13デイズ : 特集
イントロダクション
編集部
62年の「キューバ危機」は、地球の裏側で起こった出来事ゆえか、あるいは時の流れのせいか、日本人にはあまりピンと来ない。だが、38年前、この「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の故郷にはソ連の核ミサイルが密かに配備され、アメリカ本土に照準を向けていたのである。
このミサイル基地は、59年、キューバに革命政権を樹立したカストロがアメリカとの国交断絶の末、ソ連に接近した結果の産物であった。
激震するホワイトハウスにあって、ケネディ大統領の選択肢は3つ。ミサイル基地の空爆か、キューバへの即時進攻か、あるいはキューバ海域の海上封鎖か。第三次世界大戦、すなわち核戦争勃発という最悪のシナリオがちらつく中、ホワイトハウス対クレムリン、米ソの丁丁発止の駆け引きが始まった……。
「13デイズ」は、今では遠い昔の記憶となった「冷戦」の最中、今世紀もっとも世界が緊張した瞬間を切り取ってみせる。幸か不幸か、日本人にはあまり記憶のないこの事件だが、この映画を見ることによって認識が新たになる向きも多いことだろう。62年の10月、人類は未曾有の危機にさらされていたということを。
ここでは、ハリウッドが初めて取り組む「キューバ危機」というテーマに果敢に挑み、見事な成果を成し遂げた3人のインタビューをお届けしよう。製作・主演を兼ねたケビン・コスナー、監督のロジャー・ドナルドソン、脚本家のデビッド・セルフである。