「夏休みの日記」ゴールド・ボーイ レントさんの映画レビュー(感想・評価)
夏休みの日記
朝陽と昇、算数オリンピックの結果で二人の勝敗はすでに決まっていた。あとはその決着をどう見せるか。
いきなり断崖絶壁からのオープニング、火曜サスペンス劇場か。思ったとおり岡田君演じる昇が老夫婦を突き落とし、目撃者よろしく白々しい芝居を演じてます。わざと下手に演じてるのかな。だが犯行の瞬間を運悪く中二の朝陽たちが録画しており、そこから両者の駆け引き合戦が始まる。
サスペンスものでは一番それらしくない人間が黒幕だったりするから、朝陽が最終勝利するのは察しが付く。あとはそのプロセスをどう見せるか。
刑事が浩の家に行き、そこで浩の父親が朝陽は危険な人間だと言うシーンがある。あれは昇と朝陽の決着がつく直前に入れてほしかった。朝陽が毒殺され敗北したと見せかけてあのシーンを入れて、その直後に朝陽の形勢逆転という流れにすればより効果的だったと思う。
あとラストは蛇足だった。母親が夏月の手紙を読んだところで終わっておけば。あそこまで結末を描いては作品全体が安っぽくなる。映画なら観客の想像が入る余地を残すためにも宙ぶらりんで終わっとくべきだった。なんかテレビドラマっぽい仕上がりになってしまったな。もとはドラマらしいので納得だけど。
朝陽は両親に対してあきの死について平気で噓をつくような子なので一番やばい奴だとわかってた。だから彼の本性がわかる終盤には驚きはなかった。正直、ストーリーテリングはうまいとは言えない。
あとわざわざ沖縄に舞台設定した理由も最後まで分からなかった。沖縄独特の基地問題とか絡んで来れば見ごたえあったかも。それと真夏の沖縄が舞台な割になぜか沖縄のあの暑さが全く伝わってこない。じっとしてるだけでもシャツは汗でびっしょりのはずなのに。中国の原作が日本風にブラッシュアップされた作品とはいいがたいかも。
主演の羽村君は良かった。いい意味で泥臭いし、イノセンスというか純朴というか、でも本作ではわかりやす過ぎだけどね。岡田君も今回は見事なアンダードッグぶりでした。
手紙を読む母親、からの包丁を手に取る朝陽(手元のみ)、なんて終わり方の方が好みです。
沖縄という舞台は、中学生にとってはより逃げ場のない雰囲気が出て自分は好きでした。