、今や、日本の中等・高等教育のあり方が日本では問われている。欧米に遅れに遅れていることで・・・。

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sanT

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