コラム:編集長コラム 映画って何だ? - 第65回

2024年1月31日更新

編集長コラム 映画って何だ?

超巨大スクリーン、しかも球型。ラスベガスで「sphere」を体験

ラスベガスにやって来ました。表向きの理由は、CESに参加すること。そこで、最先端の映像技術を体験するとともに、日本では遭遇できない新たなテクノロジーに出合うのが目的です。

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実は今回、CESとは別に重要な裏ミッションがありました。それは「sphere」を訪れること。2023年の9月にラスベガスにオープンした球体の大型シアターです。こけら落としがU2のライブアクトで、SNS等を中心にかなりバズっていたのでご存知の方も多いと思います。

私たちが訪れた時期は、U2のライブはなく、ダーレン・アロノフスキー監督による「Postcard from Earth」という55分の映画が上映されていました。鑑賞できる案件はこれ一択です。

CESの会場であるラスベガスのコンベンションセンターから、sphereの外観ははっきり見えます。常に何らかのコンテンツ映像が休むことなく外壁を彩っています。せっかくなので、CESの会場から徒歩で25分ぐらいかけて向かうことにします。

曇天に浮かび上がる鮮やかなブルーの半球。何だか、デススターのように不気味です。

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サボテンのような植物の向こうでサイケデリックな文様を抱く半球。SF映画のワンシーンのような、実に不思議な光景です。

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sphereの敷地内に入ってきました。パトカーの向こうで液体状の文様をクルクル動かす半球。これもシュールな光景です。見ていて全然飽きません。

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真下まで近づいてみましょう。光源はLEDです。それも、夥しい量のLEDが球体を覆っていることが分かります。

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ドーム球場のドーム面の外側全体にLEDを貼りつけた様子をイメージしていただけると、雰囲気が分かるかもしれません。いずれにせよ、これはとんでもない建物です。

動画も貼っておきましょう。

ボックスオフィスでチケットを買って、中に入ります。上映作品は「Postcard from Earth」上映時間は55分。チケット料金は、遠めの席で99ドル(約1万5000円)と、スクリーンに近い席で169ドル(約2万5000円)の2種類あります。さて、どっちにする?

結論から言えば、99ドルの方で正解でした。だって、IMAXシアターで映画を鑑賞するのに、前の方で見たい人はあまりいないと思います。スクリーン全体が見られる、遠めの席(=安い席)の方がいい席だと思いましたよ。それにしても1万5000円。個人的に、過去に映画を見るために払った最高額ですね。

席に着くと、シネスコサイズ相当のスクリーンが前方に見えています。一応、長方形の形になっている。そして、昔の70ミリのスクリーンみたいに湾曲しています。座席もまた、スクリーンに向かって左右に湾曲しています。端の方だと見え方が違うかも知れません。できるだけ中央に近い座席を選んで購入しましょう。

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「Postcard from Earth」は解像度16Kだそうです。一応ストーリーもあります。が、基本的には、大画面で映える風景や動物などの映像をつなぎ合わせて作った、一本丸ごとTBSの「世界遺産」的な作品です。人類による環境破壊への警鐘もあって、私は「コヤニスカッティ」とか「バラカ」などを思い出していました。懐かしいですね、超微速度撮影。

また、画面に合わせて座席がブルブル振動するギミックもあって、若干の4DX要素も楽しめます。

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Wikipediaによれば、sphereのスペックは、高さ112メートル、幅が157メートル。東京ドームの高さが地上から最上部が56メートル、両翼が100メートルとのことなので、「東京ドームの天井の2倍高く、幅が両翼の1.5倍の巨大スクリーン」に映画が映写されているという認識でほぼ合っているかと思います。いずれにせよ、世界で一番大きなスクリーンで間違いない。ちなみにsphereの客席は、1万8600席あるそうです。

これは、映像に携わる人であれば絶対に訪れたい施設のひとつでしょう。別件でラスベガスに行く用事のある方なら、3〜4時間ぐらい時間を作ればsphere体験が可能です(「Postcard from Earth」ね)。もしもあなたがU2のファンだったら、2024年の3月2日までライブが行われているはず。また、4月からはフィッシュ(Phish)というバンドがここでライブを行う予定です。是非、訪問を検討してみてはいかがでしょうか?

筆者紹介

駒井尚文のコラム

駒井尚文(こまいなおふみ)。1962年青森県生まれ。東京外国語大学ロシヤ語学科中退。映画宣伝マンを経て、97年にガイエ(旧デジタルプラス)を設立。以後映画関連のWebサイトを製作したり、映画情報を発信したりが生業となる。98年に映画.comを立ち上げ、後に法人化。現在まで編集長を務める。

Twitter:@komainaofumi

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