52ヘルツのクジラたちのレビュー・感想・評価
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孤独に彷徨うクジラたちが出会うとき
原作を読んだ状態で鑑賞。
小説ではキナコには同情をするが、恩人のアンさんへの後悔の念があまりないと感じてキナコ側に感情移入上手くできなくてあまり感動できなかった。
しかし本作では主人公を演じる杉咲花が見事にキナコの感情を表現してくれたおかげで、とにかく感動できた。
アンはキナコの幸せをただ祈ってたから謝る必要なんてないんだよなぁと映画を観てちゃんと理解できた。
志尊淳も穏やかな表情の中に慈しみと悲しみを見事に表現していた気がする。てか綺麗すぎ!
原作と違う箇所があって映画の方が感動しまくりで涙が止まらなかった。ただ、原作の方が終盤感動に加えて痛快感もあったから、原作も読んでほしい!
見終わったあとの余韻がすごい
この映画では、ヤングケアラーや虐待、DV、性的マイノリティーなど今問題となっている事がリアルに描かれていて場面によっては目を覆いたくなる場面もあるかもしれないが、それも含めしっかり届けようとしているのが分かる。見てよかったと思った。
役者の迫力も凄まじく、登場人物をしっかりと演じていてストーリーにより引き込まれた。
もう一度みたいな!
声なき声を聴くとは?
本屋大賞は、自分のなかでは、数ある文芸賞の中でもその評価の納得性が高い賞。この作品も知っていたが、重いテーマを扱っているらしいということで、読むことを避けていた。感動した小説の映画化作品を観てガッカリした経験が何度もあるので、映画を先に、と決心して観た次第(2024年映画館鑑賞8作目)。
虐待、育児放棄、介護、トランスジェンダー、DV、自傷行為・・・。現代的な重い問題の数々が2時間ちょっとの時間に盛り込まれている。しかし、それほど重苦しく感じないのは、個々の問題を深く掘り下げていないというだけではなく、こうした問題を扱うニュースに慣れてしまって感度が鈍くなっているせいなのか。もはや、私自身も(恐らく大多数の日本人も)当事者達の叫び声を「聴きとる耳」を持っていないのかもしれない。
貴瑚(杉咲花)の「声」を聴き、救った安吾(志尊淳)。ムシ(愛)(桑名桃李)の「声」を聴きたいと言った貴瑚。それぞれ傷を抱えた者どうしだから、その姿を見て、わかり合いたい、救いたいと思ったのだろうか?
傷ついた者同士しか、声なき声を聴くことはできないのか?そんなことを考えてしまった。
杉咲花の演技はさすがで、表情と眼に引き込まれ、彼女が泣くと涙腺が緩む。この難しいテーマの映画を最後まで破綻なく支えているのは、紛れもなく、彼女の演技力だと思う。
原作小説を読んでみよう。
障がいやなか
うーん思っていた以上に感情が動かず…なんだろう…
杉咲花さんは「市子」に続き、代表作になるのではという好演、熱演でした。以前はキャンキャンうるさい印象しかなかったですが、完全に主演女優の雰囲気、佇まいになりましたね(すいません上から目線で(~_~;))
説明過多のセリフ回し、男性陣の叫びのシーンがちょっと…
それにしてもこの世の中には52ヘルツのクジラの声は溢れている。その声はまだまだ届いていない。社会の仕組みが世間の関心が、意識がまだまだ届いていない。ヤングケアラー、介護、ネグレクト、虐待、シングルマザー、DV、トランスジェンダーなどなどこの作品でも描かれている社会問題はこれからもっともっと深刻化していくことがだろう。そしてまた新たな問題も…社会を一変なさせることは難しい。でも少しずつでも意識を関心を高めていくことはできるのではないだろう。そう言った意味では多くの方に観てほしいですね。
④ F-8
魂のつがいを求めて
『2021年本屋大賞』を受賞した町田そのこの原作は、発売当時に既読。これを、人間味漂う作品を得意とする成島出監督が、感情移入できる演出で見事に映画化。トランス・ジェンダー問題や育児放棄からの児童虐待などの社会問題をテーマに、生への渇望を描いたヒューマン・ドラマとして、心を揺り動かされる作品。
