コラム:編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番 - 第29回
2014年12月15日更新
第29回:2014年の劇場アニメーションを振り返る
2014年も終わりが見えてきたところで、今年の劇場アニメーション界隈をざっくりと、印象に残った作品や傾向など交えつつ振り返ってみたいと思います。
●目立つ劇場先行上映タイトル
当コラムは劇場公開される日本製アニメを対象としているので、外国製アニメを除いて今年(1月1日から12月31日まで)封切られた新作日本アニメを数え上げてみると、大小あわせて66タイトル(同時上映作品は1タイトルとしてカウント)。昨年は60に届きませんでしたが、12年や11年も60数タイトルだったので、おおよそ例年通りと言えそうです(タイトル数は全て当社調べ/次ページ最下部にリストあり)。
そうした中、OVAやテレビシリーズを発売や放映に先駆けて(あるいは同時期に)一定期間、映画館で上映するタイトルが増加傾向のようです。いわゆるODS(Other Digital Stuff=非映画デジタルコンテンツ/映画以外のデジタル上映作品)などを含め、そうしたイベント的な上映作品を数えてみると27タイトルほどあり、全体の約4割。昨年や一昨年は10数から20タイトル程度だったことを考えると、これは増えたと言えると思います。パッケージと同発で劇場上映することでイベント的に盛り上げるという流れが定着し、こうした形態をとるタイトルが増えてきているのかもしれません。
目立った作品では、完結編となる第7話の上映が大々的に展開され、興行ランクングでも初登場3位に入った「機動戦士ガンダムUC」や、新劇場版の製作も発表された「攻殻機動隊ARISE」、そのほかOVAとして製作された作品で劇場上映されたタイトルには、「ガールズ&パンツァー これが本当のアンツィオ戦です!」「ストライクウィッチーズ Operation Victory Arrow」「黒執事 Book of Murder」「翠星のガルガンティア めぐる航路、遥か」などがありました。
さらに、テレビ放映に先行して第1話から3話までをまとめて上映した「ガンダム Gのレコンギスタ 特別先行版」、第1話の長尺版と第2話を上映する「蒼穹のファフナー EXODUS」、さらには限定版コミックに付属するアニメを劇場上映する「鬼灯の冷徹」など、一口に先行上映といっても、その内容は多種多様に富んできています。
●新作へつながる総集編劇場版も定番に?
また、「弱虫ペダル Re:RIDE」や「宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海」「劇場版『進撃の巨人』前編 紅蓮の弓矢」は、それぞれ後のテレビ第2期や新作劇場版へとつながる、テレビシリーズの総集編的作品として上映・公開されました。
来年以降も、すでに発表されているだけで「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ アルス・ノヴァ DC」「劇場版 シドニアの騎士」「劇場版 境界の彼方 I'LL BE HERE 過去篇」などは、いずれもその後にテレビ第2期や新作劇場版が続く作品です。続編の前に、テレビシリーズの総集編を劇場上映するという作品は、今後も多数現れそうです。
●印象に残った作品は
こうした状況からか今年は特に人気作品の続編が目立ちましたが、そうした中で数少ない完全オリジナル作品として「楽園追放 Expelled from Paradise」が気を吐きました。全国13スクリーンという少ない上映数ながらも、上映開始から3週で興行収入1億円を突破。セルアニメ調の全編フルCGアニメで、もともとは東映アニメーションがCG技術の研究の一環として企画された作品という背景もあって生まれた作品で(※参照:脚本家・虚淵玄氏のインタビュー記事 ⇒ 「楽園追放」脚本・虚淵玄が語る「作品を読み解くカギ」とは?)、今年公開された作品の中では異彩を放った一作と言えそうです。
僭越ながら拙者の印象に残った1本を挙げるならば、こちらは続編モノではありますが、テレビシリーズからガラッと趣を変え、真っ直ぐで普遍的な青春映画として完成された「たまこラブストーリー」を挙げておきたいと思うところです。