劇場公開日 2021年10月15日 PROMOTION

最後の決闘裁判 : 特集

2021年10月4日更新

この布陣アツすぎる 巨匠リドリー・スコットのもと
M・デイモンら“オール主役級”豪華俳優陣…今も物議
醸す衝撃の実話を描く、劇場で観るべき極上ミステリー

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予告編を見て、次々と登場する“名前”を目の当たりにし、「うお……この組み合わせ、一体どんな作品に?」と期待に胸が張り裂けそうになることがある。10月15日から公開される「最後の決闘裁判」は、映画ファンをどこまでも“ときめかせる”稀有な一作だ。

監督は「ブレードランナー」「テルマ&ルイーズ」などの巨匠リドリー・スコット。そして出演はマット・デイモン、ベン・アフレック、アダム・ドライバー、そして飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進するジョディ・カマー。描かれるは、歴史を変えたとされる事件と、死を賭して己の正義を証明しようと挑んだ人々による衝撃の実話ミステリーである。

本特集では、この“今、映画館で観るべき一作”の魅力を詳述していく。


【予告編】生死をかけた<真実>が裁かれる

【映画ファン垂涎】世界最高峰のクオリティを見よ――
俳優、監督、脚本、物語…すべての要素に胸が高鳴る

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まず最大の見どころである「キャスト・監督・脚本のときめき」について紹介していく。


[俳優]この組み合わせ、ときめきが止まらない あまりに豪華なアンサンブル

数年に1度とも言える豪華な共演が実現した。まずは「ジェイソン・ボーン」シリーズ、「ディパーテッド」「オデッセイ」「フォードvsフェラーリ」など錚々たる作品で稀有な存在感を発揮してきたマット・デイモン。出演・脚本・製作として参加し、妻の汚名をすすぐ決闘裁判に身を投じる騎士ジャン・ド・カルージュに扮する。

さらに「スター・ウォーズ」新3部作のカイロ・レン役で知られ、「ブラック・クランズマン」(助演)、「マリッジ・ストーリー」(主演)でアカデミー賞にノミネートされた実力派アダム・ドライバーが、カルージュの旧友であり、彼と決闘する騎士ジャック・ル・グリ役に。そして「キリング・イヴ Killing Eve」でエミー賞主演女優賞に輝いたジョディ・カマー、「アルゴ」「ゴーン・ガール」「ザ・コンサルタント」「ジャスティス・リーグ」などのベン・アフレックが共演を果たす。

一人ひとりが大作映画の主演を張る“ハリウッドの大スター”による、極上の演技合戦。目撃するべく映画館へ足を運ぶその瞬間を想像すれば、胸の高鳴りが止まらないだろう。

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[監督]巨匠リドリー・スコットが挑むは、歴史を変えた“世紀のスキャンダル”

類い稀な映像センスでその地位を築き上げた“世界トップクラスの巨匠”リドリー・スコットが、今回の舞台に選んだのは14世紀のフランスだ。

騎士カルージュ(デイモン)の妻マルグリット(カマー)が、夫の旧友ル・グリ(ドライバー)に乱暴されたと訴える。しかしル・グリは無実を主張し、目撃者もいない。真実の行方は夫と被告による生死を賭けた“決闘裁判”に委ねられる。果たして裁かれるべきは誰なのか――歴史を変えた世紀のスキャンダルが幕を開ける。

豪華俳優陣とスコット監督の組み合わせ、というだけで全身がむず痒くなるほど期待感が漲るが、仕上がりはもっとすごいから驚かされる。スコット監督はまさにキレッキレ、面目躍如とも言えるほどセンス全開で作品を創出している。スタイリッシュかつエモーショナル、そしてどこまでも繊細な映像と物語が、のべつ幕なしにスクリーンを覆い尽くすので、乞うご期待!

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[脚本]マット・デイモン×ベン・アフレックが執筆 再タッグに胸が灼熱

映画.com編集部が最もアツいと感じているのは、実はここ。マット・デイモン&ベン・アフレックが、本作の脚本を執筆しているのだ(ニコール・ホロフセナーと共同)。

映画ファンには説明不要だろうが、デイモンとアフレックは若き日からの盟友であり、アカデミー賞脚本賞に輝いた名作「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」の脚本を手がけたことで知られている。2人が再タッグを組むことは、胸がアツいを通り越してもはや“胸が灼熱”である。

史実では男性視点の資料や記録しか残っていないが、現代の価値観にリンクするメッセージを打ち出すため、これまで抜け落ちていたマルグリットの視点を描くことを選択。優れた女性脚本家ホロフセナーをチームに加え、さらにマルグリット役のジョディ・カマーも会議に参加させ、積極的に意見を反映していったという。

シナリオはまさに“世界最高の仕事”と言っても過言ではない出来栄えであり、しかもリドリー・スコット率いる最高の布陣で映像化する――。映画ファンの期待のバロメーターは、もはや振り切れてバネが飛び出ているのではないだろうか。

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【Tips】決闘裁判とは何なのか?