毒親から虐待を受けた子供達が、頻繁にメディアで取り上げられるが、仕事柄、そうした子供達を児童相談所と連携して、保護してもらったこともある。虐待に耐え忍んで生きてきた子供達は、マインドコントロールによって、自己肯定感が劣化し、人を信頼することができなくなっている。そんな境遇の中にあった主人公・貴湖と、今まさに親から見捨てられた少年・通称52との心の支え合いが、胸に痛く染み渡る。
また一方で、生まれながらのトランスジェンダーによるマイノリティーとしての苦悩や葛藤の中で、愛する人を大切にするというのは、どんなことなのかも訴えかけてくる。
本作はそうした弱者にスポットライトを当て、声なき叫びを『52ヘルツのクジラ』に擬えて、生々しく描いている。その一方で、その声を聞き届け、地獄から這い上がるために、手を差し伸べてくれる人もいるが、日常を当たり前に生きている私達には、容易に聞き届けることはできない声なのかもしれない。
母親の再婚によって、親の愛情を受けることなく虐待され続け、大人になっても義父の介護で人生を棒に振ってきた貴湖。そんな中で、貴湖に手を差し伸べ、ようやくその呪縛から逃れさせてくれた安吾。貴湖は、次第に安吾に魅かれていくが、安吾は貴湖の気持ちを受け入れようとはしない。そんな時に貴湖が務める会社の御曹司が、貴湖の前現れ、恋に落ちるのだが…。
全編、暗いムードが漂い、社会の底辺を這いずりながらの展開に、心も沈んでいくのだが、最後に僅かな光明が差し込み、次への第一歩を後押ししてくれる、町田そのこらしさが溢れた作品となっている。
いつかみんなに聞こえる声になればいいな
本屋大賞を受賞した作品が原作だけあってストーリーもしっかりしていて、また花ちゃんを始めとした演者さんの表現力も素晴らしく、とても良い作品だと思います。それが故に辛く悲しい展開に戸惑ってしまったのも又事実です。人はそれぞれ、決して自分が原因では無い事でも、育った環境や生まれ持ったもので生き方が変わってしまうもの。辛い思いでも、みんなに理解してもらえる訳でもない。いや、そんな声さえ届いていない。そこへ追い込んでしまうのも人であれば、そこから救い出そうとするのも又人。目の前の映像を見ながら切なさが込み上げました。ラストで倍賞美津子さんが出てきたあたりから、明日への希望が見えて来たので救われました。あと一つ、キコに親友美晴がいて良かったのでした。
どんなに傷つき合っても、人は人を求める
映画館告知結構やっていて興味が出たので珍しく映画見る前に原作を読みました
まずタイトルがいいなと思った
クジラも人間と同じ社会的な生物でコミュニケーションを通じて群れを形成し、協力して生活している。だから孤独は自然な状態ではない その中で異なる周波数で声を上げ続けるクジラは何を求めているのか・・・
ヤングケアラー 介護 ネグレクト LGBTなど現代の社会問題となるものを結構入れ込んできますが、その問題に対する向き合い方というのがモヤるかも・・
入れ込み過ぎと思うがストーリー上仕方ないか
全体的に原作読んでないと分かりづらいのでは?と思ってしまった
原作読んだから説明薄くてもまぁ理解できたので自分は満足しましたが…
キナコが引っ越してきた辺りの町の描写無かったし…
これは今どの時間軸の話なんだろうって少し思ったりしました
ただ最後アンさんに話しかけるシーン感動したなぁ🥹
Saucy Dogの曲凄い良かったです
主役二人が良かったなぁ
杉咲花さんは最近ずっと難しい役ばっかりなのに演じきって凄いと思います
殆ど辛い場面だけど居酒屋で笑顔になるシーンは際立って良かったです😀
志尊淳くんは中性的な感じだからのキャスティングかー?と思いましたが優しい語りがアンさんとあってたと思います
内に秘める苦しさも悲しさもいい感じで現れたと思います
宮沢氷魚くんと西野七瀬さんはイヤーな奴の役をしっかり演じてたと思います🫰
