「【”一つの心臓の重みと、命の継承。”緻密な脚本に基づく、3人の名優を軸にした3組の家族の連関性を時系列をシャッフルした構成で描き出した作品。見応えのある、重厚なヒューマンドラマでもある。】」21グラム NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”一つの心臓の重みと、命の継承。”緻密な脚本に基づく、3人の名優を軸にした3組の家族の連関性を時系列をシャッフルした構成で描き出した作品。見応えのある、重厚なヒューマンドラマでもある。】
<Caution! 内容に触れています。>
1.若き頃の薬物依存を克服し、夫マイケルと二人の幼き娘と幸せな生活を送っているクリスティーナ(ナオミ・ワッツ)。
2.過去に何度も刑務所に送られながらも、信仰に生きがいを見出している前科者のジャック(ベネチオ・デル・トロ)。彼は今や妻(メリッサ・レオ)と一男一女と共に幸せな生活を送っている。
3.心臓移植手術を受けないと1カ月の命という大学教授のボール(ショーン・ペン)。彼は妻メアリー(シャルロット・ゲーンズブール)とは別居している。
■決して出会うはずのない3組の夫婦が、ジャックが惹き起こした轢き逃げ交通事故をきっかけに結び付き、運命の歯車が動きだす。
◆感想
・人生に対して絶望していた女性クリスティーナ(ナオミ・ワッツ)が自身の努力により,ようやくつかんだ、幸福。
ー だが、それはジャックの交通事故により、一瞬にして崩壊する。-
・生き甲斐を失っていた男、ジャック(ベネチオ・デル・トロ)。だが、彼は神の教えにすがる事で、今は妻と幼き一男一女と共に幸せな生活を送っている。
ー だが、自身が犯した事故により、その幸せな生活は崩壊する。-
・心臓移植手術を受けないと1カ月の命という大学教授のボール(ショーン・ペン)は、心臓に大いなる病を抱え、妻との関係性も崩壊しつつある。
■この、2つの幸せな生活を送っていた家族と、不幸せな夫婦関係を送っていた男が、一つの交通事故により、幸福が一瞬にして逆転する。
・ボールはクリスティーナの夫の心臓移植を受け、一時的に健康体になる。だが、彼は”自分に心臓を提供してくれたのは誰なのか”を探偵に探らせるうちに、クリスティーナの存在を知り、彼女の哀しみを目にする中で、彼女に対し”こんな気持ちになったのは、初めてだ”と告げる程、彼女に肩入れして行く。
ー ポールとクリスティーナが、結びついていく・・。-
・一方、ジャックは自首し、収監されるも、仮釈放される。だが、彼は自分が犯した過ちが許せずに、家には戻らず、モーテルを転々とする。そこに、クリスティーナの意を汲んだポールが現れる。
ー ポールとクリスティーナとジャックが結びついていく。-
<今作は、過去の過ちを克服した2つの家族の絆を、一つの事故が一瞬にして切り裂く苛烈な現実と、それにより起こる、命の伝承の尊さを描いた作品である。
ポールが、ジャックに対し拳銃を向け撃つも、彼をワザと外して撃つシーンと、それに納得出来ずに、ジャックが、ポールとクリスティーナが滞在するモーテルを訪れた時に、ポールが自らの胸を撃ち抜くシーン。
ココの解釈は色々と考えられるが、私はポールは、移植された心臓が不適合であった事実を知り、ジャックとその一家及び、自らの子を宿したクリスティーナの事を考えて、自ら命を断とうとしたのではないかと思った。
見応えのある、重厚なヒューマンドラマであると思う。>