ゴールド・ボーイのレビュー・感想・評価
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面白かった!!!
最初からグイグイ引き込まれる。
途中、大好きな「白夜行」(綾瀬はるかのドラマ版)みたいになって泣いてしまった。
あのシーンも、このシーンも、そしてラストの道路を挟んで対峙するシーンもまんま「白夜行」ですよね。
主役の男の子が悪いことしなさそうなので余計に怖かった。
岡田将生はさすが。
脇に回った江口洋介と黒木華も。下手に脇役する俳優さんもってこなくて正解。
エンディングの幸田未來の主題歌もなんかよかった。
(ふだんは最後に入る主題歌あんまり好きじゃないのに)
とにかく予想外の展開で面白かったです!!!
犯人は分かっているのにドキドキするしずっと不気味
この作品は沖縄を舞台としていて、公式Ⅹには“美しい風景と唯一無二の文化が存在する特別な場所であり、なおかつアジアを含む世界に向けて発信する映画としてオリジナリティを生み出せる場所として沖縄を選びました”と書かれていた。沖縄というと青い空にきれいに透き通った海と美しい風景をイメージするだろう。しかし作中での沖縄は、海も町もザ・沖縄という感じなのに、ずっと空気がどんよりしているのだ。雲一つない晴れた日なのに雲にすべて覆われているように見える。沖縄だからこそ、さらにこの映画を不気味に感じられたのだろう。
そして映画の内容では、冒頭から岡田将生演じる東昇のサイコパスぶりが怖かった。少し前の「ゆとりですがなにか」とのギャップがすごく、悪人顔ではない岡田将生だからこそ、さらにサイコパス感が増した。しかし子供達の方が何倍も上だった。子供たち三人組のなかで唯一学校に通うあさひが一番まじめでまともだと思っていたのが、最終的に一番やばい人間で、段々それが分かり始めるのがゾクゾクした。まじめな顔の裏になにかがずっとあるような雰囲気があって、すごくうまいなと思った。
最後に東宅でデータを渡し、みんなでピザを食べるシーンでは、東が三人を襲うことがなんとなく予想できたのだがあさひだけが生き残るとは思わなかったので驚いた。音楽が流れ、三人ともを殺したと思い窓の外を眺める東だが、後ろを全く見ずにやり切った感が出ていたのでとても死亡フラグが立っており結局あさひに殺された。私は、それは三人の計画だと思っていたのであさひ一人の計画でさらには、キスまでした夏木も殺してしまうとは呆気にとられた。途中から浩の存在を忘れてしまっていたが。ただ最後夏木のおでこにキスをしていたのでやはりちゃんと好意はあったのだろう。ずっと三人で協力していたのに日記に自分のアリバイを作っていたことが最後に分かって、嫌悪感で少し鳥肌が立った。そしてなぜか私は途中から子供たちの方が気持ち悪くなり、東に感情移入していた。大人をなめるな!と東が言った際には、そうだぞ、分かったか!と心の中で言っていた。
この映画はとにかくどんよりそして気持ちの悪い感覚になるが、ベテラン俳優に加え、子役の子たちの(あのくらいの年の子は子役と呼ぶのか分からないが)演技がリアルすぎて惹き込まれるのでぜひ観てみて欲しい。
黄金を手にしようとした少年は、すでに手に入れていた存在によって地獄に突き落とされる
2024.3.8 イオンシネマ京都桂川
2023年の日本映画(129分、PG12)
原作は紫金陳の小説『悪童たち』
ある事件の目撃者となった少年たちが自身の生活を変えようと悪巧みをしていく様子を描いた犯罪映画
監督は金子修介
脚本は港岳彦
物語の舞台は沖縄県
島の根幹事業を担っている東コーポレーションに婿入りした昇(岡田将生)は、義父母(矢島健一&中村久美)に付き合わされて岬へとやってきた
プロポーズした場所で記念写真を撮るために訪れたが、何を思ったか、昇は二人を崖から突き落として殺してしまう
そのまま「事故が起きた」という体で演技をするものの、昇の妻・静(松井玲奈)は昇が殺したと感じていた
静はいとこの刑事・巌(江口洋介)に相談するものの、警察は事故死で片付ける方針で、彼女は「私が事故で死んだら、あいつが殺したと思って」と吐き捨てた
一方その頃、父・一平(北村一輝)の再婚相手・遥(花澄)から執拗なストーキングを受けていた朝陽(羽村仁成)の元に、小学校時代の友人・浩(前出燿志)が義理の妹・夏月(星乃あんな)を連れてやってきた
浩は夏月が義父(グレート・O・カーン)を包丁で刺してしまい、行くあてがないので尋ねてきたという
朝陽は快く彼らを迎え入れ、気分転換のために外に遊びに行くことになった
夏月がカメラ好きということで、朝陽は父からもらったお金でそれを買ってあげる
そして、岬が見えるビーチにやってきて、ここで記念写真を撮ろうという話になる
朝陽は夏月を撮ろうとしたが、間違えて動画モードで撮ってしまうのだが、その映像ヤバいものが映り込んでいたのである
映画は、この動画を警察に見せることもなく、動画をネタに昇を脅そうとする朝陽たちを描いていく
昇は婿養子だからお金は自由に使えないと言い、手元にあったわずかな金だけを与えていく
だが、それでは納得できない朝陽はさらなる要求を突きつけていくのである
と、中国の連続ドラマにもなったベストセラーを映画化したもので、中国ドラマはAmazon Primeで配信されていたりする
悪ガキたちがエスカレートしていく様子が描かれるのだが、一応は知能犯VS知能犯という様相を呈している
ツッコミどころ満載の作品ではあるが、思わぬ展開を迎えていくというストーリーテリングは面白いものがあった
パンフレットも結構凝っていて、劇中で登場する連続殺人事件を報じた新聞が織り込まれていたり、その裏面にはテレビ番組欄まで載っていたりする