最初の方で優しい麦茶出てきていやーな予感しましたが案の定…
気になるからあんまり露骨に出してほしくないです…最後のワイワイシーンでカメラ目線のなっちゃんで感動も薄れたわ…
人と人とは永遠にわかり合えない
だが人は、人無しでは生きていけない
どんなに傷つき合っても、人は人を求める
それを苦しみと言うのなら、だれもが苦しんでる
苦しみの中で、必死にもがき続けている
子供はペットや無いんやで
不覚にも涙腺崩壊
胸が痛くなったがいい映画だったとは思う
予告編の印象では主題歌の希望ある感じの曲調もあるため、きなこが安さんに出会い、救われて成長する希望の物語と感じていた。実際、一部それはそうではあったのだが本編の大半は胸が痛むような暗く重いシーンが多く続きます。
きなこの現在から始まり愛との出会い、そこからの過去の回想、安さんとの出会い、新しい人生を始め、歩んでいく中でまた悲しい出来事が起きてしまう。そこからたどり着いた今の生活で愛とまた新たな人生を始めていく物語です。
ここからは各役者の個人的な演技の印象を。
昨年の「法廷遊戯」でテレビドラマでは見たことがない役柄での演技に衝撃を受けた杉咲花さんは今回も回想シーンから現在に至るまでのさまざまな、その時代のきなこをしっかり演じてきっていてやっぱりすごいなーと思いました。
きなこが自死しようとするシーンは法廷遊戯の北村匠海との杉咲花の終盤のシーンと被りましたw
志尊くんもさわやかイケメンの印象が今までありましたが優しく温かい安さんの演技がすごくよかった。自分の勝手な思いになりますが安さんにはやっぱり生きていてほしかった。安さんのお母さんと同じ思いです。安さんときなこが性別や体がどうであれ共に生きていってほしかったなとすごく思ってしまいました。
宮沢氷魚さんは初めて見る方でしたが、最初からの胡散臭さと嫉妬DV男の演技が見ていて本当に憎たらしくなるほどで、かなりハマり役だったと思います。
同様に西野七瀬さんの虐待シングルマザー役もだいぶハマり役でしたね。1月公開だった「ある閉ざされた山荘」でも感じましたが彼女は昔に比べると演技がだいぶ上手くなったように思います。
真飛聖さんの虐待母役は現在放送中の某ドラマでも似たような役柄でしたが先週見た「マッチング」ではクールな女刑事を演じてたり、幅広く演じていてその演技力も特に今回の冒頭の診察室での狂いっぷりは凄かったですね。
小野花梨さんはとにかく可愛いくて明るくてよかった!大好きです!こんな彼女がほしいw
余貴美子さんや倍賞美津子さんは存在がさすがの大女優って感じで安定の演技力でした。
最後に内容として気になった点を。
作中には度々あからさまにサントリー商品が出まくるのが気になりました。
私もまんまとそれにハマり帰りにプレモルを買ってしまいましたw
あとはきなこのお母さんと義父についてはどうなったのか、あのシーンだけで絶縁したということなのだろうか。自分が福祉職をやってるため義父の介護はどのように繋いだのか気になっちゃいました。
ま、そんなこんなでいろいろ書きましたが本当に2時間ちょっとあっという間で「え、もう終わっちゃうの?もっと見たい!」って感じで見終えたので自分としてはなかなかいい映画だったかと思います。
52ヘルツのクジラ同士は互いの歌が聴こえるのか…、と考えてしまう一作
同名小説を未読のまま鑑賞した観客による感想です。『市子』(2023)で素晴らしい、というかすさまじい演技を見せた杉咲花が、本作でも圧倒的な存在感を放っています。
登場人物の心情を反映したような映像が強く印象に残ります。暗く沈んだ心を表すような、青味の強い映像、あるいは夜明け前の鮮やかな空を背景に、シルエットで浮かび上がる登場人物など、一つ一つの映像が入念な計算と意図に基づいていることが画面から伝わってきます。かつてのテレンス・マリックや、最近のトレイ・エドワード・シュルツを連想するような画調ですね。
