その雲に触れたら、10秒で死ぬ――パンデミック前に描かれたロックダウン下の人間模様「ピンク・クラウド」公開
2022年10月6日 11:00

ブラジルの新鋭イウリ・ジェルバーゼの長編デビュー作「THE PINK CLOUD」が「ピンク・クラウド」の邦題で、1月27日から公開される。
外には一歩も出られず、部屋の中でしか生きられないディストピア。そこでジェルバーゼ監督が目指していたのは、ルイス・ブニュエルの「皆殺しの天使」やジャン=ポール・サルトル「出口なし」のように、制限された状況下における生存競争ではなく人間の感情を描く。
ジェルバーゼ監督が2017年に脚本を執筆、2019年に撮影した本作は、当初SFとして構想されていたにもかかわらず、 世界的なパンデミックで一変した現実と重なるという、思いもよらぬ形で世界の脚光を浴びた。自らの人生がフィクションに似てしまった現在、「かつてのリアリティが失われた物語」にこそ観客はリアリティを見出すことになった。
一夜の関係で知り合ったジョヴァナ(ヘナタ・ジ・レリス)とヤーゴ(エドゥアルド・メンドンサ)をけたたましい警報が襲う。突如として発生した毒性を持った正体不明のピンクの雲。それに触れると10秒間で死に至るとニュースが報じる。二人は窓を閉め切って高層アパートに引きこもり、長くて数週間で終わるであろうロックダウン生活に入る。しかし、月日が流れ、この生活が終わらないことを誰もが悟り始めたころ、見知らぬ他人であったジョヴァナとヤーゴは現実的な役割を果たすことを迫られる。二人の間に男児が生まれ、父となったヤーゴも新しい生活に適応している。しかし、ジョヴァナの中で生じた歪みは次第に大きくなっていく。
1月27日から新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。

本作の脚本を書いたのは 2017 年。執筆当時やりたかったのは、一向に終わらない非現実的なロックダウン下で共同生活をする2人のキャラクターが、異なる感情の変化を見せるのを描くことでした。自由とは何か、幸福とは何か、ジョヴァナとヤーゴはそれぞれの考えを持っていて、正反対のやり方でピンクの雲の世界に適応しようとします。ロックダウン下で暮らす中、人生哲学の違いが際立っていきます。
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