コラム:編集長コラム 映画って何だ? - 第66回
2024年2月7日更新
CESで遭遇した、摩訶不思議なディスプレイ
ラスベガスの新名所「sphere」を堪能し、CESに戻ってきました。巨大な球型シアターの存在感は凄まじく、コンベンションセンターにいても、それほど遠くない距離に見えるsphereをついつい眺めてしまう習慣がついてしまいました。
あとは「東京だったら、どこにsphereがあったら楽しいだろう?」と考えるようになりました。例えば、渋谷のスクランブル交差点の一角、TSUTAYAの位置にsphereがあったら相当ウケそうです。銀座・有楽町エリアなら、ペニンシュラホテルの位置。電飾がお堀の水に反射してなかなかのフォトスポットになりそうですね。
そんな妄想を楽しみながらコンベンションセンターのセントラルホールに突入すると、例の球型のsphereみたいなディスプレイがデーンと鎮座しているではありませんか!
近づいてみると、韓国のSKの展示です。「SK Wonderland」と銘打って、かなりの面積を専有しています。この球体のディスプレイは、草花などの植物や海の生物などを次々に映し出していて、基本的にsphereと同じものに見えます。
SKのYouTubeを見ると、「sphereをモチーフに作ったディスプレイ」とのこと。実に上手にパクりましたね。動画も置いておきましょう。
球型のディスプレイ、早晩、世界中で見かけるようになるのかも知れません。用途は非常に限られたものになるとは思いますが、インパクトは絶大ですね。
もう一つ、CESで見つけて「何じゃこりゃ!」ってなったヤツをご紹介。それは、透過型のディスプレイです。後ろが透けている状態で、映像を投射することができる仕様。まるで、ホログラフのように見えます。
これはHYPERVSN(ハイパービジョン)というプロダクトで、プロペラのようなファンを回して、そこに映像を映しているようです。こちらの動画が分かりやすい。
大量のファンが回転しているので、ブワ~ンという音が鳴り響き、ファンの後方に風が巻き起こっている様子が分かります。
カラクリ手品を見たような、何とも摩訶不思議な印象を受けました。一方で、これは何に使えるのだろうかという大きな「?」も浮かびます。「あなたなら何を映す?」と聞かれれば、「何か儚いもの」という答えかなあ。占いで、運勢なんかを映すとかね。ファンが止まったら、運勢(=映像)も消えてなくなる演出。
それにしても、CESに来ると色んなものが見られるんですね。ここでは紹介しませんでしたが、家庭用プロジェクターもたくさん出品されていて、個人的にはかなり興味を持ちました。会場がそこそこ明るい中で、プロジェクターの映像もかなりパワフル。ホームシアターもかなりレベルアップできそう。
最後に、EV(電気自動車)方面がまた大変な盛り上がりを見せていたこともつけ加えておきます。今や、自動車も自転車も電化製品のカテゴリーなんだという事実が、CESに来ると腹落ちします。
以上、初めてのCESは大変有意義でした。そして確実に、来年もまたここに戻って来たいという気持ちになります。2025年の1月には、sphereでの上映作品が新作に切り替わっていることに期待ですね。
筆者紹介
駒井尚文(こまいなおふみ)。1962年青森県生まれ。東京外国語大学ロシヤ語学科中退。映画宣伝マンを経て、97年にガイエ(旧デジタルプラス)を設立。以後映画関連のWebサイトを製作したり、映画情報を発信したりが生業となる。98年に映画.comを立ち上げ、後に法人化。現在まで編集長を務める。
Twitter:@komainaofumi