アプリをダウンロードすればさらなる仕掛けも施されているようで、映画を気に入った人なら、少々値が張ったとしても、購入しても良いのではないだろうか
いずれにせよ、13歳の犯罪に問われない時期を逆手に取った犯罪映画で、サイコパスVSサイコパスを楽しむ映画のように思える
悪人は悪人らしい顛末を迎えるのだが、それらも含めてシナリオが凝ったものになっていた
まともな人が朝陽の母・香(黒木華)しかいないように見えるのも凄いのだが、この母親も結構キテる人なので、泥まみれの展開からの爽快なエンディングになっているのは奇跡的のようにも思えた
(プレミアム公開の類はすべてネタバレ扱い)持っていく知識が多種多様に過ぎる
今年74本目(合計1,166本目/今月(2024年2月度)27本目)。
(ひとつ前の作品「獣手」、次の作品「マダム・ウェブ」)
まず本作は、本日(2/20)にプレミアム公開としていくつかの映画館で公開されていたもので、公開まで2週間以上あることからいくつかのネタバレ制限がかかっているため、これらには一切触れない方向です。
原作作品をもとにしているため、それを超えることはできない状況です。
とはいえ、この作品、極端にマニアックな方向に飛ぶのが非常に厳しく、それがまさに数学という特殊な分野であることに加え、法律系資格持ちが見るとヘンテコな描写の連続なのが厳しく、どういう層を想定しているのか本当に謎です。
ミステリーものという扱いではそれほど傷はないし、舞台となる沖縄の貧困問題ほか、沖縄特有の事情に触れたこと自体は理解しうるものの、本当に「いきなり数学ネタを持ち出す」あたりに何の意味があるのかが不明で(最後まで見ましたがエンディングロールで「数学監修」などの表示がない)、ここも本当に学部以上の知識が必要でかなり厳しいです。
ただ、ごく一部に登場する数学ネタ(なお、数学ネタ自体はトリックに関係しない。これさえ関係すると採点拒否レベル)以外はほぼミステリーものと解して構わないと思います。
内容に関しては上記のようにプレミアム先行上映という特殊な事情でもありますのであまり書かないほうが良いのでしょう。あえて持っていく知識をあげれば「民法、刑法、少年法、行政法総論、数学(解析)」という本当に誰得なのか…といったところです。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.3/数学ネタ全般に関して)
このことは、映画内で言われる数学オリンピックで扱われる事項では「なく」(数学オリンピックでは微積分は範囲から除外されている)、かつ、この話は「アスコリ・アルツェラの定理」が裏に隠れています。
ある関数f(x)とその導関数(微分した関数)f'(x)の関係が与えられているとき、もとの関数の関係を「常微分方程式」といい、その関数f(x)を求めることを「常微分方程式の解(論)」といいます。この微分方程式は、その関数が「存在するか」「存在するとして一意か」ということは大学以上のきわめてマニアックな話で上記の定理を必要とします(存在、一意性につき)。
※ 複数変数の微分方程式論は「偏微分方程式」、ある関数とその積分関数の関係を求めるものを「積分方程式論」といいます(広い意味で関数解析学の一分野)。ただ、映画内で述べられる「アスコリ・アルツェラの定理」まで把握している人は極めてマニアックではなかろうかと思います(学部、大学院で解析を専攻にした方はともかく、そうでない方は知っている範囲にとどまる)。
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※ かつ、映画内で当該人物が解いているものは、「初期値問題」というものですが(たとえば、関数f(x)に対して、f(0)=1 というように示される)、それを解いて「おしまい」なのであれば、当該人物がいう「微分方程式の解の存在と一意性に興味がある」とは言えません。なぜなら、例えば、中学でも習う2次方程式は重複も含めて2個の解を持ちますが(n次方程式は重複も含めてn個の解をもつ。代数学の基本定理)、「解を求めておしまい」であれば「一意性が担保されない」からです(求めた解以外の解があることの証明ができない)。
この点、本質論はアスコリ・アルツェラの定理なのですが、数学ネタを「一応入れた」という中途半端な状態であるためにヘンテコな状態になっており、何がなんだか混乱します(なお、微分方程式「自体」は高校数学でもギリギリ扱えるため大学入試にも出されますが、解の一意性まで議論する必要はない、とされるのが普通です(これを議論させると、結局同定理を必要とするため))。
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(減点0.2/いろいろと法律に関する解釈が不足している/93、94、95、96、110、177、697、703、708、709) ※ ネタバレ回避のため条文番号のみで記述。すべて民法
これらの解釈がいろいろと変なため、資格持ちは何を言っているのか不明で大混乱をきたします。
(減点0.1/民法860条の3に対する解釈不足によりストーリーの展開がヘンテコ) ※ ネタバレ回避のため条文番号のみで記載
民法860条の3は、映画内で描かれるような範囲では適用がありません(いろいろと解釈がおかしくなる)。
※ 860条の3は比較的最近の条文で、明確に準用規定から排除されています。
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…というか、「大学で数学を学習し、かつ法律系資格の知識まで要求する」というのは本当にやめて欲しいです…(どういう層を想定しているのかが不明すぎる)。
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