劇場公開日 2004年6月5日

21グラム : 映画評論・批評

2004年5月15日更新

2004年6月5日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にてロードショー

鬼気迫る演技が世界を作り上げていく

イニャリトゥ監督の新作「21グラム」では、前作「アモーレス・ペロス」以上にドラマと時間が寸断され、すぐに脈絡は見えないものの、様々な意味で緊張をはらむ状況が組み上げられていく。これは、物語の流れではなく、俳優たちの鬼気迫る演技が、ひとつの世界を作り上げていく映画だといってもよいだろう。

その世界には、ショーン・ペンが監督として追及してきた罪と罰をめぐる厳しい葛藤がある。彼が演じるポールは、心臓移植をきっかけとして、復讐と命の重さの狭間で壮絶な葛藤を強いられ、彼の監督作とは異なるもうひとつの答えにたどり着く。「プレッジ」や「ハンテッド」などで内面の演技に凄みが出てきたデル・トロは、内なる牢獄に囚われた男ジャックの心理に肉迫する。ナオミ・ワッツは、激しく揺れ動く不安定な感情を通して、クリスティーナの絶望を浮き彫りにしていく。

但し、編集には引っかかるものがある。脈絡とともに露になってくる人物の生々しいエモーションまで寸断してしまうことには疑問を感じる。何よりもエモーションにこだわりつづけたジョン・カサベテスは、いつも編集を呪っていた。編集によって多くのエモーションが失われることを知っていたからだ。

(大場正明)

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