コラム:編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番 - 第32回

2015年3月13日更新

編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番

第32回:「境界の彼方」で初の2部作に 京都アニメーションの劇場版を振り返る

京都アニメーション制作で2013年10~12月に放送されたテレビアニメ「境界の彼方」を映画化した「劇場版 境界の彼方 I'LL BE HERE」2部作が間もなく公開(「過去篇」3月14日/「未来篇」4月25日)。そこで今回は、同社制作の劇場用アニメーション作品をおさらいしてみたいと思います。主にテレビアニメ作品で広く知られる京都アニメーションですが、これまで5作品の劇場版を公開しており、「映画 けいおん!」のヒットは映画界にも影響を与えました。基本はテレビシリーズがあり、その後、劇場版へという流れですが、同社の劇場版はその都度、趣向を凝らしているのがわかります。

「劇場版 境界の彼方 I'LL BE HERE」
「劇場版 境界の彼方 I'LL BE HERE」

京都アニメーションは、その名の通り京都府に本拠のあるアニメーション制作会社。創業は1981年で30年以上の歴史があり、03年のOVA「MUNTO ムント」シリーズ、テレビアニメ「フルメタル・パニック? ふもっふ」から元請制作を始めてアニメファンにも注目されるように。その後は06年「涼宮ハルヒの憂鬱」、07年「らき☆すた」などが話題を呼び、09~10年に放送されてヒットした「けいおん!」は、アニメを見ない人にもそのタイトルやビジュアルが訴求していったのではないかと思います。

ライトノベルや漫画原作ものだけでなく、オリジナル作品も送り出しつつ、ジャンルも「けいおん!」に代表されるような日常系だけに留まらず、今回取り上げる「境界の彼方」のようなファンタジー要素のあるものから、ミステリー(「氷菓」)、スポーツ(「Free!」)など幅広く、かつアニメファンには常に高い作画クオリティが好評のスタジオです。もちろん、同社作品の女の子のかわいさには定評があり、それも人気要因のひとつでもあろうことは言うまでもありません。

そんな京都アニメーションが送り出してきた劇場版の歴史を振り返ってみましょう。

●「天上人とアクト人最後の戦い」(09)

【ポイント】テレビシリーズディレクターズカット版/元シリーズからタイトルも変更
作品情報

先述したオリジナル企画のOVA「MUNTO ムント」シリーズの劇場版。「MUNTO ムント」はOVAで2作が発売され、09年に新規カットなどを加えて「空を見上げる少女の瞳に映る世界」としてテレビアニメシリーズ化。その劇場版となるのが「天上人とアクト人最後の戦い」で、テレビシリーズ後半の物語にさらに新規カットなどを加えたディレクターズカット版。もとになったOVAやテレビシリーズとタイトルが異なるという、ファンでなければちょっとわかりづらい部分もありつつ、初の劇場版にして一風変わった成り立ちの作品に。

●「涼宮ハルヒの消失」(10)

【ポイント】テレビシリーズの続編/初の完全新作
作品情報

06年に全14話で放送され、09年にさらに14話を加えた全28話であらためて放送されたテレビアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の劇場版。原作は人気ライトノベルシリーズ。テレビシリーズが原作小説の1~3巻までがベースなのに対し、劇場版は小説の4巻が原作。テレビからも続く展開で、いわば完全新作の続編。ただし、タイトルは「憂鬱」ではなく「消失」と原作準拠。「天上人とアクト人最後の戦い」がテレビシリーズのディレクターズカットだったことを考えると、劇場用新作として製作された作品はこれが初。

●「映画 けいおん!」(11)

【ポイント】テレビシリーズ中で描かれなかったエピソード/完全新作
作品情報

ご存知「けいおん!」の劇場版。10年に放送されたテレビシリーズ第2期「けいおん!!」の最終回で映画化が告知され、内容も完全新作。テレビでは描かれなかったエピソードとして、主人公たちの卒業旅行が描かれ、舞台はロンドンに。舞台が海外へ飛び出すというのは、通常よりも豪華な劇場版ならではといった趣向。深夜アニメ発の劇場版としては異例となる興行収入19億円の大ヒットに。現在も続く「深夜アニメの劇場版」ブームの先駆け的作品に。

●「小鳥遊六花・改 劇場版 中二病でも恋がしたい!」(13)

【ポイント】テレビ第1期の総集編/視点を変えて新映像もプラス/タイトルも変化
作品情報

12年放送のテレビアニメ「中二病でも恋がしたい!」の劇場版。14年にテレビシリーズ第2期となる「中二病でも恋がしたい! 戀」が放送されており、その前に第1期を劇場版で振り返ることが可能に。ただし単なる総集編ではなく、テレビでは主人公の視点から描かれたのに対し、ヒロインの小鳥遊六花(たかなしりっか)視点から再構成するというひと工夫が。タイトルも「小鳥遊六花・改」と“中二病”っぽさが演出された点が面白い。

●「たまこラブストーリー」(14)

【ポイント】テレビシリーズの続編/完全新作/原作なしのオリジナルストーリー
作品情報

13年に京都アニメーションのオリジナル作品として放送されたテレビシリーズ「たまこまーけっと」の劇場版。物語はストレートな続編的劇場版ですが、テレビシリーズにはドタバタギャグアニメ的要素もあったのに対し、こちらはタイトルの通りシンプルな「ラブストーリー」に。テレビシリーズではお騒がせキャラとして描かれた、お餅が好きで丸々と太ったしゃべる鳥というマスコット的キャラクターをあえて封印してしまい、主人公と幼なじみの恋にフォーカス。世界観を保ちつつも路線を全く変え、1本の独立した映画として完成。

●「劇場版 境界の彼方 I'LL BE HERE」(15)

【ポイント】テレビシリーズ総集編+完全新作続編の2部作
作品情報(過去篇)
作品情報(未来篇)

京都アニメーション初の劇場版2部作となる「境界の彼方」
京都アニメーション初の劇場版2部作となる「境界の彼方」

そして、京都アニメーションの劇場版最新作となるのが「劇場版 境界の彼方 I'LL BE HERE」。これまでもテレビの再構成や完全新作の劇場版を、タイトルや作風を変えてさまざまなかたちで送り出してきた同社ですが、今作では初めて2部作という展開に挑戦。「過去篇」はテレビシリーズの振り返りで、後編の「未来篇」はその続編となる完全新作。テレビシリーズを見逃してしまった人にも「過去篇」から見れば楽しめるはず。2カ月連続公開でもあるので、間をおかずに楽しめるのもファンにはうれしいところ。

以上、京都アニメーションの劇場版作品紹介でしたが、テレビシリーズでも4月から新作「響け!ユーフォニアム」が放送を開始。そちらもあわせて楽しみたいところです。

筆者紹介

映画.com編集部のコラム

映画.com編集部・あさかよしあき。編集部のアニメ好き。若手女優やアイドルのチェックにも余念がない。もちろん普通に映画も好き。

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