ピンク・クラウド

劇場公開日:

ピンク・クラウド

解説

突如として発生した毒性の雲により部屋の中に閉じ込められてしまった人々を描いたブラジル発のSFスリラー。

高層アパートの一室で一夜を共にした男女ヤーゴとジョヴァナを、けたたましい警報が襲う。強い毒性を持つピンク色の雲が街を覆い、その雲に触れるとわずか10秒で死に至るのだという。2人は窓を閉め切って部屋に引きこもり、そのままロックダウン生活を強いられることに。事態は一向に好転せず、この生活が終わらないことを誰もが悟り始める。月日が流れ、父親になることを望むヤーゴにジョヴァナは反対するが、やがて2人の間に男の子・リノが誕生。リノは家の中という狭い世界で成長し、ヤーゴは新しい生活になじんでいく。しかし、ジョヴァナの中で生じた歪みは次第に大きくなり……。

これまで6本の短編作品を手がけた新鋭イウリ・ジェルバーゼが長編初メガホンをとった。

2020年製作/103分/PG12/ブラジル
原題:A Nuvem Rosa
配給:サンリスフィルム
劇場公開日:2023年1月27日

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(C)2019 Luminary Productions, LLC.

映画レビュー

3.0ここ2、3年の現実がすっかりフィクションを超越してしまったことを逆説的に痛感させられる

2023年1月30日
PCから投稿

空にピンク色の雲がふんわりと浮かぶ。その光景だけ切り取るとポップなファンタジーのようにも見えるが、しかし人はそれに触れると、ものの10秒で死ぬという。かくも不条理なギャップをたたえつつ本作は、ピンク色の陽光に包まれながら淡々としたタッチの室内ドラマを紡いでいく。実際のパンデミックを経験済みの我々はきっと作品の端々にデジャブを抱くはず。ロックダウンが続く中、徐々に家族の形や関係性は変化し、その人の個性や考え方まで変わっていく苦しみも共感できる。驚くべきことに本作の脚本は2017年に書かれ、撮影そのものも19年に行われたとか。つまりかなり予言めいた作品なのである。それはそれで凄いことだが、「そうそう!」と思えるリアリティはあっても、物語に欠かせない斬新な驚きやビジョンがやや足りない気も。我々の暮らす現実の方が、この数年でフィクションの域を遥かに飛び越えてしまったことを痛感させられる一作である。

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牛津厚信

3.5コロナ禍の前に作られたロックダウン映画。今注目されるのは吉か凶か

2023年1月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

謎めいたピンク色の雲が発生し、その強い毒性はわずか10秒で人を死に至らしめる。運悪く外に出ていた大勢が命を落とし、室内にいた残りの人々は窓を閉め切って閉じこもる生活を強いられる。2023年にいる誰もが、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に伴うロックダウン生活を思わずにはいられないが、本作の脚本は2017年に書かれ、2019年に製作されたものだという。

ストーリーは、出会ってすぐに一夜を共にし、翌日にピンク雲により閉じ込められた男女を中心に進む。閉じられた空間で長い年月を過ごすことを強いられた他者同士が、どのように状況と折り合いをつけていくのかを描くことに重きが置かれている。

相対的に、実際にそのような状況になったらインフラは維持できるのかとか、ガスマスクや防護スーツが大量生産されて外出できる人々が増えていく可能性など、科学的な観点での検討や掘り下げが足りないように感じられた。設定だけ聞くとSF作品のような印象を受けるが、フィクションが優勢でサイエンスの要素が弱いのだ。

製作は2019年と書いたが、初上映は2021年1月のサンダンス映画祭とのこと。つまり、パンデミックがなければ注目されないままお蔵入りになっていた可能性もあった。5月にコロナの位置づけが2類相当からインフルエンザと同じ5類に下げられるなど、ようやくアフターコロナの局面に向かいつつある日本に限って言えば、公開時期はやや不運だった気がする。気ままに出かけたり人に会ったりできない暮らしが延々と続いた後で、お金を出して映画館で閉塞感を追体験したいとはなかなか思えないのではなかろうか。

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共感した! 3件)
高森 郁哉

3.0期待していたほどではなかった

2024年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

予告編で興味を持って見に行ったけど、そこまでとびぬけた何かがある映画ではなかった
画がおしゃれってだけで確かにヨーロッパっぽい

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共感した! 0件)
ユウ

3.5【触れると10秒で死ぬピンクの雲に依るロックダウンの中、人々の適応力と現実逃避や絆を求める姿を、現況下の状況と重ね合わせて観てしまう作品。】

2023年3月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

ー 冒頭、”本作は2017年に構想され、2019年に撮影されたというテロップが流れる。
 だが、今作はどう見ても製作側の意図ではないにしろ、現況下を想起させる。
 そして、明日からマスク装着の緩和が始まる・・。-

■物語は一夜を共にしたばかりのジョヴァナとヤーゴのカップルの生活にほぼ限定されて、映し出される。

◆感想<Caution! 内容に触れています。>

・ジョヴァナは向かいのマンションの男が、窓に”ピンクの雲には殺されない”と書き、窓を開け自ら身を投げるシーンを見る。

・当初はジョバナは子供は要らないと言っていたが、長引くロックダウンの中、男児リノが誕生する。
ー ジョヴァナとヤーゴは、生きる望みを得たかったのだろうか。それとも、2人だけの閉鎖された空間での生活に、危機感を抱いたのであろうか。-

・二人はそれぞれの家族、知り合いとはビデオ通話となり、必要物資はドローンで届けられる事になる。
ー 正に生活スタイルの激変である。今作と20年春からの現況下との相似性に驚く。-

・リノはどんどん成長し(7歳くらいだろうか・・。)、ジョヴァナの誕生日に、ヤーゴとVRヘッドセットを送るが、ジョヴァナは仮想現実の世界にのめり込んでいく。

・一方、ヤーゴは現状に諦観を持ちながらも適応していく。
ー 認知症になった父親とのビデオ通話は辛いが、彼はそれを受け入れ父とのビデオ通話を止めるのである。-

<今作は、イウリ、ジェルバーゼ監督が、ロックダウンの中で生きる人々の姿を抑制したトーンで描いている点が、奏功している。
 ラストのジョヴァナの行動には、私は賛同しかねるが、あの行動に至る心境はコロナ禍を経験しているからこそ理解できるのである。
 今作の作品設定と20年春からの現況下との相似性に驚いた作品である。>

<2023年3月12日 刈谷日劇にて鑑賞>

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