作中に明らかになる様々な事実は、それ自体物語を解き明かすうえで重要な意味を持っているため、ここで内容について具体的に触れる訳にはいかないのですが、冒頭で登場人物の一人が語っているように、「家族」そのものが苦しみの要因となっている人々の物語、ということはできると思います。
その縛りを解き放とうともがく姿、あるいは逃れようにもどうすることもできず苦しむ彼らの心を代弁するのが、「52ヘルツで歌うクジラ」です。52ヘルツの歌を歌うクジラは孤独かもしれないが、同じ波長で歌う者同士は互いの存在を分かり合えるかもしれない、そんな希望も垣間見ることができました。
結末にはある種の爽快感があるものの、上映時間の都合なのか、「苦しみの元凶となってしまった人々」の背景についてはそこまで掘り下げてなかった点が少し心残りでした。この辺りは原作小説には描写があるのかな?と、むしろ原作を読みたい気持ちが強まりました。
本作で杉咲花が演じた貴瑚の役どころが、塚本晋也監督の『ほかげ』の主人公とちょっと似てて、「あれ、『ほかげ』の主演って、杉咲花だっけ?(実際の主演は趣里)」という雑念が終始付きまとってたのが、個人的に残念なところ!
どういう気持ちで観るか
絶妙な展開と満足度の高いストーリー
ベストセラー小説を映画化したヒューマンドラマ。家庭に問題を抱えて育ってきた主人公が同じ境遇の子供と出会い絆を深めていく物語。
現在と過去の映像が交互しながら主人公の交流関係を巧みに描いていて、ストーリーが進むに連れて少しずつ主人公に共感していく満足度の高い作品。
2024-36
評価がやや分かれるが、個人的には良い作品という感想
今年86本目(合計1,178本目/今月(2024年3月度)4本目)。
(ひとつ前の作品「ポーカー・フェイス 裏切りのカード」、次の作品「ARGYLLE アーガイル」)
本作品は原作品があるので、それを無視することはできない状況です。
その前提で本作品のレビューの対象となる論点というのは、多くの方が書かれている通り「扱う範囲が広すぎて回収不足の点が否めない」「大分市が出てくる割に(大分市は後援扱い)、大分市ネタがほぼ出ない」という点であろうと思います。
特に前者に関しては、多くの方が書かれている通り、児童虐待、LGBTQほか色々な分野を扱ったのですが、それが「盛りすぎ」であり(ほかにも多数あります。2020~2024年で社会問題とされているものはほぼ入っているくらい)、理解は可能でも「この放映時間内にすべてを巻き取るのは難しいのでは…」というところです。ただ、おそらく原作小説のある部分からある部分まで(あるいは、本1冊単位)を忠実に扱ったためにこうなったと思えるフシもあり(中には映画の展開上、問題提起だけはされるが以後一切出てこない論点もある)、ここはかなり評価の取り方が難しいです。
また、映画の舞台が大分県であることは中盤でわかりますが(瀬戸内海(豊後水道)や、「とり天」などからもわかるが、ある程度の知識が必要。後述)、そこまでは、瀬戸内海がバックにあるので、広島、山口、福岡という可能性も考えられ、「~しちょる」の方言から山口方言の可能性は捨てきれないので(「凪の島」参照))、ここを正確に取れるのはある程度最初の段階では推測の知識が必要です(かつ、大分市が舞台なのに、市内や大分市が舞台であることのヒント(特急ソニックほかの描写)がないので、かなりわかりづらい)。
原作小説をそのまま忠実にしたものだと思うし、映画を鑑賞すれば「52ヘルツ~」が何を指すのかもわかりますが、「やや扱う範囲が広すぎて時間に対して回収しきれていないかな」といったところです。
採点に関しては以下の通りです。
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(減点0.3/映画で扱う範囲が広く、時間の関係で拾えていない論点もある)
