「スカッとまでには至らずだったが面白かった。」ダム・マネー ウォール街を狙え! カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
スカッとまでには至らずだったが面白かった。
個人投資家が集団になって巨大ヘッジファンドを打ち負かした実話の映画化。
空売りの仕組みなどある程度証券取引についての知識がないと面白みは半減すると思う。
GAME STOP社の株をyoutube で個人投資家達に推奨した本作の主人公ロアリング・キティことキース・ギルは純粋に株価が過小評価されていると分析したためと言っているが(コロナ禍でゲーム関連株が上がるなど)、空売り比率が高い株式を狙い撃ちし大手ヘッジファンドの鼻を明かそうと相場を操縦した可能性は非常に高いと思ってる。
そもそも自身をアマチュア投資家と名乗りながら、実は証券業の免許を取得しているれっきとしたプロと言うこともあり、操作は意図的に行われたものだと考える方が自然だと思う。
一方で株取引アプリのロビンフッドは個人投資家たちの取引を休止させ、裏取引でヘッジファンドを救済しようとしたのも明白だが、下院金融委員の公聴会では結局誰も罪に問われずで証券取引の闇やヤバさを改めて思い知った。
終盤関係者の実際の映像が出たが、キース・ギル本人はポール・ダノよりも全然ハンサムで驚いたが、本人の方が野心を感じさせる風貌でポール・ダノの正直で人の良さげな雰囲気は全くなかったのは興味深かった。
兄弟役のピート・デビッドソンは宅配のマックを平気で食べちゃうようなろくでなしを面白く演じていたが、最後二人で全裸でトラックを走るシーンは見てる方も気持ち良くなった。
ポルシェをプレゼントって大谷の先を行ってるw。
ヘッジファンド側が公聴会に備えて事前にコンサルにシナリオや配信場所の指導を受けるのはリチャード・ギアの「キングの報酬」を思い出した。
アリの集団がゾウを倒すみたいにスカッとするが、そのままに受け取れない部分も多く、少しモヤモヤが残る内容ではあったが、総じて面白い映画だった。