ここで一旦立ち止まり、決闘裁判について少しだけ説明しよう。

中世ヨーロッパでは正式な法手続きとして広く認められていた裁判方法で、判決を当事者間の命を賭けた決闘にゆだねるものである。証言内容が食い違い、解決の気配すらない争いの場合、真実を知っているのは当事者たちではなく“神”のみ。論争ではなく肉体の闘いに身を投じれば、神が“正しい者”を勝利へと導く、本気でそう考えられていた。

訴訟の渦中にある2人の男が甲冑に武器と盾をまとい、その名の通り決闘する。戦いはどちらかが死ぬか再起不能になるまで続き、勝者は正義と栄光を手に入れ、敗者はたとえ命拾いしても罪人として死罪となる。本作の場合は、カルージュとル・グリが闘うが、もしカルージュが負けた場合、妻マルグリットもまた偽証の罪で火あぶりの刑を受ける。それほどのリスクを背負ってなお、彼女が声を上げたという事実が最重要だ。


【衝撃のミステリー大作】今なお議論される事件の謎…
頭と心を揺さぶる“実話”の行方、何としても映画館で

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本作のもうひとつの見どころは、歴史的事件を新たな視点で見つめるミステリーである点だ。心と頭を満足させる作品であり、あらゆる要素が渾然一体となった総合芸術は、映画館で堪能してこそ真価を発揮する。


[ジャンルは衝撃ミステリー]裁かれるべきは誰か? 物語は新たな角度から“真実の在り処”に迫る

題材となったのは、14世紀に実際に起きた“フランス最後の決闘裁判”。600年以上が経った今も、歴史研究者の間では「誰が真実を話しているのか」「裁かれるべきは誰だったのか」が議論されており、真相はいまだに闇のなかで眠っている。

本作は史実に新たな角度から光を当て、これまでとは異なるアプローチで真実の在り処を明らかにしようと試みる。事件を告発した被害者マルグリット、被害者の夫カルージュ、訴えられた被告人ル・グリ、それぞれの視点で“事実”が語られる三幕構成となっている。

リドリー・スコット監督の歴史ものというと「グラディエーター」が頭に思い浮かぶが、本作は黒澤明監督作「羅生門」のスタイルで進む。登場人物は同じ時間を過ごしたはずなのに、証言する“体験したこと”はまるで異なるのだ。観客はその模様に翻弄されながら、何が真実なのかを追い求める。鑑賞中、あなたの頭と心は迷宮的な感情で支配され、時の感覚がゆっくりと麻痺していくだろう。

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[映画館で味わい尽くそう]質実剛健の映像…密室の暗闇で、あなたは歴史の証人になる

製作陣はこの事件に、現代に通じる極めて重要なテーマを見出している。これまでの歴史で半ば無視されてきた被害者マルグリットの視点で事件を捉え直したことで、“女性の地位などほぼなかった時代に、女性が声を上げた歴史の転換点”としての意味を際立たせた。まさに今観るべき映画である。

そして、リドリー・スコット監督のセンスがこれでもかと発揮される映像と、豪華キャストによる質実剛健の芝居合戦は、派手な爆発やカーチェイスなどないにも関わらず、息を呑むほどの迫力に満ち満ちている。画面はすさまじいほどの情報量で埋め尽くされるため、自宅のモニターではなく、可能な限り大きなスクリーンでの鑑賞をおすすめする。ひりついた緊迫感が漲る密室の暗闇で、あなたは“およそ600年前の歴史”の証人となる――。

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【解説】この映画は、どこがどう“すさまじい”のか?
評論家・尾崎一男が解説する“没入感とテーマ性”

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最後に、リドリー・スコットに造詣が深い映画評論家・尾崎一男氏に、本作のレビューを寄稿してもらった。ユニークな視座で語られる、発見満ちた映画体験を垣間見ていただこう。

●巨匠リドリー・スコット、44年ぶりの決闘映画は、視点の拡大によって深遠と変容がもたらされた

現代アメリカ映画界が誇る映像派のマスター、監督リドリー・スコットの新作は、裁きの判決を戦いに求めた14世紀フランスのスキャンダラスな事件の映画化。司法が認めた“最後の決闘”の顛末を、当事者それぞれの視点から浮き彫りにする回想形式の物語だ。

本編は全3章からなり、1章目は旧友ル・グリに妻マルグリットを凌辱されたと訴えた騎士カルージュ(マット・デイモン)の主張。2章はル・グリ(アダム・ドライバー)の抗弁。そして最後は主要人物であるマルグリット(ジョディ・カマー)自身の証言を交え、ことの真偽を明らかにしていく。

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この「何が本当で何が嘘なのか?」が錯綜するドラマにおいて、スコット監督は堅固たる映像美と骨太な演出力をいかんなく発揮。脱色した寒々しい屋外の景観や、ロウソクの灯を主光源とする屋内の時代がかった画調(キューブリック「バリー・リンドン」(75)からの影響大)など、中世のランドスケープを徹底して創り込み、観る者にその場にいるかのような没入感を与え、当時の空気さえも肌身に感じさせる。

フランスとイギリスの百年戦争を背景とした事件だけに、随所で展開される戦闘シーンがスペクタクル性を提供し、我々の関心を散らせることはない。ただ同じ出来事を別視点から反復するため、おのずと残虐なショットも繰り返されてしまうところなど、目を背けたくなる要素も多いが。

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なにより二人の男の名誉を賭する争いに、マルグリットの主張が入り、映画に多義的な観点がもたらされる。その決闘がいかに女性をないがしろにし、また犠牲のもとに成り立っているのかというミソジニーな指摘を得ることで、封建的な旧世紀を描いたこの物語は、現代にも通じる属性を放ち始めるのだ。

武官どうしの長年にわたる決闘の歴史を描いた、自身初の商業長編監督作「デュエリスト/決闘者」(77)から44年。原題の“LAST DUEL”よろしく、リドリーはこうして対決テーマに再アクセスすることで、フィルモグラフィを円環で閉じようとする印象を与える。が、経年と共に同題材への取り組みにも変化が生じ、円を結ぶ接合点は同じではない。

その変化は折からの、#MeTooムーブメントに共振したものなのか——? もちろん無関係にあらずだろうが、「エイリアン」(79)を起点に「テルマ&ルイーズ」(91)そして「G.I.ジェーン」(97)など、キャリア早期から女性のエンパワーメントを自作に反映してきた監督のこと。この思慮深い傾向は、おとつい昨日のものでは決してないのだ。(尾崎一男)

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