・ 介護問題ほかの問題が代表的ですが、原作小説あり、重視の立場もあるので、そこはもう仕方がないのだろうと思います。この0.3もかなり「いじったもの」で、原作小説重視であろうということ、また、「極端に多すぎる」わけでもないので、この程度です(換言すれば、原作に出る限り映画で扱って描写がある以上、「そういう問題がリアル日本に存在する」ということを常に頭の中に入れておくことができる作品である、といえる)
(減点0.1/(緊急)事務管理の性質)
・ 通常の事務管理は、本人の意思がわかるか推知できる場合、それに従う必要があります(民法697条)。
(減点0.1/心裡留保と身分行為)
・ 心裡留保は身分行為に適用がありません(判例)。
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まったく感情移入出来ません。
導入と話の作りが雑すぎます…。
話の初めに水商売の話をするデリカシーのなさ、いきなり出てくる死んだ彼氏、雨に打たれて大人と子供の傷跡を見せるシーン、なんの背景もなく流れる52ヘルツの鯨の鳴き声、ちょっと出て来てすぐ死ぬ父親、人となりもわからぬままキレる母親、運命的な出会いの彼氏さん…。
話の背景に深みが全然なく、登場人物をアイコン的に配置しているだけのように感じました。
比べてはいけないのかもしれませんが、やはり『市子』と比べると演技も見劣りしてしまっています。
綺麗な背景と主演女優の杉咲さんで2点です。
原作もの故の弱さ
2021年本屋大賞を受賞した町田そのこさんの同名小説の映画化作品。原作は2020年8月に読了済みだが、非常に大雑把なストーリーしか覚えていなかった。とてもよかったという印象だけは残っていたが……。
タイトルは「他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一頭だけのクジラ」から「たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない」という意味がある。転じて、虐待の被害者や性同一性障害で苦しむ人たちの声なき声を表している。
という前提に立って映画を観れば、主人公キナコが声を出せない少年を保護する過程は理解できる。アンさんがキナコを救い出すのも同様だ。ただ、弱者が弱者を庇い合うという構図ではない。彼らを助ける人たちもたくさんいる。その意味ではクジラよりも恵まれているのかもしれない。
原作ではわからなかった(ネットで探して聴いた)「クジラの声」も、映画ではリアルタイムで聴くことができてよかった。反面、虐待されていた割に健康そうな外見に違和感を覚えたり、芝居臭い演技に辟易したりと、映像ゆえの欠点も散見した。
映画の印象が消えないうに、積読している文庫本で再読することにしよう。
もっと活かして欲しかった…
聴こえる人だけに届く心の叫び
原作は読みました。とても良かったです。
作品の中に没入する体験をしました。
原作にとても忠実な映画化だと思いました。
テーマは現代の現実にある問題点。
《毒親、ヤングケアラー、児童虐待、DV、トランスジェンダーなど、》
【あらすじ】
主人公の貴湖(きこ=杉咲花)は、傷ついた心と身体を休めるために、
東京から北九州の海辺の町に移り住んだ。
そしてすぐに虐待されて声を出せず話せないムシと呼ばれる
少年と知り合う。
そして3年前の過去へとストーリーは戻ります。
母親が再婚した義理の父親は3年前から寝たきりになり、
貴湖(杉咲花)が介護を担っている。
母親は働き手で家計の面倒を見てくれるので、貴湖は
ヤングケアラーの現実を受け入れている。
しかし父親が誤嚥して入院した時、母親は激怒して、
「お前が死ねばよかった」と、暴言を吐き暴力を振るった。
心と身体に限界が来て、街で車に飛び込みそうになったの時、
岡田安吾(志尊淳)が助けてくれる。
安吾は「52ヘルツの鳴き声を出すクジラの話」をしてくれる。
52ヘルツの鳴き声を出すクジラは、
どんなに泣いても仲間にも誰にも
気付いてもらえない。
