「大魚に立ち向かう雑魚たち」ダム・マネー ウォール街を狙え! regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
大魚に立ち向かう雑魚たち
倒産寸前のゲーム会社の株を買って空売りし、差額で儲けようとする富裕層で構成される大手ヘッジファンドに闘いを挑んだ投資家キース・ギルの実話。「闘いを挑んだ」と書くと仰々しいが、彼に共鳴した小口の同志が一気に株を買い始めた事で大騒動になっていく。2020年9月頃から翌年2月頃までに起こった出来事を、すぐさま映画化してしまうスピーディーさには脱帽するしかない。
面白いのは、主要登場人物となる投資家達が直接顔を合わせるシーンが皆無な点。実名も素性も互いに知らぬ雑魚達が束になって大魚に立ち向かう図式は、これも一種のアメリカン・ドリームか。『マネー・ショート 華麗なる大逆転』も空売りがテーマの実話だったが、あちらよりは観やすいかも。
セス・ローゲンを筆頭とするヘッジファンド側の人間が特に悪辣に描かれているわけでもないため、勧善懲悪というカタルシスは薄いものの、ポール・ダノ演じるキースの好感度の高さの前では、全て許されてしまう。キース本人と激似ゆえにキャスティングされたのだろうけど、やっぱりイイ役者だ。
あと久々にデイン・デハーンを観たがオッサンになっててショック。『オッペンハイマー』にも出てるらしいが。
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