アンさんの聴かせてくれたクジラの声は貴湖の悲しみに寄り添うような
響きだった。
アンさんには貴湖の声なき叫びが届いたのだと思う。
病気の父親を介護士や行政に任せる手続きをアンさんが手伝ってくれて、
貴湖は配送センターの仕事に就く。
そして専務の息子の新名主税(宮沢氷魚)と知り合い、愛されて
同居するようになり、幸せを実感する。
しかし主税が父親の意思で取引先の娘との結婚を決められる。
主税は貴湖を愛人として近くに置きたいと言う。
しかし思いも寄らない事件が起きる。
安吾(アンさん)が主税の父親に貴湖という恋人がいる事を
手紙で告げたのだ。
その結果、主税の結婚は破談になり主税は専務を辞めさせられる。
荒れ狂う主税は貴湖に暴力を振るう。
安吾の身辺調査をして、アンさんがトランスジェンダーで
生まれた時の性別は女性だと突き止める。
主税に激しい言葉で責められたアンさんは
浴室で自殺してしまう。
そしてアンさんの主税当て遺書を読みもせずにガスの火で燃やす主税。
それを見た貴湖は自らの腹部に包丁を突き刺す。
そして最初に戻り
現在。
貴湖の親友の美晴(小野花梨)も海辺の家に長期滞在してくれている。
少年(ムシ)の親戚探しもうまくいかず、実母(西野七瀬)は、
我が子を見捨てて町を出て行く。
貴湖は福祉制度を勉強して愛(いとし=ムシの本名)の行き場を
探し始める。
貴湖は苦労して養子縁組をして愛を引き取る。
52ヘルツの音を聴き分ける者たち。
人の痛みに耳を傾ける者たちが身体を寄せ合って生きる。
原作で感動したのですが、映画は丁寧だけれど、
そんなには迫ってきませんでした。
アン役の志尊淳。
健闘しましたが難しい役どころ。
残念だけどもう少しトランスジェンダーに見える何かがあれば、
本物のトランスジェンダーに見えたかと思いました。
そして初の悪役でしょうか?
宮沢氷魚の迫力ある演技には驚きました。
暴力でか弱い杉咲花が吹っ飛ぶシーンは真に迫り、
男の暴力の凄まじさに心底怖かった。
演技力に自然さがあり、そして育ちが良さげなので、役にぴったり
ハマりました。
貴湖はこれから仕事に就き、自活して行くのだろう。
苦しみを一人で抱え込まない事。
そして助けてくれる人の存在が大事だと思いました。
現代の現実にある病巣や闇に斬り込んだ佳作でした。
杉咲花の圧倒的な存在感
母親から虐待されて育った三島貴瑚は、義父が要介護になると母から介護を押し付けられ、全く自由のない人生を歩んできた。母親から死ねと言われ、フラフラと車の前を歩き自殺を図った時、アンさんに助けられ、母親から逃げることが出来たが、ある事件のあと東京から海辺の一軒家へ引っ越してきた。彼女は、そこで母親から虐待され、声を出すことが出来なくなった少年と出会った。貴瑚は少年と接するうちに、かつて自分が虐待されていた時救い出してくれたアンさんのことを思い出した。貴瑚の過去とは、少年はどうなる、という話。
貴瑚の毒親、少年の毒親とも酷いなぁ、って観てた。貴瑚役の杉咲花は本作でも圧倒的な演技をみせていて、他の女優で代わりの出来る人が思い浮かばないほどの存在感だった。そして、貴瑚を救ってくれたアンさんがなぜ貴瑚の事が好きなはずなのに、付き合おうとしないのかが不思議だったが、ちゃんと伏線回収されて納得した。専務役の宮沢氷魚は、黒島結菜を妊娠させたのに結婚しないという、謎の行動をしてる私生活のイメージとダブり、身勝手なDV男が似合ってた。
しかし、この専務もだが、貴瑚と少年の母親たちなど、どいつもこいつも自分勝手で、すぐに弱い女や子供を殴って憂さ晴らししてるのは気分が良いものではない。あんな毒親たちが世の中には多くいるのだろうと思うと悲しくなる。
それと、貴瑚は海辺の街に引っ越してきてから働いてる様子が無く、どうやって生活してるのか不思議だった。
クジラの鳴き声聴いてみたくなった。
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